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Vol.10 痛みと恐怖、小さな変化に希望を感じたリハビリ生活

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

「リハビリ半年」の宣告

医師も薬が効いて、順調に回復していると言っている。
「早く退院したい!早く復活して子どもと遊ぼう!」ところが世の中そう甘くはない。

入院して10日ばかり、身体が回復してくると、思考が現実的になってくる。

1歳に満たない赤ちゃんに会いたい。
仕事は大丈夫かな?
治療費は高いのかな?
お金は大丈夫かな?…などなど。

薬が効きはじめ、回復の兆しが見えていたものの、当然完治したわけではない。
医師は「神経がやられているのでリハビリに3ヶ月から半年はかかる」しかも「リハビリ専門の施設に転院する必要がある」とのこと。

「これから半年か…。」
その説明を傍らで妻が聞きながら、二人で重い表情になるしかなかった。
その不安を払拭するために、自分が今できることは「リハビリをがんばる!」それだけだ。
「早く元の身体に戻そう!」

痛みと恐怖のリハビリ

リハビリは、大きく分けて身体全体の機能を回復させるものと、手先・指先の機能を回復させるものがあった。
身体全体については、車イスから立ち、歩くことなどのリハビリである。

点滴をつけた棒を持ちながら、20mぐらいの円周をゆっくりと歩いてまわる。一歩一歩足にピリピリと痛みが走る。早く歩こうとしても脳と足への信号伝達が上手くいかず、つまずきそうになり、ロボットが歩いているようにぎこちない。

リハビリ中一番怖かったのが、階段下りである。
上りは目の前の段に合わせてゆっくり足を上げればよいが、下りは足元が見えないため、ふらついてしまう。
健常者であれば階段のステップで踏ん張ればよいが、足先の感覚が麻痺している私は、ふらついて足をくじいてしまうのではないかという恐怖があった。初めは「下りる」というより、「足をステップにゆっくりと置く」のが精一杯であった。

その他、ウォーキングマシン、自転車こぎ、ゴム伸ばしなど、健常者であれば日々の生活の中で当たり前にできていることを汗びっしょりになって行なった。

復帰への希望を取り戻すパソコンのリハビリ

手先・指先については、手を握る開くことやペンを使って描くなどのリハビリである。
これもまた大変で、手でグーをつくろうとするとピリピリ、開いてパーにしようとするとピリピリ。いちいちしびれと痛みが走る。
文字や図を描こうとしても手全体を使わないと描くことが出来ず、指先の繊細さが全くないのである。

リハビリの際、私は作業療法士の先生に、会社でパソコンを使うので早く指先を動かせるようにしたい、と訴えた。
ノートパソコンを準備してもらい、病気になってから今に至るまでを文字にして残す事にした。

この闘病記の基になったのだが、この作業も苦痛を伴うものであった。指先の感覚はまだ完全ではなく、指を動かす度にピリピリと痛みが走る。
しかし、パソコンで文字が打てなければ仕事にならない、仕事にならなければ廃人になってしまう、と恐怖の念にかられていた。

パソコンという仕事道具を目の前に、生きていくために早く復活しなければ!
「おまえは一人前に社会人としてこれからやって行けるか?!」
と現実を突きつけられた気がした。
私は必死に文字を打った。

痛みが走り、小指の感覚はまだ鈍いものの、小指以外はたどたどしくも文字を打てたので、嬉しかった。
よし、とにかく全力で取り組もう!何とか仕事はできそうだ、と希望が持てるひと時になった。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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