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Vol.9 ギランバレー症候群のリハビリ初日、変わり果てた自分の姿に絶句

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

鏡に映る自分に愕然

緊急病棟から車イスで移動すると、ほどなくしてリハビリ室に到着。
リハビリ室は様々なトレーニングをするところでもあり、大きな鏡が置かれていた。
そこでしばし絶句。言葉を失う。

「…これが俺?!」

そこには10日ぶりに映し出された自分の姿があった。
頭は洗髪後、ドライヤーをかけているとは言え、基本寝たきりなので、石川五右衛門のように完全に髪の毛が逆立っていた。

顔は痩せこけ、目は麻痺の後遺症で片目だけ吊り上がり、
まだ背中や腰に力が入らないので、老人のようにクシャリと前かがみになっていた。
「あ〜、情けない…。」

リハビリを始める前にすでに気力が落ちてしまった。

立ち方も忘れてしまった体

いよいよリハビリの時間がスタート。担当の作業療法士がついて、
「先ずは、立ち上がってみましょう!」
「はい…、むむっ。」

気持ちは立ち上がりたいが、力の入れ方を忘れてしまい、抱き抱えられてようやく立ち上がる。
点滴の棒に掴まっても、グラついてまともに立っていられない。
今までどうやって立っていたっけ?という感じ。「立つ」という事さえまともにできない。

普段、無意識に立って、歩いていたが、立つのに100のエネルギーいるとしたら、それを手にはどれぐらい配分したら良いのだろう?
足にはどれぐらい、膝には?腰には?という有様で、情けなくも、悲しい気持ちになった。

そんな私の気持ちとは関係無く、周りの70、80歳代の他の皆さんはスタスタと歩いたり、ストレッチしたり、ルームランナーで走り回っていたので、その軽快な様子と、自分との歴然とした差に思わず苦笑いした。
「あー、この方々と同じようになるには、あと何ヶ月かかるのだろう?」と。

作業療法士の「自分のペースで良いですからね〜。」という励ましの言葉に慰められながらも、自分は車イスで立ったり、座ったりを数回繰り返すで精一杯である。

座るのも、もも辺りに力が入らないので、1回1回、ドシン、ドシンと座面に落ちる感じで怖さもあった。
もちろん車イスはブレーキでロックされてるが、外れていたらバランスを崩して転びそうな気分になる。

とにかく、一般の人と比べてバネを外した感じ。
動きはぎこちなく、あちこちの力が全く入らないのである。

神経の回復を日々感じはじめていたが、リハビリ初日は「動かない体」を改めて痛感した1日であった。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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