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Vol.6 動かない体、心の起伏と葛藤。「生きるつらさ」との闘い

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

動かない体、心の起伏と葛藤

入院して1週間後くらいが、体中の麻痺と嘔吐が重なり最もつらい期間だった。
24時間寝たきりで何もできることはなく、朝になり夜になり、ただただ明るくなる、暗くなるをぼーっと感じながら、放心状態で1日を過ごしていた。

点滴と管だけの生活は本当に虚しく、看護師や医師に励まされながらも、心の起伏、葛藤は常にあった。
眠ることしかできないので、寝過ぎて頭は冴えている。
頭は冴えてはいるが、身体がまったく言うことをきかず、食べることも出すことも自分の意志で出来ない。

その頃私は「いったい自分は何のために生きているのだろうか」「何の役にも立たない人間なんじゃないか」
と自暴自棄になり、生きることのつらさを痛感していた。

タコかイカか。
全身の神経が効かない状態の私に残された部分は、脳と目と呼吸器~内臓まで。
声を出そうとしても出せていない。
自分では、そこそこしっかりと声を出しているつもりなのだが、看護師が口元まで耳を近づけてくるので「声が聞こえづらいんだな」というのがわかる。全身に力を入れて声を出そうとするが、かすれて弱々しい声しか発せられない。

副作用反応、嘔吐との闘い

血液製剤治療の副作用反応もつらかった。
ごくまれに副作用で吐き気を伴うと聞いていたが、その「まれ」に当たってしまった。

3~4時間に1回、胃液が胃に溜まった頃になると嘔吐する。
定期的に嘔吐するため、常にベットの横に受け皿を置いてもらっていた。

点滴で食事はしていないため、嘔吐しても胃液しか出ないが、吐いたものを受ける皿も自分の頭を支える力もなく、それこそ全身タコのように躍り上がって嘔吐する始末。
看護師がそばにいないと悲惨で、自分の吐いた物に顔を突っ込みそうになることが多かった。

吐き気は昼夜かまわず、時間を選ばず押し寄せてくる。
6人部屋で、周りの入院患者の方が食事を取っている時にも、状況にかまわず嘔吐してしまう。
「ごめんなさい!」「ごめんなさい!」と心の中で叫ぶしかなかった。
嘔吐のつらさに加え、心もヒリヒリするほど本当に苦しかった。

「はぁ~、俺って何のために生きているのだろう…」
そう思うことで、精いっぱいの日々だった。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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