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Vol.13 トントン拍子でやってきた退院当日、不安とともに病院を後に

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

退院前夜に事件「出るモノが出ない!」

予想外の退院許可、驚きもつかの間の一般病棟への移動。
トントン拍子で進む展開に、「うまく社会復帰できるかなぁ」という不安。
そしてその不安は的中し、その日の夜にやってきた。

(※注:食事中の方は、読み続けるのを一時中断した方が良いかもしれません。)

しばらく点滴だけで栄養を摂っていた私の身体は、まだ回復半ば、当然ながら内臓も同じくである。
「えんげ」のリハビリをクリアし、食事も2日程前から一人前にできるようになった。

だが、まだ出てなかった。ざっと10日間程、便が出ていなかった。

退院前夜にお腹がムズムズしてきた。
皆、寝静まっていたので、おそらく22時は過ぎていただろう。
トイレに向かい、便座に座るが、出口付近の便が硬化していて、全く外に出る気配がない。
その状態に、一人で軽くパニックになっていた。

  1. 焦る
  2. 肛門が裂けそうになる
  3. 痛くて泣きそうになる
  4. いきみすぎて貧血気味になる
  5. 「ナースコールを押すか?」と考える
  6. 「でも、明日退院なのに、ナースコールを押して大騒ぎしたくない」と思いとどまる
  7. だんだん精神的にも肉体的にも限界を感じる
  8. ゆっくりと肛門を閉める
  9. 静かに自分のベッドに戻る
  10. 「やっぱ、明日看護師に言おう」と目をつぶる

ここまで、かれこれ3、40分以上は経過しただろう。
病室に戻り、ほとんど眠れない夜を過ごした。

朝、開口一番「すみません、便が出なくて困っています。」と看護師に伝えた。
「あー、じゃ先生に確認して、下剤持ってきますね。」とう返事に、私は素直に「はい」というので精一杯だった。

なぜなら、今まで別病棟にいた私は「よそ者気分」のまま即日退院する状況であったため、昨晩の切羽詰まった状況を伝えられなかったのである。
そしてこの遠慮が、後々悲劇を生むことになったのだ。

「戦場」救急病棟との別れ

看護師からもらった下剤を飲んでから間もなく、退院のため妻が迎えに来てくれた。
支払い等、手続きを済ませ、私と共に病気と闘ってくれた、救急病棟の看護師の皆さま方に挨拶すべく病棟に向かった。

やはりそのような時でも「救急病棟」の緊迫した空気は変わらない。
幾重にもなる自動扉の奥から、リーダーの方が出てきてくれ、
リーダー:「退院できて良かったですね。」
私:「ありがとうございます!皆さんにもよろしくお伝えください。」
リーダー:「はい、皆も出てきたいと思いますが、勤務中なので私から伝えておきます。どうかお大事に。」
と、ものの1、2分で会話は終了した。

一般病棟とは大きな差がある。
生死の境で一時も目を離す事のできない患者たちが扉の向こうで待っている現場。いわば、「戦場の救命隊員」である。
その使命感、緊張感あふれる空気感にただただ御礼の頭を垂れるしかできなかった。

「本日、退院します。皆さんに看て頂いていなければ、ここまで復活しなかったかもしれません。本当にありがとうございました!」

感謝いっぱいの想いで病院を後にし、シャバに出る。外の光が本当に眩しく感じる。
病院に用があって来る人、用を終えて帰る人。

どこにでもある見慣れた風景だが、テレビや新聞など外からの情報が一切遮断されていたため、私にとっては全てが新鮮だった。

退院となったものの、片方の目はまだ引きつったままで吊り上がり、歩みもぎこちなく、スタスタとスムーズに歩けるわけでもない。

きしむ足を「リハビリ、リハビリ、全部リハビリ」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩踏みしめるように歩いた。
義理の両親が我が子を連れて、駐車場で待っていてくれた。生後9か月になる娘にも久々に会えた。

退院の喜びと同時に、このぎこちない身体で本当に社会復帰できるのか、不安でいっぱいであった。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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