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Vol.5 寝たきりでトイレにも行けない!体中が管だらけの入院生活

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

とにかく一番つらいのは排泄

入院中、一番つらい思いをしたのがズバリ排泄である。

自分の意志でしたいときにできないのは本当につらい。
初めは、ただ付き添われて普通にトイレへ。
麻痺が進行すると、ベットから抱えてもらい、車いすでトイレに行き、便座に座らせてもらう。
用が足し終わるとナースコール押し、パンツとズボンをはかせてもらう。

やがて、パンツがおむつに代わるようになる。

入院して4日目ぐらいに、初めてトイレで気絶しかかった。
「大」をしている時にいきむことができず、息がハァハァして、血圧が下がり、身体が冷たくなるのを感じた。
なんとか出し切ろうとするのだが、苦しくて最後は冷や汗がボタボタ。パジャマは汗でびっしょり。
気絶寸前で「呼び出しボタン」を押した。

「すみません、気分が悪くて・・・」というのが精一杯。
排便途中の恥ずかしさで、気絶寸前までふんばってしまったのである。
その後の記憶はあまりない。
気づいたらベットで寝ていたという始末。

車イスも入れる多目的トイレなどで、よく見かける呼び出しボタンは、まさに「命のボタン」なんだと、その時痛感した。

入院して5、6日目くらいがどん底だった。

9本の管につながれ、自力で食べ物も飲み込めないので点滴で栄養を取る状態。
排泄は、「小」は管をつけて、溜まったら自動的に出す、「大」は浣腸でお尻に容器をあて、ベットの上で出す状況。
仕方がないとわかっていても、用を足す度に恥ずかしさと情けなさが込み上げる。

しかし、徐々に羞恥心は消え、看護師に心を開放し、全てを委ねるようになった。

看護師チームへの感謝

看護師と言うと、女性中心のイメージがあったが、この救急病棟は全く違う。
女性6:男性4で、男女の差はほぼない。
酸素吸入器が外れたり痰がつまったら、自分で対応できない人もいるため、この病棟は常に死と直結している現場である。

看護師は朝夕の2交代で、1チーム4名程度で2チーム制。リーダーも交代で行う。
「今回リーダーを務めさせていただきます○○です。Iさん、様子はいかがですか?」
とチームメンバーと共に回ってくる。
「ちょっと足が痛みます」「呼吸が苦しいです」など、一言も聞き逃さず、チーム交代時にしっかりと引き継いでくれ、本当に感心した。

先ほど「羞恥心は消えて」と言ったが、男性に下の世話をしてもらう機会が多く、最初はさすがに戸惑った。

しかし、神経の通っていない骨抜きイカのような私の下を、男性看護師が丁寧に洗ってくれている時は、ホントに申し訳ない気持ちと同時に、感謝と尊敬の念でいっぱいになり、ひたすら「もうこの人には一生頭が上がらない」と感じていた。

自分にはこの仕事は到底できない。
でも、ここにいる人は皆、強い使命感をもって仕事に従事している。

「本当にすごい!」
「心からありがとう!」

この気持ちは、今でも忘れずに私の心に刻まれている。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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