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Vol.8 10日ぶりの洗髪と外の景色、「生」の輝きに触れる

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

普通の「日常」に喜びを感じるとき

入院期間も、10日ほど経ち、神経の感覚も少しずつ戻り、全身で身体に血が巡るのを感じるようになってきた。
張り巡らされていた様々な管もどんどん外されいき、おしっこ用の管と点滴の管くらいになってきた。

その頃、一番嬉しかったのは洗髪である。
身体については、毎日全身くまなく拭いてもらっていたが、頭髪まで意識が回っていなかった。

シャンプー用のベッドに身体を移し、ゆっくりと頭にシャワーでお湯をかけてもらう。頭皮に血の巡りをじんわりと感じる。

ベテラン看護師が、手際よく、また泡が飛び散らないように手を動かす。寝たままジャブジャブしてもらい、まさに生き返る心地であった。

私は「気持ちいいで-す!」と思わず叫ぶ。

「かゆいところないですか?」の言葉に甘えて「あっちも」「こっちも」とお願いした。
普段、美容室等でもそうだが、他人に頭を洗ってもらうのは、本当に気持ちいいものである。

ほどなくして、リハビリを行う事になる。
リハビリ室は別病棟にあるため、車イスに乗って10日ぶりに離れた病棟まで移動する。
刑務所に入った事は無いが、久しぶりにシャバの空気に触れる気分であった。

日常の景色に「生」を実感

入院してからの10日間は、医師、看護師、患者、面会者含めて、ほぼ同じ顔触れであった。
別病棟のリハビリ室に行くまでの長い廊下を進みながら、すれ違う一般の人々、病院で働いている人たちがとても輝いて見えた。

さらに50メートルほどの渡り廊下を通る時、私は思わず声を上げた。

「あっ、外だ!」

車イスを押されている方は「そうですよね、久しぶりですよね、外見るの。」 とさらりと答える。

そう。見える景色は、病院と病院をつないでる裏路地みたいな風景で、さして美しいものとは言えない。
だが、私はしばしボーっとその風景に見とれていた。

外は曇ってもいたが、私はその景色に「生」を感じたのである。まさに「生きている!」という実感である。

日々淡々と「日常」が流れている空気に胸踊る気持ちだった。
「早く治してこの日常に飛び出して行きたい!」 と。

外の景色に心を奪われながら、リハビリ室に向かった。

しかし、リハビリ室に向かうまでに感じた、喜びや回復に向けた希望は一瞬でくじかれることになる。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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