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Vol.3 入院当日、集中治療室では「まな板の上のコイ」

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

なされるがままに身を任せるしかなく

近くの総合病院の医師から転院を命ぜられ、大学病院に。

救急病棟に到着するや否や服を脱がされ、診察台に横たわるように指示される。
検査用として血液、髄液、点滴等、立て続けに3本ほどの注射。

救急の集中治療室で妻も中に入ることはできず、一人、ただなされるがまま。
「治験用に2本取っといて~!」
看護師の言葉を耳に、モルモット実験のような気持ちで身を任せるしかなく、
まさに「まな板の上のコイ」状態。

注射を打たれながら、ギランバレーの病気について治療方針の説明・同意、家族の遺伝性の確認を受ける。
妻にも廊下で同じ説明をします、と事務的に伝えられ「はい、お願いします!」という他なかった。

治療方針概要は

  1. 血液製剤を3日間点滴投与し、1週間程度様子見
  2. 麻痺が治らなければ、もう1クール点滴投与
  3. それでもダメなら、透析治療のように血液を入替え
    神経麻痺により自力で呼吸できなくなった時には、喉に管を入れ、人工呼吸器をつける可能性あり。
    しかも3週間以上かかる場合には、喉を切開して管を通す。
  4. しびれが治ったら、別の施設でリハビリ。リハビリは半年~1年

以上。

後から聞いた話だが、この時、妻は廊下の待合で同じ説明を聞き、涙を流しながら同意書など何枚もの書類にサインをさせられていたそうである。

夫はどうなるのだろうか、
1年も入院するようになるのであろうか、
障害は残るのだろうか、
費用は一体どれくらいかかるのだろうか、
生後8か月の乳飲み子を抱えて一人で子育てができるのだろうか、・・・と。

しびれの進行、自力で動かなくなる体

その頃、私の手足のしびれは、末端の指先から腕や足も根本の方まで着々と進行してきていた。
筋肉や神経伝達の検査のため、すぐに「筋電検査」が行なわれた。

「筋電検査」とは、身体のあらゆる箇所に電気を通し、その伝達速度を計測するもの。
つまり、計測するたびに感電をさせるようなもので、痛みもあり検査の中で一番苦手であった。

検査師:「ごめんなさいね~、痛いですよ。」
私:「はい」
ビリッ!
私:「はぁ~。」

これが1セットで、合計30回は感電させられる感じ。
冷や汗やら、あぶら汗やら、もう体中からあらゆる汗が吹き出し、終わるころには、心身ともにヘトヘトになってしまう。

検査場所は一般病棟にあるため、検査後、救急病棟へ戻る経路で大勢の外来患者の前を、ベットに横たわりながら移動していく。
「あの人、重い病の人なのかな・・・」という視線をビシバシ感じながら、
頭の中では「あぁ、このベット上の視線は、なんか、病院のドラマみたいだな」
などとぼんやり考えていると、次第に検査の緊張から脱力感に変わっていく。

救急病棟に戻ると、入院用ベットの前に移動用の乗物が横付けされる。
「ベッドに移れるかな」と言われるも、手足に力が入らない。

この時点で、すでに自力ではすぐ横のベッドにさえ、もう移動できない状況になっていた。
入院当日の夜は、想像以上に体の自由が早く奪われているのを感じ、これからどうなるのか、ただただ不安だった。

プロフィール
岩本 晃一

岩本 晃一(いわもと こういち)

株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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