自社で自動車を取得した場合、自動車保険契約をどのような考え方で、どのような補償にすればいいのか?迷われる保険のご担当者もいるのではないでしょうか。
個人と法人の自動車保険の契約は、同じ補償内容のままでいいのか?、どこに気を付ければいいのか、補償額を決めるポイント等を経営者視点、事業リスク視点から解説いたします。
付保すべき自動車保険の補償内容の構成は、基本的に個人も法人も同じ
自動車保険は法人も個人も基本の仕組みは同じです。
相手への賠償、運転者や同乗者への補償、車の補償の3つから成り立っています。
| 補償 |
保険 |
| 相手への補償 |
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運転者や同乗者 への補償 |
|
| 車の補償 |
|
自動車保険は万が一の備え『相手方への補償が最大の目的』ですので、保険契約者が法人でも個人でも「保険金額は無制限」という考え方が基本です。
自動車保険として考え方は同じでも、法人契約と個人契約の違いは「運転者のみではなく、事業主として責任が問われる」ということです。会社の運行管理に問題がなかったか?適切な労働条件下でドライバーは働いていたか?など会社側の責任です。ここでは事業継続の視点で自動車事故による「会社の信用と事業継続」、「自動車保険と事業の関連性」の観点に絞って説明いたします。
相手への賠償は無制限が基本
「対人対物無制限」が基本です。
高額な賠償に備えることはもちろん重要ですが、法人の場合は事故時の「会社の信用」も問われることになります。代理店から対人・対物賠償を
無制限にするようにすすめられた経験がある方もいらっしゃるかと思います。
最近では保険金額を自由に選べる形ではなく、基本補償が無制限となっている保険会社も増えてきています。
『対物の補償額も無制限』が当たり前に
損害保険料率算出機構※によると、自家用普通乗用車の98.9%が対物の補償を無制限に設定しており、個人も法人も自動車保険の加入者にとっては対物補償は無制限が一般的になっているということが分かります。
過去、首都高速道路での事故でタンクローリーが炎上、修理費用と逸失利益で45億円程度と膨大な費用がかかることがニュースで取り上げられました。万が一、保険の補償額が足りなかった場合、会社としての信用や事業継続そのものへの問題につながりかねません。対物の補償額を無制限に設定することが安心につながります。
※出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況2024年度版」(2025年4月発行)
死亡事故に備えた一時金特約も有効
対人賠償は、通常ケガの治療費や慰謝料が支払いの対象になります。それに加えて被害者を死亡させてしまった場合、賠償額が決定する前に、葬儀時の一時金として10万円など、慶弔費用が保険金として支払われる保険もあります。
対人賠償の補償の中で払われる場合と、特約のセットが必要な場合があるので確認してみてはいかがでしょうか。
車両の利用目的・経営状況に併せた自動車保険料を安く抑えるポイント
車両保険をつけると保険料が大幅に上がります。まずは自社の現状に合わせて検討しましょう。遊休車がある、会社の利益が十分に出ているなどの場合には車両保険を付保し、保険料を気にしなくてもよいかもしれません。しかし、車が複数台になる場合はどうしても保険料が高くなり、悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
車両保険を付けるか迷われた時の検討ポイントは、社用車の利用目的や事業リスクです。車両が無ければ売り上げが下がる貨物宅配や、訪問介護、食品の配送サービスなど、自動車がなければ事業が成り立たないビジネスの場合には事故で失った事業機会の損失も含め検討しつつ車両保険を検討してみてはいかがでしょうか。
車がなくなった時を想定して補償を設定
車のちょっとしたキズやヘコみであれば業務には影響ないケースが多いと思います。
一方で大きな事故で修理できないほど壊れてしまった場合、業務を行うことができません。
また、大規模な水災害等で駐車場に停めてあった車が全て流されてしまった時など、新たな車の取得には時間も費用もかかり、事業自体の継続が難しくなってしまいます。駐車場のある場所のハザードマップを確認し、車両保険に水災害を付保するかどうか?の検討も重要です。付保する車両保険に「水災害」が付保されているか?確認してみてください。保険会社によっては選択制になっている場合もございます。
このように車がなければ事業が成り立たない場合、車両保険があると万が一の備えになります。
免責金額を設定して保険料を抑える
少しでも自動車保険料を安くしたい場合には、契約時に「免責金額」を設定する方法もあります。免責金額とは「(保険会社が支払う保険金額の)責任を免除する金額」ということになります。契約する保険会社によって設定できる金額は変わりますが、事故時に保険金として全額を受け取るのではなく「契約者が自分で負担する金額」をあらかじめ設定する、とお考えいただくとわかりやすいでしょう。事故時には免責金額を超えた金額を保険会社が保険金として負担します。
免責金額を設定した場合、保険会社の側から見ると保険金支払いが少なくなるため、その分保険料を低く設定することができます。
免責金額は、事故が起きなければ負担することはありませんので、保険料を安くするために有効です。
法人契約の自動車保険は、車両台数により契約形態が変わる
法人契約で自動車保険に加入する場合には、車両の台数により契約形態が変わります。10台以上の自動車がある場合には1枚の保険証券にまとめて契約する「フリート契約」となります。フリート契約は優良割引により大きな保険料割引が適用され、運送会社など数百台単位で自動車保険に契約する場合には有利に働きます。
また、10台未満の場合は通常の1台単位の契約ですが、損害保険会社によっては自動車の台数が2~9台でも1枚の保険証券で契約できる「ミニフリート契約」を用意している保険会社や、1枚の保険証券にまとめずに2台目以降から複数所有割引が適用される保険会社もあります。
「バイク保険もフリート契約の対象に」
フリート契約は、自動車保険のみならず、バイク保険もフリート契約の対象となります。その他ナンバープレートのついている車両の保険であれば、合算してフリート契約の対象とすることが可能です。(特殊車両につきましては各保険会社にご確認ください)
| | ノンフリート 契約 | フリート契約 |
|---|
| 車の台数 | 1台~9台 | 10台以上 |
|---|
保険料率 制度 | 等級別料率 制度 | 優良割引制度 |
|---|
割増引率の 決定方法 | 事故のあり・なし、事故の種類 | 保険料、 支払保険金 |
|---|
フリート契約は翌年の保険料の値上がりに注意
一般的な自動車保険契約の場合、事故など保険金が支払われると等級が下がり、翌年以降の保険料が上がります。保険料は等級に応じて管理されています。フリート契約の場合、保険証券が1枚の契約になっていますので、1台が大きな事故を起こした際にその他の車の保険料に影響を与えてしてしまい、契約全体の割引率が下がった結果、翌年度の保険料があがってしまうデメリットがあります。人身傷害などで高額な保険金が支払われると、翌年からの保険料はかなり上がることになります。
また、複数年連続して重大事故が発生した場合など、「運行管理に問題がある会社なのではないか?」ということになり、割引率が大幅に低下することや、場合により割増率が適用されることも考えられます。
フリート契約でのデータは、契約している保険会社のほか、損害保険料率算出機構でも管理されます。そのため契約保険会社以外での見積り依頼時には必ず事故歴等の情報が共有されますので、他の保険会社で見積りを取っても事故歴・保険金支払い歴等の過去データは引き継がれて見積りがなされます。
自動車保険フリート契約のお見積りをご希望の方へ
法人自動車保険・フリート契約のご案内
法人自動車保険のフリート契約について、経験豊富な専門コンサルタントがご対応させていただきます。まずはサイトをご覧ください。WEBからお見積り依頼が可能です。
法人保険比較&リスクコンサルティング
法人保険ライフィ
事業継続を第一に考えた運行管理と法人自動車保険管理を
自動車事故発生時の損害に備える、という点では個人も法人も考え方は同じです。
しかし、法人の場合には事業者としての責任も発生します。そのため適切なドライバーの労働環境の維持、積載オーバーにならないなどの安全な運行管理、定期的なドライバーへの安全運転講習は、企業の責任としての重要な業務となってきます。無制限の補償額に加入していても、会社側に重大な過失があると認められれば保険金額を減額される場合もあります。事故のリスクだけではなく経営のリスク、という観点も加えて自動車保険と共に社内の管理体制を検討してみてはいかがでしょうか。
9台以下なら法人契約が可能な通販型自動車保険もあります。
保険料を少しでも抑えたいという方はネットの自動車保険の検討もおすすめします。通販型とも呼ばれるネットの自動車保険は個人向けが多いですが、一部法人契約ができる自動車保険会社もあります。ここでは法人契約が可能な通販型自動車保険5社をご紹介しておりますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、法人契約は電話での申込みに限られる、緑ナンバーや黒ナンバーなど営業用の車種は対象外など、保険会社によりいくつか制約があることもあり、詳細については各保険会社へご確認ください。
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執筆者プロフィール
ライフィ編集部
「お困りごと解決のためのお役立ち情報サイト」を目指し、生命保険・損害保険を中心に、健康や家計などさまざまな情報を掲載しています。メンバーは独自の視点でお客さまのお困りごとに日々耳を傾け、編集・発信しています。
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