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更新:(公開:2016年4月19日)

【FPが解説】持病のある人の生命保険の選び方 3つの保険の検討手順を解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

持病がある人の生命保険の選び方 検討手順をFPが解説

持病があると、生命保険に入りにくいと聞いたことはありませんか?持病を理由に、生命保険に入れるかどうか心配なときには、どのように保険を探すといいのでしょうか?

持病や入院歴があるときの生命保険の選び方や探し方の手順を解説します。

持病がある人の生命保険の選び方とは

生命保険には健康に関する告知や診査があり、原則として健康な人が加入できることになっています。

持病で治療中だったり、入院や手術をしてから間もなかったりすると、保険に申し込もうとしたときに、加入できないと言われる場合があります。
そんな心配があるときには、生命保険をどのように選べばいいのでしょうか。

傷病歴が生命保険の加入に影響するかどうかは、病気やケガの治療状況、症状などにより、保険会社が個別に判断します。

病気の種類や重度などにもよるため一概にはいえませんが、まずは標準的な保険を検討したうえで、加入が難しいときに、持病がある人向けの保険を探してみるのが一般的な流れです。

持病がある人が生命保険を選ぶときの順序
持病がある人が生命保険を選ぶときの順序
持病がある人が生命保険を選ぶときの順序

1.まずは標準的な生命保険を検討

告知した内容によっては、持病があったり最近に入院や手術をしたことがあったりしても、一般的な保険に加入できることがあります。

持病があっても標準的な保険に加入できる場合がある

生命保険の告知は、詳細な質問内容は保険の種類や商品により異なりますが、質問に該当しない病気やケガであれば告知する必要はありません。

また告知事項に該当することがあっても、それだけで加入に支障が出るとは限りません。病気やケガをしたけれど、もうすでに完治しているような場合には、保険の加入では影響ないことがあります。

あるいは、がん保険のように特定の病気を保障する保険では、がんに直接関わらない傷病歴は問われないものもあります。

加入の際に条件が付く場合も

持病の治療中であったり、薬を飲み続けているような場合には、条件付で加入できることがあります。

条件の付き方は持病の状況や加入する保険の種類などに応じて保険会社が指定しますが、保険料の割増や、特定の身体部位や病気を保障の対象外とする「特定部位不担保」「特定疾病不担保」などがあります。

持病や傷病歴による加入可否や契約への条件は、告知書に記載した内容に基づいて判断されるのが基本ですが、審査にあたって追加で保険会社から詳細な問合せを受けることがあります。

あるいは、申し込む前におおまかな加入の目安を確認できる場合もあります。まずは希望する保険の加入要件について相談してみてもよいでしょう。

標準的な保険の注意点

標準的な保険に加入できる場合、特に条件が付かなければ通常通りの保障内容、保険料で契約しますが、条件が付くと保障が削減されたり保険料が高くなったりすることがあります。

希望した保障を確保できなかったり、保険料の負担が重くなったりしますので、保険へのニーズを十分に満たせているか、無理なく保険料を払っていけるかを事前に考えてから契約することが大切です。

条件によっては、持病がある人向けの引受基準緩和型の保険に契約した方が、希望に近い保障を確保できることもあるでしょう。

また、加入の可否や条件の有無、付加される条件の内容は、同じ人が同じような保険に申し込むとしても、保険会社によって判断が異なることがあります。
1社からの回答だけで判断せずに、複数社に申込みの可否や条件について確認してみるのもひとつの方法です。

コールセンターなどで、おおまかな目安について相談したり、事前査定といって正式な申込前に告知を出してみる方法もあります。

ただし、自身の健康状態や治療の状況などを個別に伝え、各社に判断してもらうには手間と時間がかかります。契約までに時間のゆとりをもって手続きを進めていく必要がありそうです。

標準的な生命保険に加入するときの注意点
  • 条件が付く場合がある
  • 条件によって、保障が限られたり保険料が割高になることがある
  • 加入の判断が保険会社によって異なる場合がある
  • 加入可否を個別に確認する必要がある

2.持病がある人向けの「引受基準緩和型」を検討

標準的な保険には加入できないと言われた、条件付なら加入できるものの、条件の内容が自分の希望に合わないといったときには、持病がある人向けの保険を探してみましょう。

持病がある人が入りやすい保険には、引受基準緩和型と無選択型があり、このうち引受基準緩和型は、告知項目が少ない保険です。
無選択型は告知がなく、基本的に誰でも加入できますが、保障の充実度や保険料の割安性は、引受基準緩和型の方が上回る傾向があります。

持病の状況にもよりますが、無選択型より先に引受基準緩和型を探してみるとよいでしょう。

引受基準緩和型の注意点

引受基準緩和型の保険は告知事項が2~5項目程度と少なく、標準的な保険では加入を断られるような傷病歴があっても、告知事項に該当しなければ告知する必要はありません。
ただし、ひとつでも該当があると申込ができない点には注意が必要です。

また、同じ保障内容や保障額の標準的な保険と比べると、保険料が割高です。加えて、契約後1年間は保険金額が半額になるなど、保険金・給付金の削減がされるものもあります。

3.持病がある方向けの「無選択型」を検討

引受基準緩和型の保険への加入も難しい場合には、無選択型の保険を検討してみましょう。健康に関する告知がないため、持病があっても加入できます。

無選択型の注意点

無選択型の保険は健康状態にかかわらず契約できる反面、引受基準緩和型以上に保険料が割高です。

また、保障内容は死亡保険金や入院給付金のみなどとシンプルで、オプションが少ない傾向があります。
通院や3大疾病(がん・脳卒中・心血管疾患)など幅広い特約を付けて保障を手厚くするには不十分かもしれません。

取り扱っている保険会社もそれほど多くないため、商品数が少なく、選択肢が限定される点も要注意です。

生命保険の標準的型・引受基準緩和型・無選択の違い
  標準的な保険 引受基準緩和型 無選択型
告知・
診査
あり
※10項目前後
あり
※2~5項目のみ
なし
加入
できる人
健康な人 告知項目に
該当しない人
全ての人
(年齢制限あり)
保険料 標準的 割高 割高
保障の
内容
標準的
  • 特約など選択肢が多い
シンプル
  • 特約など少ない傾向
  • 保険金削減期間ありの場合も
シンプル
  • 特約など少ない傾向
  • 保険金削減期間ありの場合も

持病の経過や状況に合った保険を探して

ひとくちに持病があるといっても、保険に加入するときにどの程度影響があるかは、病気の状況や加入する保険により異なります。

また、同じ人が同じ種類の保険に加入する場合でも、保険会社によって査定の判断が異なることもあります。
持病を抱えた状態でどの保険に加入できるか、またどれくらい希望に近い保険を選ぶことができるのかは個別差があります。

保険会社や保険の取扱店などに相談してみると、加入の可能性や自分に合った選択肢が見えてくるかもしれませんね。

今、みんなが選んでいる
今、みんなが選んでいる

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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