女性特有の病気のひとつである子宮筋腫。状況により、投薬や手術などの治療が必要ですが、その際には生命保険は受け取れるのでしょうか。
また、子宮筋腫が見つかったときや治療中には保険に入れるのでしょうか?
子宮筋腫で受け取れる生命保険や、加入できる保険について解説します。
子宮筋腫での入院・手術はどれくらい?
子宮にできる良性の腫瘍である子宮筋腫は、女性特有の病気のひとつです。厚生労働省のデータをみると、30歳代から患者数が増え始め、40~50代にかけて多いことがわかります。
また、入院よりも外来で治療するケースが多くなっています。
筋腫を摘出するために入院、手術をすることもありますが、全体的には通院で治療することが多いようです。
子宮筋腫の推計患者数
出典:厚生労働省「患者調査平成29年」
子宮筋腫で受け取れる生命保険
もしも子宮筋腫が見つかったら、生命保険はどのように受け取れるのでしょうか。
契約している保険の内容にもよりますが、基本的には治療のために入院したときには入院給付金、手術を受けたときには手術給付金の対象になります。
入院給付金
子宮筋腫の治療のために入院したときに給付されます。
入院日数に応じて支払われるタイプや、日数にかかわらず一律の金額が支払われるタイプ、治療にかかった費用の実費が支払われるタイプなどがあります。
手術給付金
筋腫のできた部位や大きさなどによっては、摘出手術を受けることがあります。医療保険などに手術給付金の保障がついていれば給付されます。
手術の内容によって、入院給付金の日額の10倍や20倍など、金額が変わることがあります。
子宮筋腫の場合、子宮筋腫手術、子宮全摘出術、子宮筋腫核出術などが対象になるようです。
女性疾病給付金
医療保険や生命保険には、女性特有の病気を保障する特約が付いていることがあります。子宮筋腫はほとんどの保険会社で女性疾病に含まれますので、上述の入院給付金とは別に、女性疾病給付金を受け取れます。
入院給付金の日額が2倍になる、入院一時金が上乗せされるような保険もあります。
先進医療給付金
先進医療の対象になる手術・医療技術を利用した場合には、先進医療特約の給付対象になります。
子宮筋腫の治療や摘出手術では、先進医療を用いるケースはほとんど無いようですが、もし利用する場合には、契約している保険の先進医療特約から、技術料の実費を受け取れる可能性があります。
子宮筋腫の治療中・治療後でも、生命保険に加入できる?
では、これまでに子宮筋腫の治療を受けたことがある人や、現在治療を受けている人は、新たに生命保険に加入できるのでしょうか?
生命保険や医療保険に契約する際には、健康に関する告知や診査が必要です。
告知や診査の内容は、申し込もうとする保険の種類や保険会社によって異なりますが、所定の期間中に治療を受けたことがあれば、その旨を告知する必要があります。
一般的には、直近3カ月以内に診察や治療、投薬を受けているかどうか、過去5年以内に手術や7日以上の入院をしたことがあるかなどを問われます。
治療状況や経過によって加入できる保険が変わる
つまり、もし、これまでに子宮筋腫を摘出したことがあるものの、手術から5年以上経っていて、今はもう治療はしていないようなケースなら、標準的な生命保険や医療保険、がん保険などに加入できる可能性があります。
あるいは、現在治療中でも、通院で薬を処方してもらっているのみで手術をしたことがない、医師から入院や手術を勧められていないといったケースなら、治療中であることの告知は必要ですが、一部の保険に加入できる可能性があります。おもに、持病がある人向けの「引受基準緩和型」の保険が考えられます。
このように、治療の経過や現在の状況によって、加入できる保険の選択肢が変わってきます。詳しいことは保険会社や保険を取り扱う代理店などに相談してみると、ご自身が加入できる可能性のイメージがつくのではないでしょうか。
また、いずれの保険にも加入の見通しが立たないときには、健康状態にかかわらず申し込める「無選択型」の保険を選ぶのもひとつの方法です。
子宮筋腫の経過観察中であれば生命保険に加入できる?
これまでに子宮筋腫が見つかったものの、経過観察中で治療を受けたことはないというケースもあるでしょう。そんなときでも、生命保険の加入時に告知は必要です。
告知書には、所定の期間内に健康診断や人間ドック、婦人科検診などで異常を指摘された場合には、治療中でなくても、その旨を告知する必要があります。一般的には、過去2年以内に指摘があったかどうかを問われるようです。
指摘があっても、入院や手術を受ける予定がなければ、標準的な医療保険や生命保険に加入できる可能性はあります。
ただし、子宮に関わる病気は部位不担保になる、条件付の契約になる可能性があります。
または、持病がある人向けの引受基準緩和型の保険であれば、加入できるかもしれません。
しかし、医師から手術を勧められている場合には、引受基準緩和型の保険にも加入できない可能性が高いようです。
子宮筋腫が見つかったときへの備えを、生命保険で対応
40~50歳代では、子宮筋腫はそれほど珍しい病気ではありません。しかし、治療のために入院や手術をすることになれば不安を感じることもあるでしょう。
多くは公的な医療制度で医療費の負担が軽減されますが、民間の生命保険で補える部分もあります。
また、すでに子宮筋腫の治療中であると、新たな保険への加入は制限されることがありますが、告知内容によっては、標準的な保険に加入できたり、持病がある人に向けた保険を選ぶ方法もあります。
自分に合った保険を選んで、経済的な不安を軽減できるといいですね。
今みんなが選んでいる保険は?
※出典:厚生労働省「平成29年患者調査」
参考:厚生労働省「スマートライフプロジェクト」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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