医療保険にはたくさんの種類や契約方法があってなかなか分かりにくいものです。ここでは「入院限度日数(支払限度日数)」について解説します。
医療保険の「入院限度日数(支払限度日数)」とは?
医療保険のパンフレットを見ていると「1回の入院30日」「1入院60日」「1回の入院120日」などという説明があります。これを「入院限度日数(支払限度日数)」といい、1入院(1回の入院)あたり、何日まで保険給付金を受け取れるかをさします。
「1入院(1回の入院)」とは?
では、「1入院(いちにゅういん)」や「1回の入院」とはどんな状態のことをいうのか、ご存知ですか?
医療保険のパンフレットなどに記載されている給付内容を表す言葉の一つです。病気あるいはケガなどで1回の入院に際し、入院してから退院するまでの期間をさします。
入院限度日数(支払限度日数)は商品によってさまざま
現在販売されている医療保険には、1入院(1回の入院)で30日・60日・120日などの短い期間を保障するタイプと360日・730日などの長い期間を保障するタイプがあります。
最近は、入院限度日数(支払限度日数)が60日の医療保険が多くなっています。「1入院の支払限度日数60日」の医療保険に加入していた場合、病気やケガなどで71日間入院したとしても、60日分の入院給付金しか受け取ることができません。
それならば「1入院の入院限度日数(支払限度日数)はできるだけ長いほうがいい!」と思いますよね。ところが、1入院の入院限度日数(支払限度日数)が長くなる分、保険料が上がってしまうというデメリットがあります。
では、入院限度日数(支払限度日数)は何日で設定すれば良いのでしょうか。
実際の入院日数はどれくらい?
私たちが病気やケガで入院した場合、どれくらいの期間入院するのでしょうか?データを見てみましょう。
年齢別 入院日数はどれくらいが多い?
生命保険文化センターの調査によると、年齢によって入院日数の分布に違いがあることがわかります。
40代までは約半数が1週間以内の入院であるのに対して、50代では8日以上の入院をする人が過半数を超えています。また60代では15~30日の入院が4分の1を占め、1ヶ月以上の入院も他の年代に比べて多いようです。
とはいえ、60代であっても90%以上の方が2ヶ月以内に退院していることがわかります。
つまり、入院期間はおおよそ60日以内のケースが多いと考えられます。
30代~60代の入院時の入院日数
出典:生命保険文化センター平成28年度「生活保障に関する調査」を基に筆者作成
病気別の平均入院日数はどれくらい?
もちろん、病気の重症度によって入院の長さは異なります。そこで厚生労働省の調査結果を見てみると、主な病気の平均入院日数※は31.5日です。
病気の種類によって差がありますが、60日を超える入院が必要な病気は限られていることがわかります。また、病気の種類によっては入院期間が1週間に満たないものもあります。
入院在院日数
出典:厚生労働省「患者調査」(平成26年)を基に筆者作成
※上記表の「平均在院日数」とは、調査期間中の退院患者について病気別・年齢別条件によりそのときの入院期間を単純に平均化したものであり、病気別の完治までの平均入院日数ではありません。
医療保険の1入院の限度日数は何日あればいい?
上記のデータからみれば、1入院の限度日数は、60日あれば多くの病気を基本的にカバーできると考えられます。
ただし、脳血管疾患など一部の入院が長期化する可能性のある病気などの場合です、1入院日が60日では足りないことも考えられます。
医療保険の中には、七大生活習慣病で入院された場合に、1入院の支払限度日数が120日などに拡大するタイプもあります。
長期の入院がご心配な場合は、七大生活習慣病の入院に手厚い医療保険も検討して、安心できる保障を確保してください。
※保険商品によっては七大生活習慣病の定義が上記とは異なる場合があります。商品詳細については「パンフレット」、「重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報・その他重要なお知らせ)」、「ご契約のしおり・約款」等を必ずご覧ください。
2つの医療保険に分けて加入するのも手
例えば、七大生活習慣病による入院は、1入院の保障日数が120日になる医療保険と、1入院60日の別の医療保険にそれぞれ入院日額5千円ずつ加入。60日までの入院は2つの医療保険から5千円ずつ合計1万円を受取り、61日~120日目の入院は七大生活習慣病の医療保険から5千円を受取るというのも安心かもしれませんね。
定期医療保険は短期(例えば10年など)で加入すると保険料を抑えることも可能です。
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監修者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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