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更新:(公開:2018年1月12日)

医療保険の通院保障は必要?通院費用の備え方と合わせてFPが解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

医療保険の通院保障は必要?通院治療のデータをもとに解説

医療保険のなかには、通院をしたときに給付を受けられる保障をつけられるものがあります。
「通院特約」や「通院給付金」などと呼ばれます。通院への保障の内容や必要性について、FPが解説します。

医療保険の通院保障とは?

通院保障は、おもに入院や手術をした後に外来に通院して治療を受けたときに給付を受けられる、生命保険の保障です。医療保険や死亡保険、がん保険などの特約(オプション)として付加するのが一般的です。

給付金は、通院1日あたり3,000円や5,000円のように日額で設定するタイプと、退院時のタイミングに一時金で給付されるタイプ(「通院治療支援一時金」「退院療養給付金」など)があります。

通院保障の対象になるのは入院前後の通院

保障されるのは、入院前後の所定の期間内の通院です。入院の原因になった病気やケガの治療のために、退院後120日や180日以内に外来へ通院した場合に対象になるのが基本です。
ほとんどの保険では病気やケガで入院・手術をしたことが給付の要件になっており、外来のみの治療では一部の例外を除いて給付されません。

通院特約は必要?

では、生命保険や医療保険に加入する際には、通院特約を付けておいた方がよいのでしょうか?通院特約の必要性について考えてみましょう。

生命保険文化センターの調査※1によると、民間の保険に加入している世帯の約4割(39.1%)が通院特約を付加しています。通院保障を扱う生命保険・医療保険が増えていることもあるのか、通院特約の加入率は年々増加しています。

退院後に通院している人は8割以上

また、退院後に外来へ通院して治療を続けるかどうかは、病気・ケガの種類や重症度など、個別の状況によって異なりますが、全体的には近年の医療は通院治療に重点を置く傾向がみられます。
厚生労働省の患者調査※2によると入院日数は年々減少しており、退院後に自宅に戻った人のうち、通院をした人は8割以上と、外来に通って治療を続けるケースが多いことがわかります。

このように、入院後も通院での治療が必要になるケースが多く、通院治療にかかる費用にも備えておくとより安心でしょう。

通院特約以外でも、通院でかかる費用に備えられる

入院と外来通院を併用して治療をする際にかかる医療費に、保険の通院保障で備えることができますが、通院時にかかる費用には、通院特約が必要とは限りません。別の保険で通院費用に備えることもできます。おもなものを挙げてみましょう。

1.一時金タイプの医療保険

医療保険の中には、入院日数にかかわらず一時金が支払われるタイプがあります。
入院は短期間や日帰り入院で済み、その後は外来への通院に切替える場合でも、契約時に定めた一律の金額が給付されるものです。

がん・心疾患・脳血管疾患といった特定の病気を保障する特定疾病保険も、保険金の給付は一時金のものが中心です。

保障の対象はがんに限られますが、多くのがん保険も通院治療を想定した給付金が付いています。診断されたときに支払われる給付金は、一時金タイプがほとんどです。
また手術、放射線治療、抗がん剤治療などへの給付は、入院していなくても受けられるものがあります。

2.実費型の医療保険

一部の医療保険には、かかった費用が実費で給付される「実費型」というタイプがあります。

入院中や退院後所定の期間中に負担した医療費や診療費、差額ベッド代などが保険金として支払われるもので、通院での医療費や交通費、家事代行やベビーシッター、快気祝いなどに要した費用まで対象になる保険もあります。

3.入院給付金日額の上乗せ

一般的な医療保険に付いている入院給付金でも、通院の費用に充てることができます。生命保険や医療保険の給付金を受け取った後の使い道は自由ですから、入院を理由に受け取った給付金を通院のために使うこともできます。
そこで一案として、契約している保険の入院給付金の日額を高くしておきます。

入院時に受け取った給付金が、実際にかかった入院費用を上回れば、余ったお金を通院費用に充てられるでしょう。

入院後の通院治療に備えて、医療保険を賢く活用

病気やケガの治療の方向性やスタイルは、医療の状況によって変わっていくことがあります。入院が中心に行われるケースもありますが、全体的には入院は短期化し、症状の軽快にむけては自宅療養や通院をメインに治療していく傾向がみられます。
保険を検討するときには、こうした現状を踏まえておくことが大切です。

また、通院治療を続けるときには、診察代や検査代、投薬料のほか、交通費や家族の生活と両立するためのお金もかかるかもしれません。これらのお金に備える方法のひとつに、医療保険の通院特約を活用できますが、通院特約以外の保険でも、通院治療でかかった費用に対応することは可能です。

既に加入している医療保険の内容を確認しながら、広い視野で検討するといいのではないでしょうか。

今、みんなが選んでいる
今、みんなが選んでいる

※1 出典:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」
※2 出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。

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