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更新:(公開:2020年2月27日)

【2022年版】新型コロナになったらいくらかかる?入院費・治療費のお金をFPが解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

※この記事は2022年9月現在の情報です。新型コロナウイルスに関する情報は変更されていることがあります。本記事の内容は最新でないことがありますので、必ず最新の情報と合わせてご確認ください。
新型コロナウイルスで入院したら、医療保険はおりる?

新型コロナウイルス感染症にかかったときには、治療費など、かかるお金のことも心配かもしれません。

もしも新型コロナにかかったら、治療費はいくらかかるのでしょうか?新型コロナに関する医療費のしくみについて解説します。

※新型コロナ関連の対応方針・制度等は常に情報が更新されています。本記事の内容は最新でないことがありますので、必ず最新の情報と合わせてご確認ください。

新型コロナの治療費はいくらかかる?

一般的に、病気にかかって治療を受けたとき、保険がきく治療なら医療費のうち自己負担するのは原則として3割(現役世代の場合)です。しかし新型コロナは法律によって他の病気とは一部異なる取扱いになっています。医療費は公費負担とされており、治療を受ける患者さん個人が負担する費用は基本的にゼロになっています。

入院治療をする場合には、入院生活のための費用もかかります。それぞれの費用の自己負担を確認してみましょう。

入院費用・治療費は基本、自己負担がかからない

新型コロナの陽性と診断された日以降の医療費は、公費負担になります。病院で入院治療を受けるときには、入院の基本料や診療費、治療に必要な検査や薬の費用がかかります。公的な医療保険の対象になる治療なら、医療費の3割(現役世代の場合)の自己負担がかかるのが原則ですが、新型コロナに関してはこの3割分も個人が自己負担せずにすむしくみがあります。

感染症治療に対応する指定の病院に入院した場合などは、医療機関が手続きを代行することによって、退院時の精算のときに窓口での請求がはじめからゼロになります。医療機関によっては、3割分を窓口で一度支払う必要がありますが、後日、都道府県などに請求手続きをすることで自己負担額相当のお金が支給されます。ですから、入院や治療費用の自己負担は基本的にありません。ただし、前年の収入によって自己負担が生じることがあります。住民税の税額が所定の金額を超えていると、1ヶ月で最大2万円の自己負担がかかります。

このしくみは、治療の内容や投与される薬の種類などによる違いはありません。新型コロナは重症化すると人工呼吸器や人工肺(ECMO、エクモ)による治療が必要になる、集中治療室の確保が必要など、病院には高額なコストがかかりますが、個人の自己負担は同じくかからないしくみです。

入院前に、症状があったり濃厚接触者になったなどでPCR検査を受ける、診察を受ける段階では、まだ新型コロナに感染しているかどうかがわかりません。そのときにかかるPCR検査代は、医師・保健所の判断で検査をする場合には公費負担になります。症状の有無や検査を希望する理由などによっては、検査費用が自己負担になることがあります。

新型コロナで入院したらいくらかかる?

新型コロナに感染し、入院治療が必要と判断されると、所定の退院基準を満たすまで入院するのが基本です。重症度や治療内容などによって異なりますが、発症日から10日間経過して、かつ症状が軽快してから72時間など、療養のルールがありますので、少なくとも少なくとも10日以上は入院生活を送ります。その間の生活に関わるお金も考慮しておきましょう。

差額ベッド代は自己負担になることも

現在、新型コロナの治療では基本的に入院費用は自己負担がかからないしくみになっていますが、差額ベッド代は自己負担になることがあります。治療上の必要性や大部屋が空いていないなどの理由で、医療機関の判断で個室に入った場合には差額ベッド代は請求されませんが、自分の都合や希望で個室を選んだ場合には、差額ベッド代が全額自己負担になります。
これは原則的なルールですが、新型コロナに関しては専門の病床が決まっており、本人の希望で部屋を選べない可能性があります。

※新型コロナの入院や病床については、感染拡大や医療機関の状況などに応じて方針が変更されることがあります。

入院中の食事代は無料

入院中には、病院の食事が提供されます。通常、入院したときの食事代は年齢や所得などに応じて1食あたり最大460円の自己負担がかかりますが、新型コロナの入院では食事代は医療費と合わせて公費負担扱いです。ですので、自己負担はありません。

生活用品は全額自己負担

病院での入院生活を過ごすために必要な用具は、ほぼ自分で準備します。着替えや洗面用具などをもし新たに購入する場合は全額自己負担です。ベッドやシーツ、枕は病院のものを利用できますが、利用料は公的な保険の対象外で、請求額全額が自己負担になります。生活上でおむつが必要な場合も同様です。

入院している部屋のテレビを見るときにはテレビ代がかかることがほとんどですが、こちらも自己負担です。

入退院にかかる交通費

新型コロナにかかって入院するときには、電車、バスなどの公共交通機関には乗らないように指示され、保健所が手配する専用車などに乗って病院に向かうのが一般的です。
このときの交通費は基本的に自己負担なしですが、ご自身の自家用車に乗って行った場合のガソリン代は自己負担です。

また、退院するときには保健所の車はなく、自分で帰宅します。陰性が確認されてから退院するため、公共交通機関に乗ることもできます。このときの交通費は自己負担になります。

ホテル療養をしたらいくらかかる?

無症状や軽症のときには自宅療養または、本人の希望や保健所の判断に応じてホテルなどで宿泊療養をします。宿泊療養の場合には保健所の健康観察を受けながら、症状が悪化したときには医師の診察を受けます。このときの医療費も、新型コロナの治療に関するものであれば病院への入院と同様に自己負担はありません。

ホテルの宿泊費は無料

ホテルでの療養は、自治体が指定する民間のホテルに宿泊することがありますが、宿泊料の自己負担はありません。宿泊療養でも入院と同じく元の生活に戻るまでの基準があり、無症状感染の場合には検査日から7日間経過したときまでです。宿泊療養中はホテルの個室に滞在することになります。その間の宿泊料は請求されません。

ホテル療養中の食事代は無料

療養中には、ホテルの食事が提供されます。この食事代も自己負担はありません。食事は決まったメニュー、お弁当が支給されるところが多いようです。

ホテルに備え付けの生活用品は無料で利用可能

民間のホテルで療養する場合は、シーツや枕、タオル、アメニティグッズはほぼそろっていることが多いようです。療養中に仕事や読書をするなど、自分の都合で必要なものは自己負担で用意しますが、療養生活に最低限必要なホテルの備品や消耗品を室内で使う分は、無料で自由に使えるのではないでしょうか。

ホテルまでの交通費

ホテルに行くときは病院への入院と同様に公共交通機関には乗らないように指示されるようです。地域や個別のケースにより違う可能性がありますが、利用料はかかりません。

7日間を経過したなどの基準を満たし、ホテルから帰宅するときには車は手配されません。公共交通機関などを利用すると交通費がかかります。

新型コロナの入院・治療費の負担は抑えられている

現在のところ、新型コロナに感染したときの医療費は基本的に自己負担がかからず、入院中・療養中の食事代の負担も抑えられています。いざ入院することになればさまざまな対応に慌ただしくなるかもしれませんが、お金の面ではそれほど高額な出費を心配しなくてもよさそうです。とはいえ、感染がわかると生活には大きな制限が生じますし、想定外の事態に負担を感じることがあるかもしれません。

なお、こうした取扱いは新型コロナが法律上の所定の感染症に分類されていることが前提になっています。今後、法律の改正などによって検査費用や治療費の自己負担がかわることがあります。

新型コロナでの入院や療養に関する流れや、お金の負担について知っておくだけでも、少し安心できるのではないでしょうか。

※本記事は2022年9月現在の情報を元に執筆しています。内容は随時更新しておりますが、必ずしも最新ではないことがあります。詳しくは最寄りの自治体や保健所などにご確認ください。

※個別具体的な治療・療養・健康観察に関することは、かかりつけ医やお住まいの地域の保健所の指示に従ってください。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担の申請手続について(周知)」
参考:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について」
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 陽性だった場合の療養解除について」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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