新しい命を迎える出産は、病院や助産院で迎えることが一般的です。また出産前後には数日から1週間程度の入院をするケースが多いですが、出産をするときには民間の医療保険の対象になるのでしょうか?
出産時の医療保険の給付のしくみや注意点について知っておきましょう。
出産で民間の医療保険はおりる?
出産をすると、公的な健康保険から出産育児一時金を受け取れたり、お勤めの方が産休によって収入が下がる場合には出産手当金を受け取ることができます。公的な給付から、ある程度の負担は軽減できそうです。
公的な補助については、以下の記事も参考にしてみてください。
では、出産前から契約している民間の医療保険があるとき、出産の時に保険はおりるのでしょうか?
自然分娩では医療保険はおりない
本来、民間の医療保険は病気やケガで入院をしたときや、手術をしたときに給付金がおりるものです。しかし、出産そのものは病気やケガではありません。
このため、出産のために入院をしても原則として民間の医療保険の対象にはなりません。赤ちゃんとママの経過に問題がない自然分娩なら、一部例外の商品を除き、出産後に入院をしても医療保険の給付金は受けとれません。
帝王切開や出産時のトラブルで医療保険はおりる
しかし双子など多胎のときや逆子のときなど、医師によってリスクが高いと判断されて帝王切開で出産するケースがあります。帝王切開は手術のひとつにあたるため、医療保険の手術給付金の対象になります。また、帝王切開のために入院をすると、その入院に対して医療保険から入院給付金がおりることもあります。
ほかにも子宮外妊娠の手術や、自然分娩が難しく鉗子分娩や吸引分娩などの措置が取られた場合、合併症を起こして入院治療をしたときなどには、入院給付金や手術給付金の対象になる可能性があります。
なお、出産に伴い治療や医療的な措置が必要で入院・手術をしたときには、公的な健康保険もきき、医療費の窓口負担が3割とされることが多いです。
妊娠前に契約していることが基本
このように、出産前から契約している医療保険があれば、帝王切開などで出産したときに給付を受けることができます。
ただし、保険に契約する時点ですでに妊娠中だった場合には保障されないおそれがあります。それは、妊娠中に医療保険に契約するときには告知が必要で、「特定部位不担保」や「特定疾病不担保」など条件付きの契約になることがあるためです。
妊娠中には、子宮に関連するトラブルや病気、出産時のトラブルなどが原因で入院や手術をしたときには給付がおりないという条件がつくことがあります。特定の部位や疾病が原因でなければ給付を受けられるものの、出産時にはカバーできない可能性があります。
特定部位不担保や特定疾病不担保については、以下の記事も参考にしてみてください。
加入中の医療保険の内容をチェックして、出産時への備えを
それまで病気で入院をしたことがない人でも、出産時には病院に入院をする、あるいは帝王切開などで手術をすることもあるでしょう。そんなとき、自然分娩か、または帝王切開などで措置が必要かどうかによって、費用のかかり方や民間の医療保険がおりるかどうかが異なります。
すでに契約している医療保険があれば、治療や手術を受けたときに給付を受けられるかもしれません。
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監修者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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