子育てをするときには、教育費がどれくらいかかるのかが気になるのではないでしょうか。
私立や公立など希望する学校や進路により、必要な教育資金は大きく変わります。幼稚園から大学卒業までにかかる教育費の目安を知っておきましょう。
子どもの教育費の目安
子どもにかかる教育費は、おもに学校でかかる学費と、習い事や塾など家庭での教育にかかるお金があります。合わせてどれくらいのお金がかかるのか、平均額をみてみましょう。
幼稚園でかかる学費
文部科学省※1の「子供の学習費調査」によると、幼稚園では授業料や給食費、園外での活動費などがかかります。いずれも公立の幼稚園に比べて私立では高い傾向があります。3年間で合計すると約2倍の差があるようです。
費用内容 | 公立幼稚園 (年間平均) | 私立幼稚園 (年間平均) |
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学校教育費 | 61,156円 | 134,835円 |
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学校給食費 | 13,415円 | 29,917円 |
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学校外活動費 | 90,555円 | 144,157円 |
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年間合計 | 165,126円 | 308,909円 |
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3年間合計 (3~5歳) | 472,746円 | 924,636円 |
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出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
小学校でかかる学費
小学校では、就学期間が6年間あることもあって、公立と私立ではかかる費用の差がさらに大きいようです。6年間でかかる費用の合計は公立で約200万円、私立で約1,000万円です。
特に入学金や授業料、制服、ランドセル、教材費など学校でかかる費用(学校教育費)や、学習塾や習い事など学校外でかかる費用(学校外活動費)の差が大きいようです。
費用内容 |
公立小学校 (年間平均) |
私立小学校 (年間平均) |
学校教育費 |
65,974円 | 961,013円 |
学校給食費 |
39,010円 | 45,139円 |
学校外活動費 | 247,582円 | 660,797円 |
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年間合計 | 352,566円 | 1,666,949円 |
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6年間合計 (1~6年生) | 2,112,022円 | 9,999,660円 |
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出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
中学校でかかる学費
中学校3年間でかかる教育費は、公立は約160万円、私立は約430万円です。特に授業料など学校でかかる費用(学校教育費)の差が大きいことがわかります。
しかし、学習塾や習い事など学校外でかかる費用(学校外活動費)は公立、私立ともに年間30万円以上となっています。
費用内容 |
公立中学校 (年間平均) |
私立中学校 (年間平均) |
学校教育費 |
132,349円 |
1,061,350円 |
学校給食費 |
37,670円 |
7,227円 |
学校外活動費 |
368,780円 |
367,776円 |
年間合計 |
538,799円 |
1,436,353円 |
3年間合計 (1~3年生) |
1,616,317円 |
4,303,805円 |
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
高校でかかる学費
高校で必要な学費は、公立が約150万円、私立が約300万円です。特に学校でかかる授業料など学校教育費で違いがあるようです。
費用内容 |
公立高校 (年間平均) | 私立高校 (年間平均) |
学校教育費 |
309,261円 | 750,362円 |
学校給食費 |
ー | ー |
学校外活動費 |
203,710円 | 304,082円 |
年間合計 |
512,971円 | 1,054,444円 |
3年間合計 (1~3年生) |
1,543,116円 | 3,156,401円 |
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
大学でかかる学費
大学の費用は、国公立よりも私立では大学に納入する入学金や授業料などが高めの傾向があります。また、同じ大学の中でも学部によって学費が異なることがあり、一般的には文系よりも理系で高いようです。
国公立では原則として文系・理系ともに同じ学費としていることが多いですが、私立では理系の学部では施設設備費などの納入費が高額で、在学費用の負担が大きい大学が多いです。
大学卒業までに必要な入在学費用
費用内容 | 国公立 | 私立文系 | 私立理系 |
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入学費 | 67.2万円 | 81.8万円 | 88.8万円 |
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在学費 (年間) | 103.5万円 | 152万円 | 183.2万円 |
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在学費 (4年間) | 414万円 | 608万円 | 732.8万円 |
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4年間 合計 (入学費+ 在学費) | 481.2 万円 | 689.8 万円 | 821.6 万円 |
出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(2021年度)
高校卒業までにかかる教育費・総額
幼稚園から高校までの総額を進路別にまとめると、以下の表の通りです。
すべて公立に通う場合は、高校卒業までの15年間での合計費用は約570万円であるのに対して、すべて私立に通うと1,800万円を超えることがわかります。
なお進学時には、受験費用もかかります。中学・高校で受験する場合、公立では2千円程度、私立では1校あたり2万円弱の検定料がかかるのが一般的です。
教育費の見通しを立てるときには、受験料など学校に入学する前にかかる費用も考慮しておきましょう。
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
大学卒業までにかかる教育費・総額
さらに、大学4年間でかかる費用を合わせると以下の通りになります。幼稚園から大学までの19年間、すべて国公立に通った場合の総額は約1,000万円、これに対してすべて私立に通った場合には約2,700万円です。
幼稚園から大学までの間に、公立と私立の両方に通う場合には、組合せによって総額に差が出ます。
平均額でみるとすべての進学過程において、国公立よりも私立での学費が高いため、私立に通わせる時期が長いほど、自己負担は重くなりそうです。
幼稚園~大学までの進路別学費合計
※はみ出ている場合、横にスクロールできます。
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(2021年度)
なお大学進学には受験費用もかかります。大学共通テストの検定料は2教科以下の場合12,000円(成績通知有りなら12,800円)、3教科以上なら18,000円(成績通知有りなら18,800円)です。
そのほかに、国公立大学では2次試験料として15,000円~30,000円、私立大学では受験料と願書代を合わせて30,000円~40,000円程度かかります。
また、大学進学後に一人暮らしをするなら、そのための費用も必要です。アパートを借りる費用や家具・家電など生活用品を揃えるための初期費用に加え、日常生活費もかかります。
奨学金などを利用して生活費に充てる学生も多いですが、家庭からの仕送りやアルバイトでの収入も合わせて必要なケースが一般的です。
教育費の無償化、奨学金などで学費の軽減も
奨学金や自治体の補助などは補助制度を活用すると、家計での教育費負担は軽減できる可能性があります。
たとえば、2019年以降は幼稚園や保育園に通う子どもには幼児教育が無償化されています。所定の所得以下の家庭では0歳から、すべての家庭では3歳から5歳の子どもが利用する幼稚園や認可保育所の保育料が無料です。
また、2020年以降は大学、短大、高等専門学校、専門学校に通う学生で、世帯の所得が所定以下の場合には、授業料の減免や、返還が不要な給付型奨学金の制度があります。加えて、より対象が広い貸与型の奨学金や、大学独自の奨学金制度を利用できることもあります。
利用できる公的な補助制度を確認しながら、ご自身で貯蓄や積立をして、お子さんに希望の進路に行かせてあげたいものです。
※1 出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)
※2 出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(2021年度)
参考:子ども家庭庁「幼児教育・保育の無償化概要」
参考:文部科学省「高等教育の修学支援制度」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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