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更新:(公開:2016年3月25日)

保険料の支払が難しくなった時に検討したい、払済保険のしくみと活用法

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

保険料の支払が難しくなった時に検討したい、払済保険のしくみと活用法

家計が厳しいときには、生命保険の保険料が負担に感じることがあります。

そんなときの対処法には、保険の解約だけではなく、保険金額の減額や契約者貸付、払済保険への変更など、いくつかの方法があります。

このうち、払済保険のしくみと活用方法について解説します。

払済保険とは?

払済保険とは、契約している保険の保険料を払い込むのを中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保障額の低い保険に変更する制度のことです。

払済保険に変更した後には、保険料の払込みは不要になりますが、保障は解約されずに続きます。

また、保険期間は変わらず、契約したときに設定した期間まで保障が続きます。

ただし、保険金額は低くなります。保険料の払込みを中止する代わりに、払済保険に変更した時点の解約返戻金を、一時払いの保険料として保険期間満了までの保障に充てることになるため、その分、保障額が少なくなります。

養老保険のように、満期保険金がある場合には、その保険金額も低くなります。

払済保険に変更できる保険

払済保険の制度を利用できるのは、終身保険や養老保険など、解約返戻金がある保険です。

終身保険

終身保険は死亡保険の一つで、保険期間が終身にわたって続く保険です。

払済保険のしくみ(終身保険の場合)
払済保険のしくみ(終身保険の場合)
払済保険のしくみ(終身保険の場合)

終身保険を払済保険に変更した後は、保険期間は終身のままで変わりませんが、死亡時の保障額が下がります。

養老保険

養老保険は、死亡時には死亡保険金が支払われ、または保険期間の満了時に生存していたときには満期保険金が支払われる保険です。

払済保険のしくみ(養老保険の場合)
払済保険のしくみ(養老保険の場合)
払済保険のしくみ(養老保険の場合)

養老保険を払済保険に変更した後は、保険期間はもともと設定した満期日のままで変わりませんが、死亡時の保障額と満期保険金額が下がります。

払済保険に変更できるか保険会社に確認

契約しているのが終身保険や養老保険であっても、手続きをする時点で解約返戻金がどれくらいあるかによって、払済保険に変更できるかどうか、変更後の保障額がいくらになるかは異なります。

契約から間もないと、まだ十分に解約返戻金がなく、払済保険に変更できないケースもあります。

払済保険に変更できる最低の保険金額が定められている場合もありますので、契約先の保険会社に確認してみましょう。

保険料の支払いが厳しいときには、他にも方法がある

保険料の払込みが厳しいときの対処法には、払済保険以外の方法もあります。

契約者貸付制度

たとえば契約者貸付制度では、解約返戻金の範囲内で保険会社からお金を借りることができます。契約者貸付を利用している間も、所定の期日までに返済をすれば保険の内容は変わりません。

契約内容の変更

月々に払い込む保険料の金額を下げたい場合には、保険金額を減額したり、オプションで付けている特約だけを解約する方法もあります。保障の内容は変わりますが、契約自体は有効に続けることができます。

延長(定期)保険

また、保険料の払込みをストップしたい場合には、払済保険とは別に、延長(定期)保険に変更する方法もあります。

延長(定期)保険とは、以後の保険料の払込みを中止して、手続きをする時点での解約返戻金をもとに保険期間を変更する制度です。

払済保険と違って、保険金額はそのままです。保険期間はもとの契約よりも短くなるケースが一般的です。

保険料の払込期限、猶予期間も確認を

これらの手続きをする前には、まず、契約している保険の保険料の払込期限を確認しておきましょう。

期限は、月払いなら月ごと、年払いなら年ごとの契約応当日の属する月の末日までと定められています。細かな日付は、保険証券や契約内容の確認書類などに記載されています。

また、もし、期限までに保険料を払い込むことができなかった場合には、払込猶予期間があります。

猶予期間は月払いの場合、払込期月の翌月末までが基本ですが、災害時などには特例で、猶予期間の延長措置を受けられることがあります。

契約している保険によっては、保険料の払込猶予期間が過ぎても入金がなかった場合に、保険会社が自動的に契約者貸付制度を適用して保険料を立て替える「自動振替貸付」制度や、自動的に延長(定期)保険に変更する「自動延長定期保険」の制度の対象になることもあります。

契約内容や家計の負担を確認して、払済保険などで保険料の軽減を検討

このように、保険料の払込みが難しいときにはさまざまな方法があります。家計の負担が重くなりすぎないようにしながら、必要な保障を確保することが大切です。

保険料の支払が厳しいと感じたときには、すぐに解約しようとする前に、改めて契約内容を確認してみましょう。そして、適した対処法を検討できるといいですね。

参考:生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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