団体信用生命保険は、住宅ローンに付帯して加入するもので、ローンの契約者が万が一亡くなったときのローン返済に備える保険です。省略して「団信」と呼ばれることもあります。
基本的には、ローン返済中に死亡したときが対象ですが、がんなどの大きな病気にかかったときや、働けなくなったときに備えられるものもあります。
団体信用生命保険でどんな備えができる?
住宅ローンを契約する際に加入し、万が一の死亡や病気でローンを返済できなくなったときに保険金がおりる、団体信用生命保険(以下「団信」)。
保険金でローンの残債が弁済されるので、残された家族がローン返済をしなくてもマイホームに住み続けることができるものです。住宅ローンを契約する方がおもに検討したい保障です。
一般的な生命保険とはしくみが異なり、保険会社や保険代理店で申し込むのではなく、住宅ローンを借りる銀行など金融機関で手続きをするのが原則です。また、保険料は基本的に別途支払うことはなく、特約をつける場合には住宅ローン金利に上乗せされるしくみです。
死亡時に残された家族のローン返済に備えられる
団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が亡くなってしまったときや高度障害になったときなど保険金がおり、借りているローンの返済にあてられます。このため、ローンを返していた人が亡くなって家計の収入が大幅に下がってしまっても、家族はローン返済の負担をおうことなく自宅に住み続けることができます。
万が一のときには、国の公的な制度である遺族年金もありますが、受け取れる人や金額には要件があり、必ずしも遺族年金だけでその後の生活をまかなえるとは限りません。そんなときに、住宅ローン返済の分だけでも団信で弁済されることで、家族にかかる住居費の負担に備えられます。
団信は住宅ローンの返済に備えるしくみ上、保険金額は住宅ローンの残債と同額に設定されています。
返済が進めば保険金額も減り、返済が完了すると団信の保障も終了します。ですから、一般的な生命保険のようにご自身で保険金額や保険期間を決める必要はありません。住宅ローンの借入額や返済期間を決める際に、将来のライフプランを考慮したいですね。
がん、心疾患など病気時のローン返済にも備えられる
団信のなかには、特約でがんや急性心筋梗塞、脳卒中などの病気にかかって住宅ローンを返済できなくなったときに備えられるものもあります。
「がん団信」「3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)団信」などとよばれるもので、死亡時だけでなく、がんと診断されたときや、急性心筋梗塞や脳卒中にかかって働けなくなったような場合にも、ローン残高に相当する保険がおり、債務が弁済されます。
さらに対象になる病気を8大疾病(3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)+5大疾病(高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎))や11疾病(がん+10種類の生活習慣病(脳卒中、糖尿病、高血圧性疾患、大動脈瘤、上皮内新生物など)まで広げた団信もあります。
これらのオプションをつけておくことで、亡くなった際だけではなく、病気で働けなくなり、収入が下がってローン返済が厳しくなるリスクにも備えることができます。
住宅ローンの借入時には団体信用生命保険の検討を
このように、住宅ローンを返済中に見舞われる恐れのある死亡や病気に備える団体信用生命保険。
多くの住宅ローンは団信に加入することを借り入れの条件にもしていますので、ローンを借りるときにはぜひ検討しましょう。
以下の記事では、団体信用生命保険のしくみや入り方、生命保険との組み合わせなどについて解説しています。
団信に加入する際には、すでに入っている生命保険との兼ね合いも重要なポイントです。家計やライフプランなどに合わせて、最適な団信を検討したいですね。