一般的に生命保険というと、「死亡したら、あらかじめ決められた金額の保険金を受け取れるもの」とイメージする人が多いでしょう。これは「定額保険」といって、契約時に決めた保険金額が、保険の契約期間中はずっと変わらないタイプの保険です。
保険金の金額が変わる「変額保険」
これに対して「変額保険」は、保険金や満期などに受け取るお金の金額が変動するタイプの保険です。
保険金が変動するのは、保険金の原資を、株式や債券など値動きのある資産で運用するしくみになっているためです。
保険の契約者から受け取った保険料は、将来の保険金の支払いや解約時の払戻金に備えて、保険会社が運用・管理をしています。「定額保険」は、その運用の実績に関わらず、あらかじめ保険会社が約束した保険金額を受け取ります。
運用実績がすぐれなかった場合には、不足分は保険会社が補てんします。逆に、運用実績が想定よりも上回った場合には「配当」という形で契約者に還元することがあります(有配当保険の場合)が、保険金額が変わることはありません。
これに対して「変額保険」は、運用の指図を契約者が自分で行い、運用の実績しだいで保険金額などが変わるのです。
変額保険には、満期がなく、保険期間が終身にわたって続く「終身型」と、満期がある「有期型」があります。
いずれのタイプでも、契約時には「基本保険金額」を定め、保険の対象になる被保険者が死亡したら、この保険金額は死亡保険金として必ず支払われます。これを「最低保証」といいます。
変額保険には、2つのしくみがある
変額保険の最も大きな特徴は、1つの保険の中で、「基本保険金」のほかに、運用実績に応じた「変動保険金」という部分があることです。
変動保険金とは、その名の通り金額が「変動」する保険金のこと。契約者が支払った保険料を積み立てて、その運用の実績によって増えたり減ったりします。
このため、将来受け取る保険金の金額は、受け取る事由やタイミングによって変わります。
途中で解約するとき・満期で受け取るとき
変額保険を契約期間中に途中で解約するときや、満期になって満期金を受け取るときには、この「変動保険金」によって受け取る金額が左右されます。
1.運用実績がすぐれているとき
運用実績がすぐれていて、保険期間の途中で解約をする場合、解約によって払い戻される金額「解約返戻金」は、払い込んだ保険料よりも上回ることがあります。
また、運用実績がすぐれているタイミングで満期を迎えると、亡くなった場合に受け取る死亡保険金の金額として約束されている「基本保険金」の金額よりも、多い満期保険金を受け取れます。
2.運用実績がふるわないとき
運用実績がすぐれないときに、保険期間の途中で解約をする場合、解約によって払い戻される金額「解約返戻金」は、払い込んだ保険料よりも下回ってしまうことがあります。
亡くなって受け取るとき
1.運用実績がすぐれているとき
運用実績がすぐれているタイミングで亡くなると、契約した時に、亡くなった場合に受け取る死亡保険金の金額として約束した「基本保険金」よりも、多い死亡保険金を受け取れます。
2.運用実績がふるわないとき
運用実績がふるわないタイミングで被保険者が亡くなって、死亡保険金を受け取ることになった場合には、死亡保険金の金額は運用実績には左右されません。契約時に約束した「基本保険金」という金額が保証されており、これをうけとることができます。
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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