万が一の死亡時に、残された家族に収入を確保してあげることができる「収入保障保険」。選ぶときには、どのようなポイントに注目すれば良いのでしょうか?
収入保障保険を検討する際にチェックしておきたい3つのポイントを解説します。
収入保障保険を選ぶポイントはおもに3つ
収入保障保険は、家計を支えている人が死亡または高度障害状態になったときに、生前のお給料収入と同じように、家族へ定期的に保険金が支払われる生命保険です。
保険会社によって「家計保障定期保険」「家族収入保険」といった名前のこともありますが、基本的なしくみはほぼ同じです。
しかし、収入保障保険に加入するときには、ご自身やご家族のライフプランとニーズに合わせて保険を受取れるように、細かな保障内容を選択する必要があります。おもに次の3つが重要です。
1.年金月額
収入保障保険の死亡保険金は、「年金月額」を分割して受け取るのが基本です。
標準的な商品は月額10万円~20万円程度、選択の幅が大きい商品では月額5万円~30万円ほどの範囲から選べるものもあります。
年金月額は、もしも被保険者が死亡したときに、家族が1ヶ月ごとに受け取ります。
家計を支えていた人が亡くなったときには、配偶者や子どもなどには公的な遺族年金、お勤めであれば勤務先からの死亡退職金が支給されると考えられます。
それらの収入で不足する生活費を、収入保障保険の年金月額で補てんできるように検討しましょう。
2.保険期間
契約時には、保険期間を設定します。
60歳や65歳など、現役で働くと考えられる時期に合わせるのが一般的ですが、定年退職がない人や、退職よりも先まで保障を確保したい場合などに、70歳や80歳までの保険期間を選べる収入保障保険もあります。
収入保障保険は掛け捨ての保険ですから、保険期間が満了すると保険は受取れませんし、払い込んだ保険料も戻ってきません。
万が一のときに、家族にいつまで保険から月額の収入を確保してあげるかを、子どもの年齢や独立の予定などを踏まえて検討するとよいでしょう。
3.支払保証期間
契約中に死亡・高度障害状態になったときには、その時点から保険期間の満了まで、年金月額を受け取ることになります。
しかしかりに保険期間満了の1ヶ月前に死亡したら、保険金は1ヶ月分しか受取れないことになってしまいます。
そこで、多くの収入保障保険には「最低保証期間」を設定できます。この最低保証期間分は、保険期間満了の直前に亡くなっても、保険金を受け取れるしくみになっています。
2年間や5年間などから選べる保険会社が多く、一部は10年間といった長期に設定できるものもあります。
収入保障保険の保険料のポイント
収入保障保険を選ぶときには、上記のポイントをそれぞれ選んでいくと、ご自身の性別・年齢などに応じた保険料を見積もることができます。
では、保険料は保障内容によってどのように違ってくるのでしょうか。
保障が手厚いほど保険料が高額に
払い込む保険料は、年金月額が高いほど、保険期間が長いほど、また支払保証期間が長いほど高額になるのが一般的です。
保障を手厚くすれば、それだけいざというときに安心ではありますが、月々の保険料が家計に負担になる恐れもあります。
ご自身やご家族の年齢や、住宅、教育といったライフイベントの予定、すでにある貯蓄や万が一の際に得られる遺族年金や勤務先の制度などを確認して、必要な保障を合理的に保険で補えるといいですね。
終身払いよりも短期払いは保険料が高額に
保障内容が同じでも、払込み期間によって保険料に違いが出ることがあります。
収入保障保険には、保険期間中はずっと保険料を払込み続ける「終身払い」のタイプと、一部には保険期間の満了よりも前に保険料の払込みが終了する「短期払い」のタイプがあります。
短期払いは、たとえば保険期間が70歳満了でも払込みは60歳で終了するなど、おもに高齢になったときの保障の分を先に払い込んでおくしくみになっています。このため、同じ契約条件で加入した場合でも、終身払いに比べて保険料が高めになります。
喫煙なし、健康なら保険料の割引も
契約条件によっては、保険料が割引されることがあります。
一部の保険会社には「非喫煙割引」といって、所定の期間内にたばこを吸っていなければ保険料が割引されるしくみがあります。
ほかに、健康診断や人間ドックを受けて、結果が基準を満たしている場合に適用される「健康体割引」のある保険会社や、これらを組み合わせて割り引きされるところもあります。
非喫煙割引や健康体割引を適用することで、保障内容は変わらずに月々の保険料が安くなります。
保障と保険料の両面から、自分に合った収入保障保険を検討
このように収入保障保険は、いつまで保障を受けられるか、いくら保険を受取れるかといった保障の面と、月々の保険料をどのように、いくら負担するかという支出の面で検討することが大切です。
それぞれについてニーズに合った保険を探すと、たくさんの商品やプランが選択肢に挙がることでしょう。
ご自身のもしもの死亡時にご家族に確保してあげたいお金や、契約後の家計の負担について、ご家族と相談しながら考えられるといいですね。
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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