賃貸用マンションやアパートなど、部屋を借りて住む場合、自宅の建物を対象とした火災保険に自分で契約する必要はありません。
しかし、火災や自然災害で家の中にある家財が被害を受けたときや、室内で起きた事故によって賠償責任を負ってしまうリスクには、自分で備えておく必要があります。これに対応するのが、賃貸用の火災保険です。
賃貸用の火災保険では、おもに1.家財の損害、2.大家さんへの賠償、3.他人への賠償の3つに備えることができます。
火災保険(賃貸用)でどんな備えができる?
賃貸用火災保険は、自宅が火災や落雷、台風などに遭い、家財が壊れたり焼けたりしてしまったときや、水漏れで家財が水浸しになったとき、アクシデントを起こして大家さんなどに対する損害賠償責任を負ったときに、保険金がおります。
補償はおもに、次の3種類があります。
1.家財が焼けた、ぬれた、壊れたなどで修理、再購入するお金に備えられる
借りている家に入居しているときに、火災や落雷、台風、水漏れなどで自宅のなかにある家具や家電が使えなくなってしまったとき、新たに購入や修繕をして生活を再建するには、少なからぬお金がかかるおそれがあります。
賃貸用の火災保険には家財への補償(家財保険)がついており、災害時の生活再建でかかる費用に備えられます。
補償されるのは、家具や家電、パソコン、寝具、日用品、衣類、バッグやアクセサリーなどです。
これらが損害をうけたときに「再調達価額(新価)」を基準に保険金を受け取れるタイプが中心で、同等のものを再度購入する費用に備えることができます。
ただし、対象になるアクシデントは火災や落雷、爆発、風災、雪災、水災、水漏れ、自動車の飛び込みなどで、地震を原因とする災害は対象外です。
地震や津波による損害に備えるには、セットで「地震保険」に加入する必要があります。
2.大家さんへの賠償補償で負担するお金に備えられる
借りている家で火災を起こして室内が燃えてしまった、水漏れを起こして床が濡れてしまったようなときには、大家さんに対して法律上の損害賠償責任を負うことになります。
賠償金は借主が負担しますので、大きな出費になる恐れがあります。
賃貸向けの火災保険には「借家人賠償責任」がセットされているのが基本で、このような賠償責任を負ったときの費用負担に備えられます。賃貸住宅の契約をする際に加入を必須とされることもあります。
3.他人への賠償補償で負担するお金に備えられる
日常生活で他人に損害を与えてしまったときの賠償責任に備えられる補償もあります。
「個人賠償責任」で、賃貸中の家で起こした事故のほか、家の外で起きたアクシデントで、大家さん以外の第三者に対して損害賠償責任を負ったときの賠償金負担に備えられます。
対象になる事故は、家の中であれば火災や水漏れで隣家や階下に被害が及んだときや、ベランダからものを落として駐車場に止まっていた他人の車に傷をつけてしまったようなケースなどです。
家の外でも、買い物中に店の商品を壊してしまった、自転車に乗っているときに歩行者にぶつかってケガをさせてしまった、子どもが遊んでいるときに他人の家の窓ガラスにボールをぶつけて割ってしまったような事故が補償されます。
火災による家財の損害や賠償事故に備えて、火災保険の検討を
このように、賃貸用の火災保険は火災や自然災害などによって自分の家財が損害を受けたときに、生活を再建する費用に備えることができます。
加えて、借りている部屋でのアクシデントで大家さんに賠償しなければならないときや、日常生活での賠償事故にも備えられます。
以下の記事では、賃貸住まい向けの火災保険の考え方などについて解説しています。ご家族の暮らしに合った、最適な火災保険を検討したいですね。