賃貸の部屋を借りる契約をするときには、火災保険(家財保険)の加入について貸主や不動産会社、管理会社などから指定されることがあります。
もし指定されたときには、強制的にその火災保険に加入しなければならないのでしょうか?補償や保険料を他の火災保険と比較して、自分で選ぶことはできるのでしょうか。
自分で火災保険に加入するときの方法や流れと合わせて解説します。
火災保険(家財保険)を不動産会社に指定されたら?
賃貸向けの火災保険は、家財の損害を補償する家財保険を中心に、貸主や第三者への賠償責任補償など、賃貸中のリスクに備える保険がセットになっているのが一般的です。
このため、賃貸向けの火災保険は「火災保険」または「家財保険」と呼ばれます。
部屋を賃貸で借りるときには、火災保険(家財保険)の加入が必須とされたり、保険の内容や契約先をオーナー(貸主・大家さん)や不動産会社などから指定されたりすることがあります。
基本的には自分で保険を選べる
賃貸の火災保険は、基本的には入居する人が自分で契約するもので、商品や保険会社などを自由に選ぶことができます。ですから、法律上は加入が強制というわけではありません。
ただ、物件のオーナーや管理会社によっては、部屋を借りるには賃貸用の火災保険に加入することを条件としていたり、賃貸借契約書上で火災保険の加入や補償内容などのルールが指定されることがあります。
どんな補償が指定されているか、まずは賃貸借契約書の内容を確認しましょう。よく指定されることがあるのが、おもに次の補償です。
個人賠償責任補償は日常生活全般でのアクシデントが対象になる保険なので、賃貸向けの保険に限らず、自動車保険や傷害保険のオプションとして付けられることもあります。
賃貸の火災保険(家財保険)に自分で加入するには?
賃貸の火災保険は、不動産会社や管理会社などを通して加入できますが、自分で保険会社や保険代理店を選んで加入することもできます。
おもに、損害保険を扱う次の窓口で加入できます。
保険代理店・保険ショップ
火災保険を扱う多くの保険代理店や保険ショップの窓口では、賃貸向けの火災保険を取り扱っています。
アパートかマンションかといった入居する部屋の情報や、入居者の連絡先などを伝えて、見積りや申込の手続きができます。
インターネット
損害保険会社や保険代理店のウェブサイトから、自分で直接、火災保険に申込・契約できるところもあります。
オンラインで申込の手続きから保険料の支払までを完了させることができます。
自分で保険加入するときの流れは?
賃貸の部屋を借りる人が自分で火災保険に加入するときは、次のような流れで加入します。
必要な補償条件を確認
まず、部屋のオーナーや管理会社などから指定されている火災保険の補償内容や条件を確認します。
賃貸の募集に関する書類や契約書などをみてみましょう。特に、借家人賠償責任補償や個人賠償責任補償は加入が必須とされるケースが多いようです。
補償の種類だけでなく、保険金額など細かな契約内容・条件の指定があるかどうかも重要です。自分で選んだ火災保険で指定に対応できるか確認しましょう。
保険証券など管理会社への提出書類を確認
火災保険への加入を賃貸契約の条件としている物件では、火災保険に加入したら、そのことがわかる証明を求められることがあります。
自分で火災保険に加入したら、保険証券や加入証の写しを物件の管理会社やオーナーに提出しましょう。
証券や加入者証は、契約後に保険会社から発行、郵送されるほか、インターネット上で印刷できる保険会社もあります。
更新時に火災保険を乗り換えられる?
賃貸契約の更新時に、火災保険を乗り換えることもできます。入居当初には借りられる部屋を急いで探していた、引越し前に忙しくて取り急ぎオーナーや不動産会社などに指定された火災保険に契約することもあるでしょう。
そんな場合でも、特別な条件や指定がない限り、基本的には更新時には自分で選んだ火災保険に契約できます。
補償内容の変更もできる
契約先や保険商品を乗り換えるのではなく、契約中の火災保険の補償内容だけを変更する方法もあります。
たとえば入居中に家族や持ち物が増えたので家財の保険金額を増やす、子どもが独立して同居家族が減ったので保険金額を減らす、地震保険を追加するといった変更が可能です。契約先の保険会社や保険代理店などに相談してみましょう。
保険の補償内容を見直したり、契約先の保険会社を変更すると、更新後の保険料が安くなるケースもあります。
ただし、手続き中にアクシデントが起きて補償が受けられない事態にならないよう、乗り換え手続きの際には無保険になる期間が生じないように注意しましょう。
賃貸で火災保険を指定されても、自分で保険を選べる
賃貸の火災保険は、不動産会社やオーナー、管理会社などから特定の商品や補償を指定されることがありますが、基本的には自分で選ぶことができます。
指定された条件を確認して、入居中のトラブルに対応できる火災保険を選びたいですね。
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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