ワーキングホリデーに行くときは、観光目的での海外旅行とは違い、長期滞在に合わせた準備をしておく必要があります。
住み慣れた日本とは生活環境も文化も異なりますから、それまでと同じような生活習慣で暮らしていると、思わぬアクシデントに見舞われるリスクがあるためです。
そんなとき、ワーキングホリデーに使えるワーホリ保険について解説します。
ワーホリ保険とは?
ワーホリ保険とは、ワーキングホリデーでの長期滞在に合わせて設計された海外旅行保険のプランです。基本的なしくみは観光旅行向けの海外旅行保険と同じですが、補償期間が長く、長期滞在ならではのリスクにも対応できるのが特徴です。
ワーキングホリデーでは、観光旅行とは異なり、現地で働いたり生活拠点を構えたりするため、病気やけが、盗難などのトラブルに遭う可能性が高くなります。外務省も「滞在期間が長く行動の幅が広いぶん、短期の海外旅行に比べてトラブルに遭う機会が多い」と注意喚起しています。渡航先で安心して生活するためにも、滞在期間や現地のリスクに合った保険を選んでおくことが大切です。
ワーキングホリデー時のリスクと保険の必要性
ワーキングホリデーは滞在期間が長く、仕事や旅行など行動範囲も広いため、短期旅行よりトラブルに遭う機会が増えます。外務省も、病気やけが、交通事故、盗難などへの注意を呼びかけています※1。
病気・けがや交通事故で高額な医療費がかかることがある
海外では、気候や食生活などの違いから体調を崩したり、慣れない交通環境で事故に遭ったりする可能性があります。
現地では日本の健康保険証をそのまま使うことはできないため、基本的に医療費は自己負担しなければなりません。
「海外療養費制度」※2によって帰国後に海外で支払った医療費の一部が支給される場合もありますが、日本の医療費を基準に計算されるため、現地で支払った金額をすべて補えるとは限りません。ワーホリ保険に加入していれば、病気やけがの治療費のほか、救援者の渡航費や医療通訳費なども補償される場合があります。
盗難・置き引きなど長期滞在ならではのトラブルもある
宿泊施設での外出中の盗難、飲食店での置き引き、繁華街でのひったくりなど、長期滞在では盗難に遭う機会も増えます。
例えば外務省※1には、夜間にイヤホンで音楽を聞きながら歩いていたら、財布の入ったバッグをひったくられたなどの被害が報告されています。
ワーホリ保険の携行品損害補償では、持ち物が盗まれたり壊れたりした場合の損害に備えることが可能です。さらに、生活用動産の補償がある商品であれば、滞在先に保管していた家電や衣類などの被害も対象になります。
国によってはワーホリ保険への加入がビザ取得の条件になる
海外滞在中のリスクに備えるワーホリ保険は、基本的に加入は任意です。
ただし、渡航先の国によっては入国時に海外旅行保険の加入が義務付けられている国があります。
またドイツなど、ワーキングホリデー・ビザを取得するために旅行者用の医療保険と旅行賠償責任保険に加入が義務付けられている国もあります。医療保険は歯科の治療や、女性の場合は妊娠時にも適用されるものであることを要件とすることもあります。
ワーキングホリデー向けの海外旅行保険ではこれらの要件を満たすものが多いですが、契約時には詳細を確認しましょう。
【滞在先別】ワーホリ保険の必要性
ワーホリ保険の必要性や加入条件は、渡航先によって異なります。ここではワーキングホリデーの渡航先として注目されることの多い4つの国の医療事情・治安などを踏まえた上で、保険の必要性を解説します。
カナダ
カナダのワーキングホリデーでは、滞在期間全体をカバーする保険への加入が必要です。入国時に保険への加入を証明できない場合は入国を拒否される可能性があり、保険期間が滞在予定期間より短ければ、就労許可の期間も短縮されることがあります※3。
保険には、治療費・入院費に加えて、日本への医療搬送や遺体搬送などの費用も含まれている必要があります。
また、外務省によるとカナダの犯罪発生率は日本の約10倍※4とされており、都市部を中心にスリや置き引き、強盗などの犯罪も発生しています。医療費だけでなく、携行品損害や賠償責任なども含めて備えておくと安心です。
オーストラリア
オーストラリアでは、ワーキングホリデーのビザ取得にあたって保険加入は必須とされていません。
しかし、ワーキングホリデーの渡航者はオーストラリアの公的医療制度(メディケア)を利用できず、病気やけがをした場合に医療費の自己負担が必要になるため、治療費を補償するワーホリ保険に加入しておくと安心です。
韓国
韓国へワーキングホリデーで渡航する場合は、一定の条件(補償額4,000万ウォン以上など)を満たす保険への加入が求められます※5。
韓国では、原則として6ヶ月をこえて滞在する外国人は国民健康保険の加入対象となる※5ため、ワーキングホリデーで長期滞在する場合は、ある程度医療費の負担を軽減できます。しかし、国民健康保険では日本への搬送費などをカバーできないため、民間保険にも加入しておく必要性は高いといえます。
ニュージーランド
日本人がニュージーランドのワーキングホリデービザを取得する場合、保険への加入はビザ取得の必須条件ではありません。
ただし、ニュージーランドでは「ホーム・ドクター制」が採用されており、病気やけがをした場合は、まずGP(General Practitioner:一般開業医)の診察を受けるのが一般的です。GPの診察料は通常60~70NZドル程度で、専門医の診察が必要な場合はGPから紹介を受けます。専門医の治療は高額になりやすく、10分程度の診察でも100~200NZドル程度かかることがあります※6。
また、外務省によると、ニュージーランドは日本より犯罪発生率が高く※7、窃盗や車上荒らしなどにも注意が必要です。そのため、ビザ取得の条件ではなくても、治療費に加えて携行品損害や賠償責任なども補償できるワーホリ保険への加入を検討するとよいでしょう。
ワーホリ保険と一般の海外旅行保険との違い
ワーホリ保険と一般的な海外旅行保険の主な違いは以下のとおりです。
ワーホリ保険と一般的な海外旅行保険の違い
なお、海外旅行保険の中にもワーキングホリデーに対応した商品があります。長期滞在向けの保険を検討する際は、ワーキングホリデー専用の商品だけでなく、海外旅行保険のラインナップもあわせて確認するとよいでしょう。
ワーホリ保険の入り方
ワーホリ保険は、基本的には旅行代理店やワーキングホリデーを手配する仲介会社などのうち、保険を取り扱っている会社を通して契約するケースが多いようです。
窓口で手続きをするのが一般的ですが、保険期間が1年程度であればネットで加入できるものがあります。
手続きには所定の時間がかかります。出発日まで間もないタイミングだと加入できないことがありますので、日数にはゆとりを持って申し込みましょう。
契約するとき、保険期間には原則として出発日から帰国日までの日数をすべて含むこととされています。
「行き帰りの飛行機に乗っている間だけ」、「到着後3ヶ月から」といった部分的な加入は基本的にできません。ワーキングホリデーのスケジュールが決まったら、その日数をカバーするように契約しましょう。
ワーホリ保険で長期滞在の安心を確保できる
なにより、住み慣れた土地を離れて長期滞在するときには、それまでには想定できなかったトラブルのリスクがあります。それは、観光目的の海外旅行と異なることもあります。
ワーキングホリデーで現地での勉強や仕事に安心して専念するうえで、ワーホリ保険は大きな安心になるのではないでしょうか。
※1 出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度による渡航者へのご注意」
※2 出典:全国健康保険協会「海外療養制度」
※3 出典:Canada.ca「What type of insurance do I need for International Experience Canada?」
※4 出典:外務省海外安全情報「カナダ」
※5 出典:韓国 在外同胞庁 Working Holiday Info Center「韓国ワーキングホリデー 2026-2027」
※6 出典:在ニュージーランド日本国大使館「NZの医療」
※7 出典:外務省海外安全ページ「ニュージーランド安全対策基礎データ」
参考:全国健康保険協会「海外で急な病気にかかって治療を受けたとき」
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監修者プロフィール
荒木 和音(あらき かずね)
金融分野専門ライター
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
保険代理店にて個人・法人向けの営業およびリスクコンサルティングなどに計10年以上従事したのち、金融ライターとして独立。大手証券会社・保険会社・大手金融メディアでの記事執筆・監修などを手がける。
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