生命保険に加入するときや、加入している間には、「年齢が上がると保険料が高くなる」と言われることがあります。
では、生命保険の保険料は、年齢によってどのように変わるのでしょうか。
生命保険の保険料と年齢のしくみについて解説します。
生命保険の保険料は年齢・性別などで決まるのが基本
生命保険の保険料は、「予定死亡率」、「予定事業費率」、「予定利率」の3つの予定率をもとに計算されるのが基本です。
このうち「予定死亡率」は、統計データをもとに、性別や年齢ごとの人口に対する1年間の死亡者数の割合を推定したものです。
保険会社は、この予定死亡率をもとに、将来加入者に保険金を支払うために必要な原資や、そのために加入者に払い込んでもらうべき保険料を算出しています。
このしくみ上、生命保険の保険料は年齢や性別ごとに決まるのが原則となっています。
3つの予定率
年齢が高いと新規加入の保険料が高くなる
一般的に、人口に対する死亡率は年齢が高いほど高くなります※1。
このため、予定死亡率を反映した生命保険の保険料も、年齢が高いほど高くなるしくみになっています。
年齢別 死亡率の推移(男女別)
出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」より筆者作成
※生命保険会社では「生保標準生命表」をもとに保険料の算定を行うのが一般的ですが、年齢による死亡率の傾向はほぼ同じです。
生命保険の保険料が決まる「契約年齢」とは? 上がるタイミングはいつ?
生命保険の保険料は通常、契約時の年齢によって決まります。
契約時に30歳であれば30歳の保険料を、40歳であれば40歳の保険料を払い込みます。
このように、保険の契約上や保険料決定の基準となる年齢のことを「契約年齢」といいます。
一般的に、年齢は誕生日を迎えると1歳上がります。生命保険の保険料を決めるための年齢も、誕生日を一つの基準として計算しますが、保険会社や商品によって計算方法が異なります。
満年齢を基準とする方法
契約日時点での被保険者の満年齢を基準として、契約年齢を決める方法です。
1年未満の端数は切り捨てるのが一般的で、たとえば30歳6ヶ月の場合、契約年齢は「30歳」になります。
誕生日を迎えて満年齢が1歳上がると、生命保険の契約年齢も1歳上がるのが基本です。
そのため、誕生日の前日までに契約をすれば、契約年齢が上がる前の保険料を払い込むことになります。
申込日の翌月1日の年齢で決定する方法
満年齢を基準とする場合でも、ネット申込の生命保険などでは、契約年齢を、申込日の翌月1日時点の年齢とする場合があります。
たとえば、誕生日の前日など、30歳11ヶ月のときに申し込むと、契約年齢は「30歳」ではなく、その翌月1日時点の年齢である「31歳」となるのです。契約年齢が1歳上がる分、保険料が上がる可能性があります。
この場合、誕生日前の年齢で契約するには、誕生日の前月末日までに申し込む必要があります。
たとえば、誕生日が10月2日や10月15日の場合には、9月30日までに申込を完了すると、誕生日前の年齢で契約できます。
ただし、誕生日が1日の場合には2ヶ月前の末日までとされていることがあります。10月1日であれば、8月31日までの申込が必要です。
契約年齢が上がるタイミングは、保険会社や申込方法(対面・郵送・ネットなど)、払込方法(月払、半年払、年払)などによって異なる場合があります。
誕生日が近い時期に生命保険に申し込む場合には、必ず契約先の保険会社に確認しましょう。
保険年齢で決定する方法
保険会社や生命保険に契約した時期などによっては、「保険年齢」という計算方法が用いられています。
保険年齢とは、満年齢を基準とするものの、1年未満の端数の年齢について、6ヶ月以下は切捨て、6ヶ月超は切上げる計算方法です。
たとえば、29歳6ヶ月の保険年齢は29歳、29歳7ヶ月の保険年齢は30歳になります。
※保険年齢の定義は、保険会社によって異なる場合があります。詳細は必ず各保険会社にご確認ください。
加入中の生命保険の保険料は年齢が上がると高くなる?
契約時に決定した保険料は、契約内容に応じて一定の期間にわたって払い込みを続けます。
途中で年齢が上がったときに保険料が上がるかどうかは、契約内容によって異なります。
定期保険は更新時に保険料が高くなるのが一般的
保険期間が一定の定期保険の場合、その払込期間中の保険料は変わりません。
保険期間と払込期間が同じ「全期型」の場合、保険期間が満了するまで保険料の払い込みが続きますが、その間に保険料は変わりません。途中で年齢が上がっても、契約時の年齢で決まった保険料を払い込みます。
「更新型」の定期保険の場合は、保険期間が満了しても所定の年齢まで契約を更新できますが、原則として更新後の保険料は変わります。
更新時の年齢や保険料率で計算されるため、更新前に比べて保険料が高くなるのが一般的です。
ただし、更新時の年齢やタイミング、商品によっては、必ずしも更新時に保険料が上がらない場合もあります。
1年ごとに更新するタイプの定期保険などのなかには、保険料の区分が5歳刻みなどになっているものがあり、更新をしても一定の年齢までは保険料が上がりません。
共済の場合は、18歳~60歳までの掛金が月1,800円や月2,000円などと一律で、その年齢の範囲内なら更新をしても掛金が上がらないといったものが多くなっています。
また一部の会社では、年齢にかかわらず保険料が一定になるタイプの定期保険を扱っています。
所定の年齢以上で更新をすると、保険金額が減少していきますが、保険料は上がらないしくみになっています。
終身保険の保険料は契約時のまま変わらない
保険期間が一生涯にわたって続く終身保険の場合には、払込期間中の保険料は変わりません。
契約中に年齢が上がっても、保険料が上がることはありません。
また、終身保険の保険料の払込方法には、終身にわたって払い込みを続ける「終身払い」のほか、一定年齢または一定期間で払い込みが終了する「有期払い」を選べる場合があります。
有期払いの場合には、「10年間」や「60歳払込満了」といった保険料払込期間が満了すれば、その後の保険料の払い込みはなくなります。
たとえば、30歳で保険料払込期間10年間の終身保険に契約した場合、保険料の払い込みは40歳で終了しますが、保障はその後も生涯にわたって続きます。
年齢が上がると保障内容が制限される場合も
生命保険に契約している間には、年齢が上がるにつれて保険料が高くなることのほかに、保障内容が変わる可能性にも留意が必要です。
共済などで、60歳や65歳以降の保険金額が下がる場合がある
共済や保険料が一定になるタイプの定期保険では、年齢が上がっても保険料や掛金が一律で変わらないものがあります。
しかし、保険料が上がらない反面、一定以上の年齢になると保険金額が下がっていくのが一般的です。
保険会社や商品によって異なりますが、一例としては、40代までは保険金額が200万円、50代では150万円、70代では100万円のように、年齢に応じて順次下がっていくものや、59歳までは400万円、60~64歳では100万円と、60代になると保障内容が大幅に削減されるものなどがあります。
特に60代以降には、年齢が上がったときに保険金額が変わらないかを確認することが大切です。
終身保険などで、80歳以上の医療保障がなくなる場合がある
年齢が上がると、保障の内容そのものが限定される場合もあります。
たとえば、終身保険などに特約を付加している場合には、保険料払込期間が満了するときに特約の保障が満了するのが一般的です。
希望する場合にはその時点で特約部分の保険料を払い込むことで保障を継続できますが、それでも最長で80歳までなど、保障を受けられる年齢に上限が設けられていることがあります。
つまり、80歳以降には特約の保障がなくなってしまうリスクもあります。
このようなケースは、終身保険、定期付終身保険、個人年金などに、入院や手術といった医療特約を付加している場合などに多いようです。
一定以上の年齢以降に、病気やケガへの備えを確保できるか、契約内容を確認するようにしましょう。
年齢が上がるときには保険の見直しを
生命保険の保険料は、一般的に年齢が上がるにつれて高くなります。
これから保険を検討する場合には、保険料が高くなる前を目安に、保険選びを進めるとよいでしょう。
保険会社や商品、申込方法などによって契約年齢の基準が異なる場合がありますので、特に誕生日が近づく時期に申し込む場合は、契約先の保険会社に確認しましょう。
また、保険に契約中には、保険の種類や契約内容によって、更新時に保険料が高くなったり、保障内容が制限されたりすることがあります。
年齢が上がるときには、それまで受けられた保障がなくならないか、制限が付かないかといった点にも注意しましょう。
※1 出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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