パッシングの意味とは?どういう時に使うの?
山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る
記事の目次
パッシングは、ドライバーからの合図
パッ、パッ、と自分に向けて送られる合図。何を意味しているか分からなくて、ドキドキすることってありますよね。
パッシングには多くの意味がある
そもそもパッシングとは、法律で定められた行為ではありませんし、教習所でも習いません。ドライバー同士のやりとりから生まれた、慣習的なマナーです。地域によって解釈が違う、というケースが起こり得るのもこのためなんでしょうね。
とはいえ、感情的な表現を伴う時もありますから、使い方や受け取り方を誤るとトラブルの原因になることも。そうしたことを防ぐためにも、代表的な使用パターンを考えてみましょう。
道を譲る合図
もっとも多く使われるのは「道を譲る」という気持ちを伝えたい時です。
信号のない交差点や右折を待っている時に対向車がパッシングしてきたら「どうぞ先に行ってください」という合図です。また自分は関東在住ですが、関西では「先に行くので待ってください」と解釈する場合もあるようですね。
ご質問にありました「地域によって解釈が違う」というのは、おそらくこのことを指しているのではないでしょうか?
⾃分はこうした経験がないのですが、何にせよ正確な意味を計りかねる時は、相手の様子をうかがうこと。そして自分から余計なことはしないこと(笑)。譲り合うときは相⼿とアイコンタクトを取り、身振りで表現するのが⼀番です。
追い抜きたい合図
次に、後続車がパッシングしてくるパターン。主に高速道路の追い越し車線で使われる「追い抜きたい」という意思表示です。
パッシングは、やられた方にとっては、怖かったり不快。
そしてやる側にとっては、業を煮やして「どいてよ~」となる場合が多いと思います。
解釈は個人によって違いますし、ガマンできる時間の長さも人によって違う。でもひとつ言えるのは、いきなりパッシングを連発してくるような相手の場合は、さっさと道を譲ってしまうのが一番安全!
またいくら制限速度を守っていても、追い越し車線をずっと走っていることはマナー的にNG。法規的にも「通行帯違反」になります。
追い越しを完了したら、すみやかに走行車線へ戻る。安全面でもバックミラーを確認して走っていれば、追い越し車線が詰まってしまうことも少なくなるはずです。
気づいての合図
最後に、何かを気づかせようとパッシングしてくれているパターン。
走行中に対向車からのパッシングでよく知られるのは、「この先で警察が取り締まりをしている」「ヘッドライトを消し忘れている」などの注意喚起です。
使いすぎには注意!
パッシングをうまく使いこなせるようになると、デキるドライバーになったような気持ちになりますよね。
ただし、これはあくまでコミュニケーションの慣習です。あまり頻繁に繰り返しているとあおり運転と勘違いされ、安全運転義務違反になる可能性もあるので要注意を。
-
執筆者プロフィール
モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。