長く使えるチャイルドシート、何歳まで使えるものを買えばいい?
山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る
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車のシートベルトがちゃんと使えるまでは子供シートが必要
以前、チャイルドシートは「体に合ったものを」というお話をしましたが(もうすぐ3歳、ジュニアシートへの切り替え時はいつ?)、確かに成長著しいお子さんに対して何度もシートを買い換えるのは大変ですよね。
そこで今回は、できるだけ長く、何歳まで使えるものを買えばいいのか?という話題に焦点を当ててご説明しましょう。
長期間使える兼用モデルがオススメ
ご質問からすると「新生児用のシートを使っています」とのことですから、現在はおそらく乳児専用の「後ろ向き取り付けタイプ」を使っていらっしゃるのでしょう。そしてこのシートの使用目安は、体重10㎏・1歳頃まで。
となると次に乗り換えるシートは、1歳頃からできるだけ長く使えるものが候補となりますね。
そこでオススメしたいのは、最近人気の高まっている兼用タイプです。
これはお子さんの成長に合わせてシート長を変化させていく製品で、ご質問者さんの場合は、チャイルドシートとジュニアシートを兼用することになると思います。
こうした兼用シートの対応年齢は1歳頃からはじまり、長いものでは11歳頃までと、長期間使えるのが特徴です。チャイルドシートなどの幼児用補助装置の着用が義務付けられているのは0~5歳まで(道路交通法 第71条の3第3項)。この期間中は買い換える必要がありませんし、小学生になってもそのまま使い続けられます。
成長に合わせて付属品を外す
その使用方法ですが、最初は通常のチャイルドシートとして使います。そして身長が伸びてきたらヘッドレストでポジションを調整し、体格の変化を補います。1歳から使うものですから、リクライニング機能付きで快適性を高めたものや、横幅を調整してフィット力を強化したもの、取り外し可能なインナークッション付きなど、どの製品も小さな身体を守る様々な機能や工夫を施していますよ。
そして身体が成長したら、今度は本体付属のベルトを外して(収納タイプもあり)ジュニアシートとして使い、さらに背もたれを外せばブースターシートになるタイプもあります。
新生児から11歳まで使える兼用タイプも!
最近ではこうした兼用タイプの人気が高まり、各メーカーも様々なモデルを積極的に開発・発売しています。
相場はだいたい1万円台~4万円近くまでと、選択肢は豊富です。ここ数年ではさらに技術が進んで、新生児から11歳くらいまでを1台でカバーできる経済的なタイプもあります。
新生児から11歳までというと……。
仮に新生児の体重を3kg、11歳の体重をきりよく36kgとした場合は、その差12倍!? 身長だってほぼ3倍!? それをひとつのシートで補えるというのは、ほんとすごいですよね……。でもそれだけこうしたニーズが高まって、技術が進歩しているのだと思います。
これから赤ちゃんを迎える方で、「買い換え時に迷いたくない」「できるだけ長く使いたい」という方は、こういう兼用タイプを候補に入れてみるのもよいのではないでしょうか。
身長135cmくらいまでは子ども用シートを使うのが安心
法律上の着用義務は6歳未満(0~5歳まで)となっており、違反すると、運転者に違反点数1点が付きます(反則金はなし)。ケガをした子供を病院に連れて行くときや、タクシーに乗るときなど、特別に免除される例もいくつかありますが、基本的には義務期間中の装着は必須だと考えてください。
では、6歳の誕生日を迎えればどうでしょう? 着用義務期間ではなくなりますが、やはりお子様の安全性を考えるとジュニアシート(ブースターシートを含む)は装着してほしいと思います。
『ブースターシートとは? 何歳から使える?』の中でもお話ししましたが、車のシートベルトは概ね身長135~140㎝以上の体格に合わせて作られています。令和元年の学校保健統計調査によると、小学生の平均身長が男女共135㎝を超えるのは10才から。つまり小学生5年生からです。
お子さんの成長具合にもよりますが、安心してクルマに乗るためにも小学校5年生頃までは、ジュニアシートを使うようにしたいですね。
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執筆者プロフィール
モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。