ブースターシートとは?何歳から使える?
山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る
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ブースターシートは子どもの身長に合わせて利用を
ブースターシートの魅力は、何と言ってもお子さんが大きくなるまで使えることでしょう。コンパクトで軽い上に、装着もラクですし、値段も数千円~とお手頃。
「うちの子はしっかり座れるし、この先ずっと使えるなら、これにしようかな」と、買い替え候補に入れられるかも知れません。
ですが、ちょっと待ってください!
もしブースターシートを買おうか迷っていらっしゃったら、ぜひこれからお話しする内容を踏まえた上で、お子さんに合うかどうかを検討してただきたいなと思います。
ブースターシートって何?
そもそもブースターシートって何でしょう?
形状で言うと、背もたれやヘッドレストのない座布団のようなシートのこと。子供は大人と同じく、クルマのシートベルトを装着することで自分の身体を固定します。
このブースターシートの利用シーンをイメージすると、できればお子さんの身長が125㎝を超えるまでは、控えていただきたいのがホンネです。
というのも、ブースターシートの役割は、子供が座った時のポジションを約10㎝ほど上げて大人用のシートベルトを使えるように補助すること。ですが肝心なクルマ用シートベルトは、概ね身長135~140㎝以上の体格に合わせて作られているのです。
つまり、それに満たない身長のお子さんが装着しても、本来の安全性を発揮できない可能性があります。
ブースターシートデビューは小学校にあがってから
逆算すると、125㎝以上の子供がブースターに座れば問題ありませんが(125cm+10cmで135cm)、それより背の低いお子さんではシートベルト着用の効果が発揮しにくい。
また3、4歳くらいの子供は、クルマの中でよく寝てしまいます。そのときヘッドレストのないブースターシートだと、頭がグラグラした時にシートベルトが首に食い込む心配もあります。
ですからブースターシートデビューは、随分先ですが、体が比較的しっかりしてくる小2~小3あたりから、と考えた方がよいと思います。それでもやはり、走行中はお子さんを気に掛けて下さいね。
なお、欧州の子供用シートにおける安全基準「R129」では、ブースターシートの使用は身長125㎝、体重22kg以上にすべきとされています。
結局、いつ何を選べばいいの?
子供の成長は待ったなし。ほとんどの方がお子さんの成長に合わせて迷い・悩みながら「次はどのシートを買うべき?」「法的には何才まで必要?」と疑問を持たれていると思います。
子供用シートの呼び方や区分はメーカーによっても異なりますが、シート自体は主に「乳児用」「幼児用」「学童用」の3種類に分類されます。一般的には乳児用をベビーシート、幼児用をチャイルドシート、学童用をジュニアシート(ブースターシートを含む)と呼ぶことが多いようですね。
以下はタイプ分けの一例ですので参考にしてください(JAFサイトより)。
タイプ | タイプ |
---|---|
ベビーシート | ~1才、 体重10kg位まで |
チャイルドシート | 1~4才、 10~18kg位まで |
ベビー & チャイルドシート | ~4才、 18kg位まで |
ベビー ~ ジュニアシート | ~7才、 25kg位まで |
ジュニアシート | 4~10才、 15~36kg位まで |
日本の子供用シートは、欧州の安全基準(旧基準の「R44」と最新基準の「R129」)を採用しています。
ちなみに「R129」では、より体型に合わせたシートを選べるよう、使用時期の区分が体重から身長別へと変更されました。現在は、「R44」と「R129」に対応したシートが並行販売されていますので、これからシートを買われる方はどちらの規格に対応しているか確認して選んでもいいですね。
シートベルト正しい位置で付けられるかがポイント
とにかくシート選びで大切なことは、シートベルトを正しい位置に付けることができ、体に馴染むこと。育ち盛りのお子さん相手だとどうしても余裕のあるものを……と考えがちですが、命はお金で買えません。
JAFなどでもチャイルドシート講座は開催されていますし、販売店などではプロの話を聞きながら、じっくりお子さんの体に合うシートを選んで欲しいと思います。
そうは言ってもシートを購入したら、できるだけ長く使いたい気持ちもわかります。というわけで次号では、最近人気の兼用モデルについて更に詳しくみてみましょう
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執筆者プロフィール
モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。