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ユーザー車検ってお得なの?【前編】車検の中身を知ろう

執筆者

山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る

ユーザー車検ってお得なの?【前編】車検の中身を知ろう

ママ友がユーザー車検を利用していて、「すごく節約になるわよ」と、私にもユーザー車検を勧めてきます。そんなに簡単に誰でもできるものなのでしょうか? もし自分にもできるのならやってみたいのですが、ユーザー車検のメリットとデメリットを、初心者にもわかりやすく教えて下さい。

(30代会社員・女性)

車検はクルマの安全性維持のためのシステム

質問者さんは今まで車検をディーラー、あるいは民間整備工場等に依頼していたのでしょうか?
もしかしたらカー用品の大型店や車検代行業者かもしれませんね。

この質問にお答えする前に、そもそも「車検」とは何か? を少しだけおさらいしてみましょう。

国内の公道を走る全ての車両は、国土交通省が定める自動車の保安基準に適合していることが、道路運送車両法によって義務付けられています。

この保安基準を定期的に確認するために実施されているのが「自動車検査」、いわゆる車検です。つまり車検は、クルマの安全性を維持するために作られたシステムなのです。

ユーザー車検の割合は全体の3割前後

そして自家用車の場合、車検の有効期間は新車登録から初回の検査が3年間以降は2年ごとに、車検を受ける必要があります(キャンピングカーなどの8ナンバー車は新車・中古車を問わず2年ごと)。

車検満了後も継続してそのクルマに乗り続けるために受ける車検を一般に「継続車検」と言い、質問者さんのママ友が利用したユーザー車検も、この継続車検を通すためのものです。そしてユーザー車検の利用者は近年、全体の3割前後で推移していると言われています。

ちなみにユーザー車検は、誰でも受けることが可能です。

車検を受けるのに必要な書類

では検査を受けるためには何が必要かを見ていきましょう。

検査を受けるためには、管轄内の運輸支局に車両を持ち込みます。その際、下に挙げる各種の書類が必要です。

検査申請書類

車検証

1.自動車検査証(車検証)
2.自動車納税証明書(登録車は提示の省略が可能)
3.点検整備記録簿(法定点検が終わっている場合。車検の後でも良い)
4.自賠責保険(共済)証明書
5.自動車重量税納付書・印紙
6.継続検査申請書
7.自動車検査表・手数料納付書・印紙・証紙

※5以降の書類は検査場近辺にある行政書士の事務所で、当日でも入手することができます。

初めてユーザー車検を利用する際は代書屋の活用が便利

「代書屋」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

車検でいう代書屋とは行政書士事務所のことで、陸運支局の周辺にはたいていあります。ここでは継続車検の際に必要となる書類の販売と、必要書類への記入を行ってくれます。また代書屋のほとんどが車検時に必要な自賠責保険の保険代理店業も行っているため、車検当日に同時に保険料を支払って自賠責保険の加入もできて大変便利です。だいたい費用は2千円~3千円程度で、時間にすると2、30分くらいでしょうか。ミスや記入漏れもまずないですから、初めてユーザー車検を利用する人にとっては心強い存在です。

まずはインターネットで予約

ユーザー車検を受ける際にはまず「予約」をします。自動車検査インターネット予約システムのサイトにいくと、検査を希望する地域と検査場を選び、予約をすることができます。

予約が済んだら、必要書類を揃えたうえで、当日、検査場にクルマを持ち込み、検査申請書類を受付に提出し、書類の内容を確認してもらいます。その後、車で検査レーンに並んで、受験となります。 

当日の検査項目の内容は?

まず検査員が確認するのは、車検証と持ち込まれたクルマが同一のものか?ということです。ボンネットを開けてエンジンに打刻されている番号と、車検証の車台番号を照らし合わせます。
これが済むと外回り検査と言って、ホイールナットの緩み具合やヘッドライト、テールライトなどの灯火類やワイパー、クラクションが正常に作動するかを確認します。忘れがちなところで言うと発煙筒の有効期限もチェックされますから、事前に確認しておきましょう。

そしていよいよテスター(専用の測定器)検査に入ります。

受けるのは以下の項目。

サイドスリップ検査

ハンドルはまっすぐのまま左右平行に引かれた線と平行にゆっくりと前進し、車がまっすぐに走るかどうかを確認する。

前後ブレーキ検査

タイヤに接しているローラーが回転し、ブレーキを踏むことでローラーの回転を止めて、ブレーキの制動力を検査する。

スピードメーター検査

ローラーの上に車を乗せ40kmになるまで加速。スピードメーターが40kmを指したらパッシングし、スピードメーターと実際の速度の誤差が基準値以内かどうかを測定。

ヘッドライト検査

車両前方の電光掲示板に従って、ライトをハイビームにし、ヘッドライトテスターが光量と光軸を検査する。

パーキングブレーキ検査

回転しているローラーの上でパーキングブレーキをかけ、後輪がしっかり固定されるかどうかを検査する。

排ガス検査

排ガステスターから出ている細い管(プローブ)の先端をマフラーに挿し込んで、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)の濃度が一定以上含まれていないかを測定。

検査を全てクリアすると合格!

こうした検査を全てクリアできると、合格印がもらえます。逆に「×」があれば不具合の詳細を教えてもらい、これを直して再受験となります。同日であれば料金を支払って、何度でもトライが可能。

保安基準に適合していることが証明されると、新しい車検証と検査票のステッカーがもらえます。古い検査票ステッカーを剥がして、新しいものに張り替えれば全て終了です。

さて次回は、こうして受けたユーザー車検が、どのくらいお得なのかについて考えてみましょう。

参考:e-eov「道路運送車両法」

  • 執筆者プロフィール

    モータージャーナリスト 山田 弘樹

    山田 弘樹(やまだ こうき)

    モータージャーナリスト
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
    自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。
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