なんとなく持っていたゴールド免許、メリットは何かある?【前編】
山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る
記事の目次
ゴールド免許は優良ドライバーの証!
この度は残念でしたが、事故がなかったことを何よりとして。ご質問に答える形としては、ゴールド免許を所有していると確かにいくつかのメリットがあります。ただその前に、ここではまずゴールド免許への道をおさらいしておきましょう。
初心者が“ゴールド”を貰うには、少なくとも6年かかる
初めて運転免許証を取得したときに、渡された色を覚えているでしょうか? 初心者の証、それはグリーンの免許証でした。
グリーン免許証の有効期間は3年間で、その後の初回更新をもって帯の色がブルーへと変わります。有効期間は同じく3年ですから、3+3=6年後。ゴールド免許への分岐点は、この2回目の免許更新時にやってきます。
通常であればゴールド免許は、「5年以上継続して免許を保有」し、かつ「過去5年内※を無事故・無違反(詳しくは後ほど)で過ごした」場合に発行されます。そして自動車免許を新規に取得した方がゴールド免許を貰うには、更新の関係から6年かかる計算。ゴールド免許になるのは、結構大変なことなんですね。
ちなみに新規取得者でない場合は、点数が加点される事故や違反を、とにかく5年間起こさないことが必要。これについては後述します。
そしてこのように時間をかけて優良運転者と認められたからこそ、ゴールド免許取得者は様々なメリットが受けられるようになるのです。
※免許を更新する年の誕生日の41日前から5年間。
自動車保険が安くなる場合がある
もっとも象徴的なのは、「自動車保険が安くなる」ということでしょう。過去5年間にわたり無事故・無違反ということは、リスクの低いドライバーとして扱われます。実際にはペーパードライバーゆえにゴールド免許を保持している、というケースも少なくないはずですが、現状では「ゴールド免許=優良運転者」という図式です。
では、保険料はどのくらい安くなるのでしょう?
試しに筆者の自家用車(小型乗用車)で見積もりを取ったところ、スタンダードなオススメプランで、ゴールド免許はブルー免許に比べ約16%安くなりました。保険会社や組み合わせ内容によってバラツキはありますが、概ね数%~20%近くの範囲で割引が受けられるようです。これは大きいですよね。
免許更新にまつわる負担がラクになる!
仕事を休めなかったり小さな子供がいる方などにとって、免許更新はなかなか面倒な作業ですが、ここでもゴールド免許は効果を発揮します。
まずは有効期間。グリーン、ブルーが3年更新なのに対し、ゴールド免許は5年ごとの更新でOK(ブルー免許でも、過去5年間に一時不停止など3点以下の軽微な違反1回の方に限り、5年更新が認められています)。
ただし、高齢者はゴールドであっても、更新期間満了日の時の年齢が71歳の方は有効期間4年、72歳以上だと3年となるのでご注意を!
更新期間・手数料が優遇されている
さらに免許更新の際にかかる手数料や、時間の負担も少なくなります。
免許更新で必要な講習について、神奈川県のケースで比較すると、ゴールドの「優良運転者講習」が30分500円であるのに対し、ブルーは「一般運転者講習」が60分800円、「違反運転者講習」となると120分1,350円もかかります。
最近は、小さなお子さん連れで免許更新に来られる方も増えているそうですが、30分なら一緒に講習を受けてもなんとかなりそうなものの、120分となるとお互いかなり疲弊してしまうのではないでしょうか?
ですから安全運転の義務を心得ているということが大前提ですが、講習時間が短くて済むのは、ゴールドの大きなメリットだと感じます。
経由更新という優遇制度も使える
またゴールド免許保持者は、出張中や旅行先などで「どうしても更新が間に合わない!」という場合に「経由更新」という制度を利用できます。
これは免許証の住所と異なる都道府県にいながら、遠隔で免許更新ができるシステムで、優良運転者(ゴールド免許保持者)しか使えない優遇措置です。
ちなみにゴールド免許を更新し忘れると、再取得後はブルー免許に格下げされてしまいます(笑)。
さて後半では、こうして得たゴールド免許がブルーになってしまうのはどんなとき? そして、どうやったらまたゴールド免許になれるのか? についてお話しましょう。
-
執筆者プロフィール
モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。