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自動車コラム「知識はなくてもクルマは走る」 自動車コラム「知識はなくてもクルマは走る」

夏でもスタッドレスタイヤを履いていていいの?

執筆者

山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る

夏でもスタッドレスタイヤを履いていていいの?

実家にタイヤを置かせてもらい、時期が来ると交換しているのですが、このコロナ騒動で帰省できず。 まだスタッドレスのままなのですが、いいのでしょうか?

(30代会社員・男性)

安全性や耐久性を考え、サマータイヤ(通常のタイヤ)へ交換を

基本的にスタッドレスタイヤは、冬期に履く「ウインタータイヤ」です。

その最大の目的は、雪上路面やアイスバーンでもタイヤの性能を発揮できるようにすること。そのためにサマータイヤ(通常のタイヤ)より、低い温度でゴムがしなやかさを保ち、雪に溝が食い込み、路面と氷の間にできる水膜を除去できるように作られています。

当然ながらこうしたウインター性能は、暖かくなるほどに必要がなくなってきます。もっというと冬性能に特化している分だけサマー性能が低く、気温が上がるほどにデメリットが出てきます。だから暖かくなってきたら、履き替えるべきと言われているんですね。

暑い夏に履くと、タイヤの寿命は早まる

スタッドレスタイヤのゴムが、サマータイヤに比べて柔らかいというのはみなさんも、なんとなくわかっていると思います。冬場を過ぎてスタッドレスタイヤを履いていると、「ぐにゃぐにゃして走りにくい」と感じますよね。

スタッドレスタイヤが柔らかいのは、前述した通り気温が低いところでもゴムがしなやかに路面をつかむためです。またトレッド面(タイヤの表面)には細かくサイプ(溝)が入っており、雪をくわえ込んだり、水膜を除去したりします。

最近は「3Dサイプ」など、タイヤの倒れ込みを防ぐ技術も発達していますが、これがまったくない夏タイヤと比べると、通常の気温ではシッカリ感には劣ります。

そしてこの柔らかさは、夏場におけるタイヤの摩耗を早めます。またゴムが動くことによって熱を持ちやすくなり(エネルギーロス)、燃費にも影響してくるのです。冬をターゲットに作られたタイヤを猛暑で履けば、寿命が早まるのはイメージしやすいですよね。

何より大切なのは安全性!

でも私がみなさんに一番伝えたいのは、安全性です。
ぐにゃっとしたタイヤで走っていると、単純に運転しにくいですよね? 急な飛び出しでブレーキを踏んだとき、短い距離で安全に止まることができるか? ハンドルを切って、よけられるのか。操作が複雑になるほど、タイヤには負荷が掛かります。

「スピードを出さないで、普通に運転していれば大丈夫」と思っていても、とっさの時に余裕が残っているか?ここを一番意識して欲しいのです。

ウェット性能が低いスタッドレスタイヤ

スタッドレスタイヤ

またスタッドレスタイヤは、夏タイヤに比べてウェット性能がどうしても低くなります。雪上・氷上性能を高めるためには細かなサイプが必要となり、どうしても雨天時の排水性を高めるために必要な、大きな溝の割合が低くなってしまうのです。

でも「冬場にも雨は降るのでは?」と思ったあなたはとても鋭い。

まず少ない排水溝に対しては、ゴムの路面密着性を高めています。ウェット性能は「排水性」と「グリップ力」の総合力で決まるので、ゴム性能を高めてバランスを取るのです。
そして少ない溝体積のなかで、少しでも排水性を良くするトレッドパターン(排水溝の形)を、常に研究しています。

地域特性や気候の変化に合わせたタイヤ選びが大切

それでも大雨になれば、冬場でさえスタッドレスタイヤでの運転には注意が必要です。最近は積雪量も少なくなってきており、雪が極端に少ない地域では、むしろゲリラ豪雨を考えると「スタッドレスタイヤを履かない方が安全なのでは?」と思える状況も珍しくありません。

雪の少ない地域でオールシーズンタイヤや、ウインタータイヤ(雪は大丈夫でも、氷上性能まではカバーしないタイヤ)が注目され始めたのはこのため。経済的な理由だけでなく、スタッドレスタイヤより高いウェット性能を発揮してくれるからです。

適切なタイヤ交換で快適なカーライフを!

まとめると、夏場におけるスタッドレスタイヤは、摩耗が早い。そして安全性とウェット性能においては、サマータイヤの方が優れているということになります。
そろそろ梅雨開けの時期になりますし、集中豪雨や台風を考えれば、やはり夏タイヤへの交換をお勧めします。

ちょっと難しい話になりましたが、まだまだ全てのシーズンをカバーするタイヤはありません。ちょっと面倒でも、「事故を起こした⽅が 遙かに失うものは⼤きいな!」と思っていただければ嬉しいです。

あっ、いくら夏タイヤに交換したからといって、そのタイヤが極端に古かったり、溝が残っていなければ意味ないですからね!冬の間保管していた夏タイヤの健康管理をしてあげることも、忘れないでくださいね。

  • 執筆者プロフィール

    モータージャーナリスト 山田 弘樹

    山田 弘樹(やまだ こうき)

    モータージャーナリスト
    日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
    自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。
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