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ペットの医療費はいくらかかる?治療費用に備える方法と合わせて解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

ペットの医療費はいくらかかる?治療費用に備える方法と合わせて解説

犬や猫などのペットが動物病院を受診する際、医療費はどれくらいかかるのでしょうか?

動物には人間のように公的な医療保険がなく、医療費の全額が自己負担ですので、高額になったときが心配ということがあるかもしれません。

データをもとに、年齢別・傷病別の医療費がどれくらいかかるかを確認してみましょう。

ペットの医療費は全額自己負担

ペットには公的な医療保険がなく、病気やケガの治療費や検査代などは各動物病院が定めています。

また、原則として医療費の全額が飼い主さんの自己負担です。

病気の種類や治療内容、入院か通院かなどによる違いがありますが、一般的な金額を知っておくと、いざという受診時に安心かもしれません。

犬の診療費はどれくらい?

犬が病気やケガで受診した際には、どれくらいの医療費がかかるのでしょうか。アニコム「家庭どうぶつ白書2023」によると、次のようになっています。

年齢ごとの診療費

犬の診療費を年齢別に見ると、0歳を除き、年齢が高くなるにつれて高額になる傾向がみられます。

5歳時の年間診療費の中央値は約3万5千円、10歳時では約9万4千円となっています。

犬の年齢別の年間診療費
犬の年齢別の年間診療費

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」犬の年齢別の年間診療費

傷病ごとの診療費

診療費の中央値が高額な病気・ケガをみると、上位10項目は下記のようになっています。

鼻腔内腫瘍や糖尿病は、年間の診療回数が平均10回以上で、診療費の年間平均値が20万円台や30万円台になっていることがわかります。

1回あたりの医療費はそれほど高額でなくても、ひんぱんに受診することで、年間の医療費の合計が高額になるのかもしれません。

一方で、腸閉塞は診療回数が平均2回ながら年間診療費が10万円を超えており、病気・ケガの種類によってお金のかかり方に違いがみられます。

犬猫で共通して診療費が高額になる病気もありますが、大腿骨頭虚血性壊死・レッグペルテス病など、犬のみで上位に入っている病気も見られます。

犬の傷病別の年間診療費
順位 傷病名 年間診療費
平均値
(中央値)/円
年間診療
回数
(平均値/回)
1 鼻腔内腫瘍 324,852 10.6
(172,699)
2 糖尿病 224,959 14.4
(172,092)
3 腸閉塞 184,674 2
(158,345)
4 脳腫瘍 353,411 7.9
(156,838)
5 脂肪細胞腫瘍
(皮膚)
223,243 5.6
(152,084)
6 大腿骨頭
虚血性壊死
・レッグ
ペルテス病
159,970 3.5
(144,210)
7 子宮蓄膿症 157,283 3.1
(140,113)
8 髄膜炎/
髄膜脳炎/
脳炎横隔膜
195,317 9.2
(136,727)
9 その他の
神経系の腫瘍
231,371 5
(126,577)
10 その他の
リンパ組織/
造血組織
の腫瘍
190,371 7.4
(119,999)

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」 犬の診療費(中央値順)

猫の診療費はどれくらい?

猫が病気やケガで受診した際には、どれくらいの医療費がかかるのでしょうか。

犬と同じくアニコム「家庭どうぶつ白書2023」のデータを確認してみましょう。

年齢ごとの診療費

猫の診療費を年齢別に見ると、0歳を除き、年齢が高くなるにつれて高額になる傾向がみられます。

5歳時の年間診療費の中央値は約2万円、10歳時では約4万3千円となっています。

全体的な傾向としては、猫の医療費は犬に比べて低いことがわかります。

猫の年齢別の年間診療費
猫の年齢別の年間診療費

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」猫の年齢別の年間診療費

傷病ごとの診療費

診療費の中央値が高額な病気・ケガをみると、上位10項目は下記のようになっています。

年間診療費が最も高額なのは腸閉塞で、診療回数が平均約2回で、診療費の平均値は約19万円になっています。

また、鼻腔内腫瘍や糖尿病なども年間診療費の平均値が10万円を超え、かつ年間の診療回数が多い傾向がみられます。

犬猫で共通して診療費が高額になる病気もありますが、胆石症や横隔膜ヘルニアなどは猫のみで上位に入っています。

猫の傷病別の年間診療費
順位 傷病名 年間診療費
平均値
(中央値)/円
年間診療
回数
(平均値/回)
1 腸閉塞 189,012 2.2
(155,280)
2 鼻腔内腫瘍 250,192 8.4
(141,487)
3 子宮蓄膿症 134,897 2.5
(118,960)
4 乳腺腫瘍/
乳腺腺癌
159,179 4.9
(116,776)
5 糖尿病 142,709 9.6
(109,670)
6 その他の
リンパ組織/
造血組織の
腫瘍
167,140 8.2
(102,300)
7 胆石症 210,261 8.3
(100,930)
8 横隔膜
ヘルニア
184,750 3.1
(100,705)
9 その他の
胸腔内の腫瘍
168,214 5
(96,799)
10 肺水腫
(原因未定)
126,756 4
(84,150)

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」 猫の診療費(中央値順)

ペットの医療費にどうやって備える?

犬や猫を飼う際には、もしもの病気やケガのときにどれくらいのお金がかかるかを知り、あらかじめ備えておけると安心ですね。

どのように備えておけばいいでしょうか?

ペット保険

ペットの医療費に備える方法のひとつとして、ペット保険が挙げられます。

月々の保険料はかかりますが、入通院や手術でかかる費用の負担を軽減できます。

上記で挙げた犬猫の診療費は平均値(中央値)ですので、病気・ケガの種類や重症度ほか個別の状況によっては、実際には高額な費用がかかるケースもありえます。

そのような事態に、ペット保険で備えることも可能です。

ペット貯金

ペットのためにお金を貯蓄しておく「ペット貯金(犬貯金・猫貯金)」という方法もあります。

いざというときの医療費に使うこともできますし、入通院がなければ使い道の自由なお金になります。

また、犬や猫の健康管理には、医療費以外にも健康診断、ワクチン、ノミ・ダニの予防薬所といったお金がかかることもあります。

こうした予防やメンテナンスの費用には、ペット保険の対象にならないものがありますので、家計や貯金から充てられるようにしておくことが大切です。

日々の暮らしと合わせてもしもの医療費にも備えを

犬や猫の健康管理やもしもの病気ケガに関わる医療事情は、人間とは異なります。

健康に暮らすために必要なお金のことをあらかじめ知っておきたいですね。

元気なうちから、もしものときに備えておけると安心ではないでしょうか。

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※出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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