子犬や子猫を迎え入れたときには、ペットショップなどでペット保険を案内されることがあります。
初めて子犬・子猫を飼う際にはペット保険についても初めて検討するケースもあるかもしれませんが、加入したほうが良いのでしょうか?
まだ若くて元気なら、保険はいらないと考えることもあるでしょう。子犬・子猫のペット保険の必要性について考えてみましょう。
子犬・子猫ならペット保険はいらない?
子犬や子猫に、ペット保険は必要なのでしょうか?子犬や子猫の病気やケガのデータを参考に考えてみましょう。
子犬・子猫の時期は病気やケガをしやすいことも
子犬や子猫には、他の年代の犬・猫と同様の病気やケガの心配があり、一概に病気やケガにならないとは言いにくいものです。
アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」※によると、年間にかかる動物病院の診療費は犬猫ともに、おおむね年齢が高くなるにつれて高額になる傾向がみられます。しかし、0歳においては、1歳に比べて高いようです。
犬の年齢別の年間診療費
出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」犬の年齢別の年間診療費
猫の年齢別の年間診療費
出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」猫の年齢別の年間診療費
0歳時に多い誤飲や病気のリスク
生後間もない時期や0歳の頃には、誤飲や特定の病気やケガに見舞われる傾向もあるようです。
同社への保険金の請求割合をみると、犬の場合、0歳で最も請求割合が高いのは誤飲を含む消化器疾患です。
2番目に多い皮膚疾患は年齢が上がるにつれて請求割合が高くなっていますが、消化器・耳・全身性・筋骨格の疾患は0歳時には1歳時に比べて割合が高い傾向が見られます。
犬の疾患別請求割合
出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」疾患(大分類単位)別請求割合 をもとに筆者作成
猫においても、誤飲を含む消化器疾患の請求割合が最も高くなっています。0歳時においては、その後に眼・全身性・皮膚・消化器の疾患と続いています。
猫の疾患別請求割合
出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」疾患(大分類単位)別請求割合 をもとに筆者作成
生まれたての子犬や子猫はまだ体が弱い、迎え入れて間もない時期には環境に慣れていないといった理由で体調が安定しにくいこともあるでしょう。
また、飼い主さんや家族が使っているものやおもちゃ、ヘアゴムやコード類、ひもなどの異物を誤って飲み込んでしまうケースもあるようです。
そういった理由から、動物病院への受診が多くなる可能性もありそうです。
ペット保険には何歳から入れる?
では、子犬や子猫は何歳からペット保険に加入できるのでしょうか?
ペット保険に新規契約できる年齢は、各保険会社が商品ごとに設定しています。
一般的には、愛犬・愛猫の迎え入れ時、またはそれ以後で、年齢制限の範囲内で申込・契約します。
年齢制限がある場合、加入できるのは生後30日から、45日から、60日からなどとなっており、生後間もない時期にはペット保険に加入できない期間もあるようです。
一方で、基本的には生後すぐ、0歳から加入できるものも少なくありません。
子犬・子猫でペット保険に入るときの注意点
ペット保険に加入する際には、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。
子犬・子猫の場合の注意点と合わせて確認しておきましょう。
申込後、補償開始まで時間がかかる
ペット保険の補償が始まる時期は、商品によって異なります。
一般的に、ペットショップや譲渡団体などが扱っているペット保険の場合には、引き渡し時や翌日までに補償が開始されるものが多いようです。
しかし、他の保険代理店やインターネット経由で申し込む場合には、補償開始は申込の翌月や翌々月など、所定の期間がかかるものが主流です。
補償開始前の病気は補償されない
ペット保険の補償を受けられるのは、契約が成立し補償が開始した後に生じた病気やケガです。
補償開始前のケガや、以前から判明している持病、生まれつきの先天性異常などは、基本的には補償の対象にならないことも留意しましょう。
健康状態によっては加入できないことも
ペット保険の申込時には、健康状態に関わる告知が必要です。
告知した内容によっては、ペット保険の加入ができない場合もあります(状況によって判断が異なる場合もあります)。
詳細は保険会社に確認してみましょう。
継続時の保険料に注意
ペット保険の保険料は、更新時や所定の期間ごとに年齢に応じて見直されます。
保険会社や犬種により異なりますが、生後間もない時期や0歳の間は病気やケガのリスクが高いとされ、生後120日など所定の日数までは保険料が高めに設定されている場合もあります。
ただ、おおむね1~2歳以降になると、一般的には年齢を重ねるとともに保険料が高額になる傾向があります。
更新後の保険料がいくらになるのか、早めに確認しておくとよいのではないでしょうか。
子犬・子猫のもしもの治療費に備えてペット保険の検討を
子犬・子猫のうちは体調を崩しやすい、誤飲やケガの心配など、幼児期ならではのリスクがあります。
わが家の愛犬・愛猫が、こうした経験にいつ見舞われるのかを予測することはできませんが、万が一の際にはすぐに動物病院に連れて行ってあげたいものです。
持病や傷病歴を経験した後では、年齢制限の範囲内であってもペット保険に新規加入するのが難しかったり、補償に制限がつく場合もあります。
健康なときに、いざというときへの備えをしておくことも大切です。
ただし、子犬・子猫の頃にペット保険に加入して、成長後も補償を継続すると、更新などのたびに保険料が高くなっていく可能性があります。
また、若いうちから高齢になるまで保険を継続すると、保険料の払い込みが長期間にわたって続くことにもなります。
初めて契約する年や更新直後の保険料だけではなく、補償を継続した場合に生涯でかかる保険料の合計も意識しておきたいところです。
補償を受けたいタイミングと、払い込む保険料の負担のバランスをみて検討してみましょう。
※出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023」
-
執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
気になった記事をシェアしよう!