犬や猫などのペットのケガや病気に備えるペット保険には、さまざまな補償や特徴のある商品があります。
どのように選べばよいのでしょうか?
ペット保険選びでおさえたい7つのポイントを解説します。
補償の範囲
ペット保険では、ケガや病気で動物病院を受診したときにかかる治療費が補償されます。このうち、通院・入院・手術のすべてが対象になる「フルカバー」のタイプと、手術・入院に特化したタイプがあります。
フルカバータイプに含まれる「通院」の補償には、手術や入院の必要のない治療も対象になるため、幅広い治療費に対応できます。
また、通常はフルカバー型の方が入院・手術特化型に比べて保険料は高めです(犬種や年齢などの条件が同じ場合)。
ペット保険を選ぶ際にはまず、どのような治療を受けたときにペット保険を活用したいかを考えてみましょう。
通院・入院・手術のフルカバー型
対象になる病気やケガであれば、動物病院での受診が通院(外来)でも、入院でも、手術でも補償されます。
入院・手術特化型
対象になる病気やケガのうち、入院や手術による診療を受けた場合に補償されます。
なかには、手術のみ(または、入院を伴う手術を含む)に絞ったタイプもあります
ペット保険で補償される治療範囲
※商品・プランによって、入院が対象にならない、手術を伴う入院のみを対象にするなどの制限があります。
補償の割合
ペット保険では、動物病院でかかった費用の50%や70%など、決まった補償割合が保険金として支払われるしくみになっています。
かかった費用の全額をペット保険でカバーしたいか、一定割合までは自己負担をしてもいいかによって、補償割合を選びましょう。
50%・70%などのプランから選択
標準的なプランは補償割合が50%または70%のプランで、多くのペット保険会社が取り扱っています。
動物病院で治療を受けたときに、かかった費用の50%または70%が保険金として支払われます。
100%補償されるプランも
ペット保険会社によっては、80%、90%、100%といった補償割合のプランを扱っているところがあります。
100%のプランでは、所定の限度額や限度回数の範囲内であれば、かかった費用の全額が保険金として支払われます。
保険金請求の限度額
多くのペット保険では、保険金を請求できる金額や回数などに上限を設けています。主に次の2つのタイプがあります。
年間でひんぱんに受診する場合や長期の治療が心配な場合には、1日ごとの限度額や回数の上限が設けられていると、限度を超えないかが都度気になるかもしれません。
限度額の区切り方の違いもチェックしてみましょう。
限度額が1日ごとに決まっているタイプ
通院・入院は1日ごと、手術は1回ごとに、支払われる保険金の限度額が設定されています。
通院は1日10,000円まで、かつ年間20日分まで、手術は1回10万円まで、かつ年間2回までのように、1日の限度額と合わせて年間に請求できる回数にも上限が設けられているペット保険が多いです。
限度額が年間で決まっているタイプ
1日、1回ごとの限度額は定めずに、年間に請求できる保険金に限度額が設けられています。
通院・入院・手術合わせて1年間に70万円まで、のような形で設定されています。
免責金額(自己負担)の有無
一部のペット保険では、免責金額の設定があります。
免責ありのペット保険の場合、所定の免責金額までの治療費は自己負担し、超えた金額に対して補償を受けられます。
少額の治療費は補償されない反面、保険料は免責のないペット保険に比べ手頃な傾向があります。
ただし、免責金額があることで治療費の負担が増えることになります。負担する治療費とのバランスを見て、免責金額の有無を選びましょう。
窓口精算の有無
窓口精算は、動物病院の窓口でペット保険の加入者証などを提示すると、保険金を差し引いた金額のみ支払うことで治療費の精算が完了するしくみです。
対応している動物病院のみでの利用にはなりますが、動物病院の窓口でいったん治療費の全額を支払ったり、保険会社へ保険金の請求手続きをする手間がかかりません。
かかりつけの獣医さんが窓口精算に対応している場合に、検討してみてもいいでしょう。
補償対象になる病気
ペット保険では、先天性異常や契約前に発病した病気、予防医療などの例外を除き、基本的には治療が必要な病気やケガが対象になります。
しかしながら一部の病気やケガについては、商品により補償対象の範囲が異なることがあります。
たとえば、歯周病やそれらに関連した歯石取りなどの歯科治療、椎間板ヘルニア、パテラ(膝蓋骨脱臼)などは、保険会社やプランによって補償対象になるかならないか、取り扱いが異なります。
愛犬・愛猫などにとって心配な病気やケガが補償対象になるかどうかも、ペット保険選びの際に確認しておきましょう。
継続時の保険料
ペット保険の保険料は動物の種類や犬種などのほか、年齢に応じて設定されています。
また、更新ごとや所定の年齢区分ごとに保険料が見直され、高齢になるにつれて保険料が高額になる傾向があります。
保険を選ぶ際には契約当初の保険料に注目しがちですが、それだけではなく、継続時の保険料がいくらになるのかを確認することが大切です。
ペット保険選びの際は補償範囲や限度額、保険料などをチェック
ペット保険は、補償範囲や補償割合、対象になる病気やケガの範囲、窓口精算の有無など多様な面で商品ごとの特徴があります。
全商品のすべての条件を確認するのは困難なことですが、特にチェックしたいポイントについては、複数のペット保険を比較してみるといいですね。
一度契約をすると、長期間にわたって更新継続していくこともありますから、初年度の保険料だけでなく、更新後の保険料や終身にわたっての保険料総額のイメージもつけておくと安心です。
わが家の愛犬・愛猫たちにとってぴったりのペット保険を選びたいですね。
-
執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
気になった記事をシェアしよう!