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更新:(公開:2019年11月19日)

猫が腎臓の病気にかかったら?治療費とペット保険の加入について解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

猫が腎臓の病気にかかったら?治療費とペット保険の加入について解説

猫と一緒に暮らしている場合、腎臓病などかかりやすい病気が心配ということがあるでしょう。

腎臓に持病があると、ペット保険には入れるのでしょうか? 加入への影響が考えられる腎臓病の例や治療費のデータと合わせて解説します。

猫の腎臓病の治療費はどれくらいかかる?

一般的に、猫は腎臓の病気にかかりやすいと言われますが、どれくらいリスクがあるのでしょうか?

ペット保険の保険金請求データをもとに確認してみましょう。

腎臓病の治療費(全体)

愛猫が腎臓病にかかった場合には、どれくらいの治療費がかかるのでしょうか。

アニコムの「家庭どうぶつ白書2023」※1によると、ペット保険に加入している猫の保険金の請求理由のなかで、慢性腎臓病(腎不全含む)が第7位に入っています。

猫の請求理由TOP20(請求割合順)
猫の請求理由TOP20(請求割合順)
猫の請求理由TOP20(請求割合順)

※診療費、診療回数はいずれも1頭あたり

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023年」猫の請求理由TOP20(請求割合順)

その年間診療費は平均82,306円、中央値は30,523円となっています。ほかに請求割合の高い病気と比べてみると、高めの傾向がみられます。

また、年間の診療回数も平均10.8回となっており、ほかの病気に比べて多いことがわかります。

慢性腎臓病にかかると、治療費がかかるとともに治療のために動物病院に行く頻度が多く、飼い主さんにとっても負担が大きくなる可能性がうかがえます。

腎臓病の治療費(入院)

では、猫が腎臓病にかかった場合、入院の負担は大きいのでしょうか。

同調査によると、猫の入院理由のなかで、慢性腎臓病(腎不全含む)は「その他の泌尿器疾患」に次いで第2位となっています。

猫の入院理由TOP10(件数順)
猫の入院理由TOP10(件数順)
猫の入院理由TOP10(件数順)

※診療費はいずれも1頭あたり

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023年」猫の入院理由TOP10(件数順)

平均入院日数は3.7日、年間診療費は76,327円です。病気で入院をする猫のなかで、慢性腎臓病や腎不全で入院をするケースは少なくないことがわかります。

高齢猫では腎臓病の請求割合が高い

また、8歳以上の高齢猫でのペット保険の請求割合をみても、慢性腎臓病(腎不全含む)の請求割合は「その他の泌尿器疾患」に次いで第2位となっています。

3位以下の疾患に比べて件数が大幅に多く、高齢期には慢性腎臓病への注意が重要であることがうかがえます。

高齢猫(8歳以上)の好発疾患(請求割合順)
高齢猫(8歳以上)の好発疾患(請求割合順)
高齢猫(8歳以上)の好発疾患(請求割合順)

※2021年4月1日~ 2022年3月31日までの間に、アニコム損保の保険契約を開始した8歳以上の猫43,718頭において、疾患小分類ごとの請求割合を集計した

※通院・入院・手術を含む

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023年」高齢猫(8歳以上)の好発疾患(請求割合順)

猫の腎臓病に備えるには?

腎臓病の治療にかかるお金の参考として、上記のデータからは慢性腎臓病(腎不全含む)の診療費には年間8万円前後がかかることがわかりました。

では、このような診療費に対して、どのように備えておけばいいでしょうか。

飼い主さんの家計や貯蓄をあてると考えると、年間7~8万円程度を目安にお金を準備しておくとよさそうです。

しかし、治療期間が長期にわたるなど、病状によっては医療費の負担が重くなることも考えられます。

健康なうちから早めに準備をしておく、定期的に健診を受けて早期発見、早期治療に努めるなど、病気の負担や経済的な負担をできる限り抑えたいものです。

また、ペット保険で備える方法もあります。健康なうちの加入に限られますが、将来に動物病院での治療費がかかったときに、負担を抑えるために活用できます。

ただし、ペット保険の商品・プランによって補償割合決められており、保険金を請求できる回数や金額にも限度が設けられています。

すべての診療費をペット保険だけでカバーしきれない場合もありますので、限度回数や限度額など、補償内容をしっかり確認しておくことが大切です。

腎臓病の持病があるとペット保険に入れる?

もし、すでに腎臓病の持病があると、ペット保険には入れるのでしょうか?

残念ながら、申込時点で病気やけがの治療中である場合には、原則としてペット保険には加入できないことがほとんどです。

また、申込時点に完治している場合でも、過去に特定の病気にかかったことがある場合には加入ができない(引受不可)こともあります。

ほとんどのペット保険では、既往歴があると引受不可とする病名の中に、腎疾患を挙げているようです。

詳細な病名は保険会社により異なる部分がありますが、主に下記の腎疾患については、引受不可とする保険会社が少なくありません。

ペット保険に加入できない腎疾患の例
  • 慢性腎臓病(慢性腎不全)(CKD)
  • 急性腎不全(AKI)
  • 腎結石
  • 水腎症
  • 慢性腎炎
  • 腎盂腎炎
  • 糸球体腎炎
  • 尿結晶症 など

※保険会社によって異なる場合があります。該当する詳細な病気は保険会社によって異なるため、各社でご確認ください。

もしもの腎臓病に備えて、元気なうちにペット保険などの備えを検討

猫において、腎臓病による受診や入院は珍しくないようです。また、診療回数が多い、年間の診療費がかかるなど、飼い主さんの負担も重くなる可能性があります。

もしもの罹患に備えて、元気なうちから診療費のために貯蓄をしたり、ペット保険に加入をしておくなどの備えが大切です。

腎臓病の既往歴があると、ペット保険への新規加入は難しいことがほとんどですので、早めに検討しておきたいですね。

※2024年10月時点で、当社調べによる情報をもとに執筆しています。保険の引受条件や加入可否は今後変更されることがあります。また、個別の状況により判断が異なる場合もありますので、詳細は各保険会社にご確認ください。

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※1 出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2023年」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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