毎年、気温が高くなる夏の時期にリスクが高まる熱中症。重篤化すると命にもかかわることがありますが、室内で過ごすことが多いネコちゃんでも要注意であることをご存知ですか?
そこで、ネコちゃんの熱中症対策について知っておきましょう。
夏のお留守番は注意!猫の熱中症とは
おうちの中で過ごす時間が多いネコちゃんたち。アイペット損保※1のデータによると、熱中症が疑われたネコちゃんは外へお散歩に出かけるワンちゃんたちに比べると多くないようですが、それでも4割弱の飼い主さんはわが子に熱中症を疑った経験があるそうです。
あなたはペットに対して、熱中症を疑ったことがありますか?
※単一回答、全体n=884/犬飼育舎n=567/猫飼育舎n=317
出典:アイペット損害保険株式会社「ペットの熱中症に関する調査」
エアコンがきいているお部屋ならネコちゃんは快適に過ごせるかもしれませんが、あまりエアコンがきいていなかったり、風通しが悪かったりすると、いくら室内でも熱中症のリスクになるでしょう。
ネコちゃんたちは鼻で気温を感知して快適な場所を探して移動するのが得意なようですが、部屋全体が高温、多湿だと逃げ場がなくなってしまいます。また、ネコちゃんは私たち人間のように汗をかかず、ワンちゃんのように舌を出して熱を逃がすこともできないため、体温調節が苦手だそうです。
熱中症を疑われたネコちゃんの半数以上が、「家の中でお留守番中」だったという調査結果※1も。おうちでお留守番をさせるときには、わが子が快適に過ごせる温度や湿度を保って出かけたいものですね。
ペットの熱中症を疑ったとき、どのような状況でしたか?
※複数回答、全体n=384/犬飼育舎n=258/猫飼育舎n=126
出典:アイペット損害保険株式会社「ペットの熱中症に関する調査」
猫の熱中症の症状
では、もしネコちゃんが熱中症になると、どんな症状が出るのでしょうか。
環境省※2の資料によると、軽度の症状では口を開けてハアハアと大きく呼吸をする、大量のよだれを垂らすなどの特徴がみられるようです。
また、体温が高くなるのも熱中症の症状のひとつで、ネコちゃんの場合には耳が熱くなることがあるようです※3。
中等度になると筋肉が震える、吐き気や下痢、呼吸困難などの症状が出る、さらに重症化すると合併症を起こしたり、最悪の場合には死に至ってしまうこともあります。
熱中症の応急処置と治療方法
熱中症の診断は獣医師さんが行うものです。熱中症を疑ったら速やかに動物病院に電話をして、病院に連れていってあげることが大切ですが、連れていってあげるまでの間におうちでできることがあれば、早めに対応してあげたいですよね。
原則としては動物病院にわが子の様子を伝えたうえで具体的な応急処置方法を聞くことになりますが、おもに次のような指示を受けるケースが多いようです。
まずは体温を下げることが大切
熱中症になると体温が過度に高くなることが多いため、体を冷やしてあげます。水でぬらしたタオルや、布で包んだ保冷材を脇の下や太ももの間に挟む、ぬらしたタオルを体にかけて上から流水をあてるなどが効果的なようです。
また、お水を自力で飲めれば水分補給も大切だそうです。ただし、ぐったりして飲めないときには気管に入ってしまう危険があるので、無理に飲ませなくてよいようです。
心配な時には迷わず動物病院へ
もしも熱中症を疑ったら速やかに対処してあげたいものですが、いざわが子がぐったりしていたら速やかに体を冷やしてあげたり、お水を飲ませてあげたりするのは思いのほか難しいかもしれません。
自己判断や、飼い主さんが動揺してスムーズに対処できずに手遅れになる危険を避けるためには、早めに動物病院に相談し、重症化の恐れがあれば病院に連れていってあげたいものですね。
しかし動物病院に連れていくときに飼い主さんに気になることのひとつが、治療費用かもしれません。
もし熱中症で治療をしてもらったときにかかる費用は、重症度などにより異なりますが、たとえば診察と検査、点滴や入院をした場合には数万円かかることもあるようです。
猫の熱中症を防ぐ対策は?
では、わが子を熱中症から守ってあげるには、どんな対策が有効でしょうか。環境省や獣医師さんによる情報では、おもに次の対策が奨められています。
室温と湿度を常に注意して
おうちの中で過ごすときの環境を整えるときには、適切な室温と湿度を保つことが大切です。
室温は22~25度、湿度は50~60度が、ネコちゃんたちが快適に過ごせる環境のようです。そのために上手にエアコンを活用するのもよいでしょう。
エアコンをつけるときには設定温度は28℃を超えない程度にし、ドライ設定にするのもよいようです。
いつでも飲める場所に水分を
もちろん、熱中症予防には水分補給も大切です。お留守番中にいつでも飲めるように、多めに用意しておくと安心ですね。流水が好きなネコちゃんには、電動で水が出てくる自動給水器を置いておいてあげるのもよいのではないでしょうか。
また、涼しい場所に自由に移動できるように、日陰の多い部屋の扉を開けておく、アルミプレートで熱を吸収するクールマットを敷いておくなどの方法も奨められています。
猫の熱中症のリスクを知って、お留守番も安心
室内で過ごすネコちゃんも、熱中症のリスクがあります。日中にわが子が室内でお留守番する時は、特に気を付けてあげたいものです。
いつも以上に飼い主さんが注意して、暑さ対策やこまめな休憩、水分補給をしてあげたいですね。
なお、ペット保険では熱中症の治療費も補償の対象になります。暑いときにわが子が体調不良になったとき、早めに動物病院に連れていってあげるうえでの安心になるかもしれませんね。万が一の時に大切な家族が出すサインを理解して、熱中症を予防してあげたいですね。
※1 出典:アイペット損害保険株式会社「ペットの熱中症に関する調査」
※2 出典:環境省「動物の体温調節の特徴 ペットの熱中症と対策 平成31年度熱中症対策シンポジウム」
※3 出典:アイペット損害保険株式会社 にゃんぺディア「【獣医師監修】猫の耳が熱いと感じたら、熱中症や猫風邪かもしれない!」
参考:アイペット損害保険株式会社 にゃんぺディア「獣医師が解説!本当は恐い猫の熱中症」
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監修者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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