弁護士保険(弁護士費用保険)は、「弁護士が入る保険」ではなく、日常のトラブルの解決を弁護士に依頼した時にかかる費用を補てんする保険です。離婚、相続、ご近所トラブルなど弁護士へ相談したり、解決の依頼をするときに活躍する保険です。
つまり、弁護士保険は日常生活に密着した、生活上のトラブルから身を守る身近な保険なのです。
記事の目次
弁護士は日常のトラブルの相談に乗ってくれる
弁護士というとニュースになるような刑事事件や過労死など企業を相手取って行う裁判、親権を争う離婚裁判など自分の日常とはかけ離れた世界を想像してしまうことはないでしょうか。
しかし、弁護士が活躍しているのは、裁判になる前の交渉などのトラブルが大きくなる前なのです。
体調が悪い時や熱が出た時、市販の薬を飲むなど自己治療をすることもできます。でも不調を感じた時には早めに医師にかかって専門治療を受けると安心ですし、大きな病気にもならずに早く完治ができます。
弁護士も同じで、早めに弁護士に相談することで、トラブルを予防して、安心した日常生活を送ることができるでしょう。
弁護士への依頼すると費用はいくらかかる?
弁護士は法律の専門家で、日常の疑問や不安を相談できるとはいえ、やはり専門家へ相談すると費用が発生します。病院にかかるときには健康保険があり、費用負担は一部ですが、「全額負担」となると体の事とはいえ、敷居は高くなるでしょう。
弁護士への依頼についても「何となく高そう。」と思って敬遠してしまいがちですが、弁護士にお願いすると、どんな費用がどれくらいかかるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
解決までの流れと費用
弁護士への費用は、1つのトラブルに対して相談から解決まで流れのなかでそれぞれ費用が決まっています。
- 相談
- 解決を依頼(委任)
- 解決手続き
- 解決
1.相談時の費用「相談料」
まず弁護士へ依頼する前、トラブルについて相談する時にかかる費用です。
ここではトラブルの概要などを相談します。この時点ではあくまでも「相談」であって、委任はしていません。
2.解決を依頼する時の費用「着手金」
相談をした後、ぜひトラブルの解決手続きをお願いしたい。と思った時「委任」の手続きを取ります。
この正式手続きをとることで「着手金」が発生します。
3.解決手続き時の費用
トラブル解決のために、ケースに応じてさまざまな手段をとりますが、手段によってそれぞれ費用がかかります。
内容証明郵便の作成の「手数料」や、裁判所へ提出する書類の印紙代といった「実費」、代わりに裁判に出てもらう「日当」などが発生します。
4.解決時の費用「報酬金」
解決したときにかかるいわゆる「成功報酬」です。解決の内容によって報酬が変動します。
事案によって費用は異なる
弁護士法が改正する以前には、日本弁護士連合会によって報酬規程が決められていましたが、現在は弁護士事務所ごとに自由に報酬を設定することができるようになりました。
現在でも旧規定を基本として報酬を決めているケースが多いようですが、実際の費用は依頼するトラブルの内容や経済的利益の大きさによって異なります。弁護士保険で実際に支払いのあった事例をご紹介いたします。
※弁護士へ支払う費用の全額が保険金で支払われないため注意が必要です。詳細は保険会社のホームページをご確認ください。
離婚時の慰謝料交渉(示談交渉事案)
離婚する際、相手方から慰謝料請求あり。弁護士に適性金額にするよう交渉依頼をした場合。
項目 | 金額 |
---|---|
法律相談料(90分) | 16,200円 |
着手金 | 324,000円 |
合計 | 340,200円 |
介護施設での骨折事故(訴訟事案)
高齢の母親が介護施設に入所中に骨折。弁護士を通じて損害賠償請求をし、裁判を行った場合
項目 | 金額 |
---|---|
法律相談料(30分) | 5,400円 |
着手金 | 421,200円 |
報酬金 | 766,800円 |
日当 | 54,000円 |
実費等 | 39,400円 |
合計 | 1,286,800円 |
もちろん、かかる費用は事前に説明を受け、正式に依頼するかどうか事前に検討することができます。また、支払いの時期や支払い方法を柔軟に対応してもらえる場合もありますので、合わせて相談してみると安心です。
一方で、相手から提示された和解案に納得できなくても、「和解しなければ、訴訟費用として追加で費用かかりますが、どうしますか?」と言われたらどうでしょうか。最初は「納得いくまで徹底的に戦いたい」と思っていても、費用対効果を考え、訴訟をあきらめてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、弁護士へ払う費用を補てんする保険があることをご存知でしょうか。
弁護士保険とは
弁護士保険は、弁護士へ依頼する際にかかる費用を補てんする保険です。
費用を気にして、納得できない和解案を受け入れたくない。また、被害額は10万円なのに、弁護士に委任すると最低でも20万円がかかる。あきらめるしかない。そんなときに保険で弁護士費用があれば、泣き寝入りせずに対応ができますし、結果がどうであれ、出来る限りの交渉を行ったのであればその結果を受け入れることができるのではないでしょうか。
そんな「泣き寝入りを減らしたい」「弁護士を身近な存在として使えるように」そんな思いで弁護士保険が生まれました。
弁護士保険を選ぶときのポイント2つ
それでは次に、弁護士保険の種類と選び方のポイントをご紹介いたします。
1.保険で対応できるトラブルの範囲
保険会社では弁護士保険で対応できるトラブルの種類を2つに分けています。保険を選ぶポイントは、どのトラブルを保険で備えるか決めることです。
偶発事故 | 交通事故など、突発的で偶然な事故。 弁護士保険はおおむね偶発事故をカバーしています。 |
---|---|
一般事件 | 偶発事故ではないもので、日常生活のトラブル全般。離婚や相続、ご近所トラブル、労働トラブルなど。 |
一般事故の方が、弁護士への相談につながる可能性が高いため、保険会社としてはリスクが高いと考えており、一般事故に対応する保険は保険料を高く設定しています。
保険会社によっては一般事件も全て対応するのではなく、「痴漢被害・痴漢冤罪のみ」と対象のトラブルを限定した保険も登場しています。
痴漢冤罪・痴漢被害に特化した保険
一般事件にも幅広く対応した保険
2.無料サービス
弁護士保険は、弁護士費用を補てんするだけではなく、様々なサービスが用意されています。
保険の支払い対象となる場合に弁護士を紹介してもらえたり、弁護士へ電話で初期相談※できる弁護士直通ダイヤル、痴漢の被害や冤罪を疑われた時すぐに電話相談ができ、必要に応じてかけつけてもらえるヘルプコールなどがあります。
※初期相談とは、一般的な法制度上のアドバイスや、トラブルが法律問題にあたるかどうかの判断を受けられるものです。
痴漢被害・冤罪の時のヘルプコールがある保険
弁護士にトラブルの初期相談ができる保険
トラブルへの備えに弁護士保険の活用を
弁護士は日常トラブルをも相談できる身近な存在です。
日本と違い訴訟の多い国では、「ちょっとのトラブルでも弁護士を利用してどうやって儲けるか」と考える人も多く、「何かトラブルがないか」なんて考えている弁護士も少なくないようです。弁護士の役割は不安やお困り事を解消し、自分や家族、かかわる人々がより気持ちよく日常を過ごすためのサポートを行うことです。
まだまだ日本では弁護士は身近な存在とは言えず、トラブル解決の手段としては敷居が高いのが現実です。
弁護士保険は、弁護士への費用の敷居を低く、いつでも弁護士とつながることができる心強い保険です。万が一のトラブルに備える手段の1つではないでしょうか。
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執筆者プロフィール
ライフィ編集部
「お困りごと解決のためのお役立ち情報サイト」を目指し、生命保険・損害保険を中心に、健康や家計などさまざまな情報を掲載しています。メンバーは独自の視点でお客さまのお困りごとに日々耳を傾け、編集・発信しています。
執筆者・監修者一覧
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マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー -
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CFP(R)認定者、住宅ローンアドバイザー、相続アドバイザー、2級DCプランナー -
蟹山FPオフィス代表
CFP(R)認定者、住宅ローンアドバイザー、宅地建物取引士 -
グッドライフプランニング代表
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、健康経営アドバイザー -
FPラウンジ代表
大学非常勤講師、AFP認定者、子育て・教育資金アドバイザー、住宅ローンアドバイザー -
株式会社ライフィ コミュニケーション営業部 プロダクティプライフセクション 生命保険アドバイザー
公的保険アドバイザー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士 -
株式会社ライフィ 理念経営推進室
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP -
フリーライター
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モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員
ミカタ少額短期保険株式会社: PV2018営推00108