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Vol.8 人生ガラポン

ガラポンとは

八角形の箱を回転させ、当たり玉を引く福引き抽選器の通称。
一等の金色の玉を一発で当てることもあれば、末等の白い玉を引き続ける場合もある。
引手を一喜一憂させるが、手を回し続けなければ決して玉は出ることがない単純な仕組み。

希望の羅針盤となる言葉に出逢うこともあります

心が低空飛行だったあの頃。 7回行った胚移植は全滅。凍結している受精卵は残りひとつ。

8回目の胚移植も着床しなければ、憂鬱な採卵へと逆戻りです。 が、卵子が採れるかさえも難しい状況。

最後の打ち玉を放つ勇気が出ないのです。 実際足もすくみ、2か月間通院も休んでしまうありさま。

新しい風を吹き込まなくては!

ふと思い立ち、ひとり観光気分で関西に住む友人に逢いに行くことにしました。

実はその友人、『色々見えてしまう』能力有り。 医療に従事し、不妊治療に関する知識も持ち合わせています。 「あえて言う」との前置きで彼女が語ることには。

「色が白く眉毛の太い男の子が誕生を待っている」と。

自信を失っている時にもらった思いがけない言葉。 「本当?本当に見える?!」 明るい不意打ちに涙腺決壊です。

一度も泣かずにここまできました。

泣く暇もないハイペースの治療。 病院で感情が昂ると、S先生の重要な指示を聞き逃してしまいます。 待合室で高校の卒業以来ぶりにバッタリ再会した同級生は、6度目の流産が辛すぎると治療を断念しました。

皆それぞれに堪えているのに「泣くもんか」

抑えていた想いが溢れ出てしまったのです。 ですが、時には『涙活』もしてみるもの。

この出来事は、明らかに風向きを変えました。 しかも、色白&太眉という子どもの特徴は、友人が知る由もない我が夫のトレードマーク。 スピリチュアル寄りな話を渋る夫も、本件には素直に感激を(微笑)

「その子に逢いたい」

信じることが、当たるも当たらぬも八卦。一か八かです。 一縷の望みをかけて8回目の胚移植に臨みました。

心の中で八角形のガラポンをエイっ!と回したのです。

最後の受精卵は「良い形状ランクではない」とS先生からは言われていました。 ですが、良い形状ランクの受精卵を移植した回も、ダメな時はダメだったのです。 明らかな原因はわからなくても、何が起きるかわからないのが不妊治療。 まさにガラポンなのです。

この回は、市販の妊娠検査薬でのフライング検査も行いませんでした。 微熱のような体感もうっすらありましたが、『想像妊娠』のような症状はこれまでもあったので検温も行わず。 なるようにしかならないと開き直り、2週間後の診断を待ちました。

結果は・・・・・・着床。

42年生きてきて初めての妊娠です。

この報せに、今度は夫が感動にむせび泣きでした。 不妊に限らず治療の最中は、最先端の医学の力と、それだけでは解明できない力が作用し合うのかもしれません。

そして未来は今となりました。 我が家の生活の中心にいるのは、色が白く眉毛の太い男の子。元気に2歳を迎えました。

ガラポンを回し続けたら、人生がガラリと変わったというお話です。

プロフィール
鄭美和

鄭美和(てい みわ)

フリーライター

1973年生まれ。女性誌、男性誌、音楽専門誌、ライフスタイル誌、CDのライナーノーツなどで文筆活動を展開中。
2017年、43歳の時に第一子を出産。本コラム「私のガラポン不妊治療」では、40歳から開始して約2年間に及んだ不妊治療を振り返る。

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