最近話題のクルマのサブスクリプションって何?【前編】サブスクとリースの違い
山田 弘樹
モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 >プロフィールを見る
記事の目次
サブスクリプションとは「定額利用サービス」のこと
カーリースと言えば、一昔前までは企業などが社用車として利用するイメージが一般的でした。もちろん個人で利用する方もなかったわけではありませんが、今のように一般のユーザーの選択肢として話題に上がるようになったのは、ごくごく最近のことです。
その中でも2019年にトヨタがクルマのサブスクリプションサービス「KINTO」を開始したことは、記憶に新しいですよね。
一般的なサブスクは、AmazonやHulu、Netflixなど音楽や映画・映像のサブスクリプション(定額料金サービス)から広まって行きました。CDやDVDを所有することから、使用することへ変わっていったその流れは一気に加速して、ファッションやインテリア、飲食などに止まらず、クルマにもその波がやってきたということでしょう。
クルマのサブスクリプションとはマイカーリースの一つの呼称
カーリースとは一言でいうとクルマの定額リースサービスですが、このほかに「サブスクリプション」と謳われることがあります。実は困ったことに両者、月々の支払いが一定であるということ以外、明確な定義がありません。
ですが、おおむね次のような違いがあると考えて良いと思います。
カーリース
契約期間:1年以上の年単位で、長期間の契約であることが多い(途中解約すると違約金が発生する場合も)
保険:自賠責保険のみセット(任意保険のセットも可能)
契約形態:オープンエンド方式/クローズドエンド方式
サブスクリプション
契約期間:1ヶ月~。比較的短期間での乗り換えが可能(契約者の死亡や免許返納、海外転勤などの場合、解約金が発生しないこともある)
保険:自賠責保険+任意保険のセット
契約形態:クローズドエンド方式(原則)
カーリース(サブスクリプション)の基本的なしくみ
カーリースやサブスクリプションは契約時にあらかじめ、契約終了時の残存価格を設定し、残りの金額を利用年数で割って、月々の利用料金を算出します。
たとえば200万円のクルマを3年借りる場合、3年後のクルマの残存価格を50万円と設定すると、残りの150万円を36ヶ月で割る、という感じですね。
そしてオープンエンド方式は、契約者に残価を公開し、同意の上で残価を設定。契約満了時にその差額を契約者が清算することを言います。契約満了時に残存価値が低くなっていればさらに支払いが必要ですし、逆に差額を受け取って、契約を終了することもあるようです。
そして残価が思いのほか少なくなってしまったり、逆にそのクルマが気に入ったりすれば、リース期間を延長する方法もあります。
クローズドエンド方式は、リース会社が残価を設定しますが、これは契約者には提示されません。契約者は契約満了時、車両を返却するだけですべてが済みます。
つまりオープン方式だと残価設定を高めに設定することで月々の支払いを低く押さえることは可能ですが、契約満了時に思いのほかクルマの価値が下がってしまうなど、リスクも考えられます。少し割高でも流行りすたりによる価格変動を気にせず乗れるという意味では、クローズドエンド方式の方が安心、といえそうです。
サブスクリプションは新しいクルマの選択肢に
ただ昨今、カーリースとサブスクリプションの境界はますます曖昧になってきており、いずれ業界のなかで用語の使い方や定義を整理する必要が出て来ると思います。
ともかく今は過渡期にあり、上記の違いも絶対とは言えない、ということを付け加えておきますね。
ということで次回は、サブスクと購入の違い、それぞれのメリット/デメリットについてお話しましょう。
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執筆者プロフィール
モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経験。数々のレースにも参戦。2018年「スーパー耐久富士スーパーテック24時間」ではドライバーとして2位獲得。執筆活動、レースレポート、ドライビングスクール等の講師、メーカー主催イベントの講演など行う。