ゴルフ保険は、ゴルフプレー中のトラブルや思わぬ出費に備える保険です。ゴルフをしているときのケガ、人にボールを当ててしまった、キャディバッグを盗まれてしまった・・・など、ゴルフならではのリスクに特化して備えられます。
ゴルフ保険の補償内容やプラン、選び方などを詳しく解説します。
ゴルフ保険の補償内容は?
ゴルフ保険で補償されるのは、おもに1.他の人やモノへの賠償、2.プレー中のケガ、3.ゴルフ用品の破損や盗難、4.ホールインワン、アルバトロスで負担した費用の4つです。
名称や補償内容の詳細は保険会社によって異なりますが、代表的な例をそれぞれ具体的にみていきましょう。
1.他人への賠償費用
スポーツをしていれば、誤って人にケガをさせてしまったり、人のモノを壊してしまったりすることがあります。
思わぬ事故で他の人に損害を与えてしまったときには、ケガの治療費や壊れたものの修理代などを払う賠償責任を負うことになります。これはゴルフのプレー中も同じです。
ゴルフ保険では、このような賠償責任を負ったときに補償される「賠償責任補償」が基本でついています。
多くのゴルフ保険では、保険金額の上限は1億円や2億円などに設定されています。支払われる保険金の額は上限額の範囲内で、実際に負担する賠償費用と同額です。
対象になるのはゴルフをプレーしている間に起きたアクシデントです。
2.自分のケガの補償
ゴルフ中に事故が起きたら、自分がけがをしたり亡くなってしまったりするおそれもあります。そんなときの治療や入院などに対する補償がついているゴルフ保険もあります。
「ゴルフ傷害補償」「ゴルファー傷害補償」などというもので、ゴルフ保険のプランにセットされていたり、特約・オプションで付けられるのが一般的です。
もしものアクシデントで死亡してしまった、後遺障害が残ってしまったときには300万円~500万円など、プランに応じて設定された保険金が支払われます。
プレー中のケガで入院や通院をしたときには、1日あたり1,000円から5,000円などの保険金が支払われます。治療のために手術をしたら、手術保険金が支払われるものもあります。
対象になるのは、ゴルフのプレー中のアクシデントで自分がケガをした場合です。
※熱中症が補償対象の場合のみ
3.クラブ破損や盗難など用品補償
ゴルフクラブやキャディバッグなど、ゴルフグッズには高価なものがあります。そこで、盗まれたり壊れたりしてしまったときにかかる費用が保険で支払われるのが「ゴルフ用品補償」です。
「携行品損害補償」という名称のこともあります。ゴルフ保険のプランにセットされているか、特約・オプションで付けられます。
保険金は、10万円や30万円などプランに応じた上限額の範囲内で、損害を受けたものの時価額、または修理代相当額が支払われます。
4.ホールインワン・アルバトロス費用
ゴルフをしていて思いがけずお金がかかることといえば、ホールインワンやアルバトロスがあります。
なかなかできない偉業を達成するのは嬉しい反面、祝賀会を開いたり、記念品を配ったりすると想定外の費用がかかります。そのお金が保険で支払われるのが「ホールインワン・アルバトロス費用補償」です。
ゴルフ保険のオプションとして付加したり、セットされているプランを選ぶことで備えることができます。
保険で支払われるのは、記念品の購入や祝賀会などにかかった実額で、10万円から100万円程度までの上限があります。
ゴルフ場以外でも補償される?
ゴルフをするのはゴルフ場だけではなく、練習場や自宅、海外でプレーすることもあるでしょう。
どこで起きた事故が補償の対象になるかは、ゴルフ保険の補償内容によって異なります。おおまかには下記の表のようになります。
ゴルフ保険の補償の範囲の例
|
国内外 |
プレー場所 |
国内 |
海外※ |
ゴルフ 場 |
ゴルフ 練習場 |
自宅 |
他人への賠償 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
△ |
自分のケガ |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
ゴルフ用品の 補償 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
× |
ホールイン ワン・ アルバトロス |
〇 |
× |
〇 |
× |
× |
※国内専用のゴルフ保険の場合には、海外での事故は対象外です
他人への賠償は、ゴルフ場内のほか、ゴルフ練習場や自宅でプレーしていたときも対象になるものがあります。また、日本国内のほか海外でのプレー中も対象になるゴルフ保険が多いようです。
自分のケガやゴルフ用品の破損は、国内外のゴルフ場内やゴルフ練習場での事故を対象にしているゴルフ保険が多いようです。
一方で、ホールインワンやアルバトロスは、日本国内のゴルフ場での達成のみ対象にしているゴルフ保険がほとんどです。
ゴルフ保険を選ぶ時のポイント
ゴルフ保険への加入は、保険代理店などの窓口やインターネット、コンビニの端末などで手続きできます。1日限定など短期間のゴルフ保険では、スマートフォンから手続きできるものもあります。
多くの保険会社では、基本の補償にオプションがセットされたパッケージがいくつか用意されていますので、自分に合ったプランを選んで契約します。
プランを選ぶときには、おもに次の順に検討しましょう。
保険期間はいつまでにするか
保険の対象になる保険期間は、日帰りや1泊2日など短期間のものと、1年間のものがあります。短期間のものは保険料が数百円程度、1年間のものは数千円から1万円台と幅があります。
ゴルフが趣味、仕事の付き合いで定期的にゴルフに行く人は1年間、日頃はゴルフにほとんど行かないけれど誘われたときだけ保険をかけておきたいようなときは短期間のゴルフ保険を選ぶとよいでしょう。
どの補償プランにするか
ゴルフ保険は基本的に、賠償責任補償や傷害補償など、複数の補償を組み合わせて販売されています。パッケージされたプランによって保険金額と保険料が異なります。
保険金額の上限が高いほど、保険料が高く、保険金額が低いプランは保険料が手頃に設定されています。
一部、保険代理店などの窓口で加入するゴルフ保険では、ゴルフ用品の補償やホールインワンの補償を外す、家族特約を追加するなど補償の内容を選べたり、保険金額を自分で自由に設定できるものがあります。
示談交渉サービスが付いているかもチェック
ゴルフプレー中に人にケガをさせたり、人のモノを壊したりして賠償責任を負ったときには、相手方と損害賠償について交渉しなければならないことがあります。
賠償金はゴルフ保険の賠償責任補償から保険金が支払われますが、それとは別に交渉を代行してくれる「示談交渉サービス」がついているゴルフ保険があります。
万が一の事故の際にこのようなサービスを利用したいときには、示談交渉サービスがついたゴルフ保険をチェックしてみてもいいですね。
ゴルフプレー前にゴルフ保険の検討を
ゴルフ保険は、ゴルフプレー中に起こる様々なトラブルに特化した保険です。一部の補償はゴルフ保険以外でもカバーできますが、特にゴルフ用品の盗難や破損など、ゴルフならではのリスクに備えるには、ゴルフ保険が向いています。
賠償責任や傷害補償は、自動車保険や火災保険のオプションについていることがありますが、ゴルフプレー中が対象になるか、保険が切れていないかを事前に確認しておきたいですね。
ゴルフに行くことになった、ゴルフ用品をそろえようというときには、一緒にゴルフ保険も検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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