
シングルマザーやシングルファザーのご家庭(母子父子家庭・ひとり親家庭)は、国や自治体からさまざまな支援サービスを受けることができます。
各サービスの内容についてご紹介します。
記事の目次
ひとり親家庭向けの経済的な支援制度
ひとり親家庭が受けられる支援制度は、おもに3つあります。児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成制度、自治体独自の制度です。
それぞれの制度について知っておきましょう。
児童扶養手当
児童扶養手当は、今は経済的に厳しいけれども、親が条件の良い仕事に就くことで、経済的な自立と生活の安定を目指したいひとり親家庭が支給の対象になります。
児童扶養手当は国の制度ですが、受け取るための手続きは市区町村で行います。
児童扶養手当の支給対象者
児童扶養手当は、18歳年度末までの児童(障害児の場合は20歳未満)を養育しているひとり親家庭の父・母または養育者を対象に支給されます。
つまり、シングルマザー、シングルファザーなどの方が受け取れます。父母により支給額や内容に違いはありません。
児童扶養手当の支給額・所得制限
児童扶養手当の支給額は、所得によって全部支給と一部支給があります。全部支給は月額46,690円、一部支給は11,010~46,680円(令和7年度手当額)で、条件によって変わります。
所得が増えるにしたがって全部支給から一部支給になり、一部支給額も少しずつ減額されます。
所得制限限度額は、全部支給は2人世帯の場合収入額ベースで190万円、一部支給は385万円(2024年11月分以降)です。前年の所得に基づいて判定されます。
児童扶養手当の支給額(令和7年度)
全部支給 | 月額:46,690円 (2人目以降:11,030円) |
---|---|
一部支給 |
月額:11,010円~46,680円 ※一部支給は10円きざみで変わる ※受給5年後以降、支給制限あり |
ひとり親家庭医療費助成制度(マル親)
ひとり親家庭医療費助成制度とは、医療費の負担が軽減される制度です。
この制度を利用するには医療証を発行してもらうのですが、その医療証上に、「〇に親」と表記されるので、通称「マル親」と呼ばれています。
マル親の対象者
マル親医療証を持って医療機関を受診すると、児童(18歳の年度末までの子供)や親の医療費の自己負担が無料(もしくは市区町村で定めた数百円の負担額)、または1割負担などに抑えられます。
マル親の所得制限
マル親制度を利用するには所得制限がありますが、その基準は市区町村によって違います。
所得制限のある自治体では、児童扶養手当と同じ基準(世帯の所得金額)に定めていることが多いのですが、申請者のみの所得で審査をするところもあります。また最近は、マル親の所得制限を撤廃する自治体も増えています。
なお、各自治体には子供向けの医療費助成制度があり、子供にかかる医療費の自己負担が無料ないしは低額になります。「乳幼児医療費助成制度」や「義務教育就学児医療費助成制度」というものです。
所得制限以上の収入があって、ひとり親家庭医療費助成制度を受けられない場合でも、これらの制度は利用できますので、お子さんの医療費の負担を抑えることができます。
自治体独自の支援制度がある地域も
児童扶養手当や医療費助成制度のほかに、自治体が独自のひとり親支援をしているところもあります。
例えば東京都の各市区町村では、ひとり親世帯を対象に「児童育成手当」を支給しています。支給額は、児童(18歳の年度末までの子供)1人につき月額13,500円(障害児童には20歳まで月額15,500円)です。国の児童扶養手当と併せて受け取ることができます。
愛知県では、県内に住所のある母子家庭・父子家庭を対象に「愛知県遺児手当」を支給しています。5年間限定で受け取れ、児童(18歳の年度末までの子供)1人につき、1~3年目までは月額4,350円、4~5年目までは月額2,175円受け取れます。
住まいの自治体ごとに受けられる制度や条件の確認を
ひとり親家庭支援には、国による制度、都道府県独自の制度、市町村独自の制度があります。
住んでいる地域、暮らしている世帯の所得、ご自身の就業状況や所得によって、受けられる手当の額や支援の内容も違ってきます。ご自身のご家庭で、どの支援制度を利用できるか、詳しくはお住いの自治体の窓口で確認してみましょう。
※2025年4月現在の情報をもとに執筆しています。情報は更新されている場合がありますので、最新の情報や詳細は最寄りの自治体窓口にご確認ください。
参考:愛知県「愛知県遺児手当」
執筆者プロフィール
CFP(R)認定者、宅地建物取引士
監修者プロフィール
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー