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2021年1月から火災保険料が引き上げ見込み 相次ぐ自然災害受け

2021年1月から火災保険料が引き上げ見込み 相次ぐ自然災害受け|ライフィ保険ニュース解説

火災保険の保険料が、2021年1月から引き上げられる見込みであることがわかりました。
各保険会社が設定する保険料の目安である「参考純率」が、近年の自然災害を受けて引き上げられるためです。

引き上げ幅は全国平均で4.9%。火災保険の保険料のしくみと合わせてFPが解説します。

ニュースのポイント

  • 2021年1月から火災保険の保険料が引き上げされる見込み
  • 引き上げは全国平均約5%、一部地域は引き下げも
  • 築浅の住宅に平均20~28%の割引導入も

2021年1月から火災保険料が全国平均+4.9%引き上げ

報道各社によると、火災保険を取り扱う大手損害保険会社が、2021年1月から火災保険の保険料を引き上げる見込みと報じられています。すでに、火災保険の保険料の目安となる「参考純率」は昨年10月に改定が発表されており、各社が今後、取扱商品への保険料率改定を正式に発表するとみられます。

改定されるのは「住宅総合保険」と呼ばれる住宅向けの火災保険。保険料は、損害保険料算出機構が発表する「参考純率」を目安に、各社が設定します。
参考純率は地域と建物の構造に応じて設定され、今回の改定では全国平均で+4.9%引き上げられます。

最大の引き上げは熊本県や宮崎県、引き下げは静岡県や福岡県

火災保険の保険料のもとになる参考純率は、地域と建物の構造種別ごとに設定されます。

今回の改定によって参考純率が最も引き上げられるのは熊本県の木造の建物(H構造)で+31.3%(保険金額を建物2,000万円、家財1,000万円とした場合)。熊本県では鉄筋コンクリートなどの耐火構造(M構造)でも+24.1%、また一部の耐火構造や、鉄骨造など準耐火構造(T構造)では宮崎県で+24.7%引き上げられました。

逆に、改定で引き下げされる地域、構造もあります。最も引き下げ幅が大きいのは福岡県の木造等(H構造)でマイナス15.9%、同県のT構造でマイナス6.8%のほか、耐火構造(M構造)では静岡県でマイナス3.8%です。

なお、大都市圏では引き上げられるところが中心で、東京都では耐火構造(M構造)で+1.4%、T構造で+4.9%、木造等(H構造)で+0.1%です。

引き上げの理由は自然災害の多発

火災保険の参考純率が引き上げられたのは、近年に風水害が相次ぎ、保険会社から契約者への保険金支払いが膨らんだためです。
火災保険はすでに、2016年までの自然災害の発生状況を踏まえて2018年に平均5.5%の料率引き上げがありましたが、その後の災害の影響を含めて再度の見直しが必要と判断されたようです。

特に2018年には西日本豪雨や度重なる台風により、火災保険の保険金支払額は1.5兆円を超え、前年の10倍近くに膨らみました。

築浅物件には割引制度が導入へ

一方で、今回の改定から築年数が10年未満の建物には割引制度が導入されることになりました。
水漏れなどの損害は建物の老朽化によって起きるリスクがあることを考慮し、比較的リスクの低い築年数が浅い建物の保険料を割引するものです。

割引率は都道府県や建物の構造によって異なりますが、築5年未満の建物では平均28%、5年以上10年未満の建物では平均20%の割引が適用されることになります。

築浅による割引が適用されると、参考純率が引き上げられる建物でも最終的には保険料が引き下げられるケースもありそうです。
なお、すでに保険会社が独自に築浅物件に対する割引制度を設けている場合には、上記の割引率が異なることがあります。


用語解説

参考純率とは?

火災保険などの保険料を設定するうえで、保険会社が参考にする数値のこと。
台風や豪雨、豪雪などの発生状況に応じて損害保険料算出機構が都道府県、建物構造別に算出、発表しています。各保険会社は参考純率をもとに、事故が起きたときに契約者に支払う保険金の財源となる「純保険料」を決定します。

保険に契約したときに保険会社に支払う火災保険料は、ここに保険会社の事業経費に充てられる「付加保険料」を加えて設定されています。

参考:損害保険料算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」

この保険ニュースの解説者

  • ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー