

熱中症保険が注目 熱中症に備えられる保険についてFPが解説
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

暑い季節には、熱中症のリスクが高まります。
2022年6月末には例年にない猛暑日が続き、熱中症での緊急搬送数が前年比の10倍以上を記録する週もありました※1。そんななかで、熱中症を補償する保険に注目が集まっています。
熱中症保険や熱中症に備えられる保険について、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 熱中症に特化した補償の「熱中症保険」
- 生命保険・医療保険では熱中症の入院に対応可能
- 傷害保険や子ども向けの保険などには熱中症特約付きもある
猛暑の季節、熱中症保険に注目
日頃は健康な人でも、高温多湿な環境下では急に見舞われるおそれのある熱中症。
治療は公的な保険の対象になるケースがほとんどですが、思わぬ出費につながります。こうしたリスクに備える方法のひとつとして、熱中症保険が注目されています
熱中症に特化した「熱中症保険」
2022年春に発売された熱中症保険は、熱中症で点滴治療を受けたときや、入院をしたときに保険金が給付される保険です。補償の対象を熱中症に限定しており、その分、幅広い病気やケガを対象とする保険に比べて保険料が割安です。
月額の保険料は200円程度です。保険期間を1日単位と短くして、100円から加入できるものもあります。気温が高くなりそうな日やスポーツをする日など、熱中症が心配な日に絞って備えられるようになっています。
2022年春に業界初の熱中症保険が発売されて以来、注目されているようです。
熱中症で入院すれば生命保険・医療保険の対象
急な熱中症により病院で治療を受けたときに対応できるのは、熱中症保険だけではありません。生命保険の医療特約や医療保険についている入院給付金は、熱中症で入院したときにも対象になります。
消防庁のまとめによると、2021年5月から9月に熱中症で緊急搬送された人のうち、入院治療を受けた人は34.4%でした※2。また、3週間以上の長期入院を要した人は2.4%です。
外来診療を受けた人は62.2%と、軽症であれば入院することなく回復しますが、もしも入院することになれば、一般的な生命保険や医療保険から給付を受けられるかもしれません。
傷害保険、レクリエーション保険、子ども向けの保険には熱中症特約も
ケガを補償する傷害保険などの一部にも、熱中症に備えられるものがあります。「熱中症危険補償特約」が付加されていれば、熱中症で入院や通院をしたときに保険金が支払われます。
熱中症特約を付加できるのは一般向けの傷害保険の一部のほか、子どもが学校や保育園を通して加入する団体扱いの傷害保険、スポーツの大会やイベント参加時に加入するレクリエーション保険、ゴルフ保険などです。
これまで、熱中症特約を付加できる保険は一部に限られていましたが、最近では対象が広がりつつあります。傷害保険の全プランで熱中症特約を付加できるよう、商品を改定する保険会社も出てきています。
一方で、1日単位で加入できるレジャー保険や国内外の旅行保険では、付加できないものが多いようです。
熱中症危険補償特約とは?
日射または熱射による身体の障害、つまり熱中症を補償の対象とする特約です。傷害保険などで原則として熱中症は補償の対象外になりますが、特約を付けることで、死亡保険金、後遺障害保険金、入院保険金、手術保険金、通院保険金などの支払事由に該当したときに、保険金が支払われます(死亡保険金は対象外となる保険もあります)。
熱中症で病院を受診するケースでは、通院した日数に応じて通院保険金、入院した日数に応じて入院保険金を受け取れるのが一般的です。
※1 出典:消防庁「全国の熱中症による救急搬送状況 令和4年6月27日~7月3日(速報値)」
※2 出典:消防庁「令和3年(5月から9月)の熱中症による緊急搬送状況」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー