

紙の保険証 2023年4月から医療費が負担増
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

医療機関を利用する際にかかる医療費のうち、紙の保険証で本人確認をする場合の負担額が2023年4月から変わりました。
初診の場合、現況は3割負担の人で12円のところ、4月以降は18円になります。マイナンバーカードの普及にともない、紙の健康保険証は2024年秋にも廃止される見通しです。
健康保険証と医療費について解説します。
ニュースのポイント
- 2023年4月から、紙の健康保険証を利用したときの医療費が一部引き上げ
- 受診時の本人確認のマイナンバーカード利用が4月から原則義務化
- 紙の健康保険証は2024年秋にも廃止の予定
紙の保険証で本人確認 初診時は12円→18円
病院や薬局を受診したときに行う本人確認には、おもにこれまでは加入している健康保険から発行される健康保険証が用いられてきました。
また、マイナンバーカードでの本人確認ができる機器を整備しているなど基準を満たす医療機関では、本人確認業務に対して所定の医療費が上乗せされています。
4月からこの加算が見直され、紙の保険証で本人確認をした場合の医療費が引き上げられます。初診時の加算額は12円から18円になります。
2024年秋にも紙の健康保険証は廃止へ
加算額の見直しはマイナンバーカードでの本人確認を普及する観点から行われたものです。全国の病院や薬局には原則として2023年4月以降、マイナンバーカードでの本人確認に対応したシステムが整備される予定で、それに伴い紙の健康保険証は2024年秋に廃止される見通しです。
新規での健康保険証の発行が廃止されても、すでに発行済の健康保険証は経過措置として最長1年間は有効となる予定です。2024年8月に発行され、有効期間が1年間の健康保険証の場合、2025年7月末まで有効です。有効期間が2年間の場合は、廃止日から1年目の前日までとなる2025年秋まで有効となるようです。
ただし、事情によりマイナンバーカードを持っていない人も、今後も保険診療を受けることはできます。
マイナンバーカードでの本人確認の加算額は変更なし
機器が整備された医療機関では、すでにマイナンバーカードでの本人確認が可能です。この場合の医療費は4月以降も変更ありません。
本人確認にかかる医療費の自己負担は初診時には6円、調剤時には6ヶ月に1回3円です。再診時には加算額はありません。
4月から、オンラインでの本人確認システムの導入が義務化
マイナンバーカードによる本人確認は、4月からすべての医療機関や薬局に原則義務化されました。本人確認に必要な顔認証付カードリーダーの設置や申込が済んでいる施設は、2023年1月現在で対象施設の約98%です。
4月以降には、ほぼすべての医療機関などでマイナンバーでの本人確認ができるようになったようです。
マイナンバーカードでの本人確認
対応する病院や薬局などの医療機関では、健康保険証の提示に代えて、顔認証付のカードリーダーにマイナンバーカードをかざして受付ができます。健康保険証として利用する前にはあらかじめ、個人で申込手続きが必要です。マイナンバーにひもづいた個人の情報を管理する「マイナポータル」サイトやアプリで登録手続きをします。
一度登録手続きをすると、転居や就職などで加入する健康保険が変わった際にも、新しい保険証の発行を待たずに受診時の本人確認ができるようになります。
また、医療費の負担が高額になったときに、一定額を超えた分が戻ってくる「高額療養費」制度を利用するときにも、一時的な費用の負担や書類での手続きが不要になります。
出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会「オンライン資格確認等システムについて」
出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」
参考:デジタル庁「よくある質問:健康保険証との一体化に関する質問について」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー