エコカー減税が3年延長 2024年からは対象基準が段階的に引き上げへ
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
燃費性能などに優れた自動車の自動車重量税を軽減する「エコカー減税」の特例措置が、税制改正により3年間延長することになりました。
改正前は今年4月末までとされていましたが、2026年4月30日まで延長されます。
エコカー減税の概要と合わせて、FPが解説します。
ニュースのポイント
- エコカー減税の適用期間が3年延長
- 適用基準は段階的に引き上げへ
- 電気自動車やプラグインハイブリッド車などは改正後も免税
自動車重量税が安くなるエコカー減税が3年延長
エコカー減税は排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車の自動車重量税を軽減する特例措置で、燃費基準に応じて25%~100%が減税されるものです。税改正前は2024年4月末までが適用期限とされていましたが、2026年4月30日まで3年間延長されます。
現行制度は一時的に2023年末まで据え置き
今年の12月末までは、世界的な半導体不足で納車が遅れていることに配慮し、現行の制度内容のまま据え置かれます。適用期間中に新車登録をし、要件を満たす車が特例の対象になります。
乗用車の場合、2030年度の燃費基準に対して60%達成しているガソリン車などは初回車検時の自動車重量税が25%減税、75%達成している車は50%減税になります。
また、90%達成しているガソリン車や電気自動車、燃料電池自動車などは免税になり、達成度が120%以上であれば(電気自動車などは要件なし)2回目の車検時の自動車重量税も免税になります。
2024年には減税対象車の基準が引き上げ
2024年からは、今回の見直しによりエコカー減税の適用要件が引き上げられます。
燃費基準の要件は60%達成→70%→80%に引き上げ
現行の制度ではガソリン車の場合で2030年度の燃費基準に対して60%以上達成していれば減税の対象になりますが、これが2024年1月1日からは達成率70%以上、2025年5月1日からは80%以上が要件になります。
エコカー減税の適用要件が達成率80%に変更されると、ガソリンのみで走るガソリン車のほとんどは原則として減税対象から外れるとみられ、ガソリン車については事実上の増税になる模様です。
一方で電気自動車やプラグインハイブリッド車などは2024年以降も要件や減税内容に変更はなく、2回目の車検時までの自動車重量税が免税になります。
自動車購入時にかかる自動車税の環境性能割も見直しへ
エコカー減税とは別に、自動車購入時にかかる自動車税の環境性能割も見直されます。2023年末までは現行制度のまま据え置かれ、2024年以降からは要件が厳しくなります。
現行では、2030年度燃費基準に対して60%以上達成の自家用車の自動車税は3.0%から2.0%へ減税され、75%以上達成であれば1.0%へ減税、85%達成では非課税になりますが、2024年1月と2025年4月に、段階的に達成基準が引き上げられます。
エコカー減税とは?
新車登録や車検のときに払う自動車重量税を安くする優遇措置で、排出ガス性能や燃費性能が優れた車が減税または免税されます。環境に優しい車への移行や普及を促す狙いで、期間限定で導入されています。エコカー減税の対象になるのは、乗用車では所定の燃費基準を達成したガソリン車やハイブリッド車、また電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車(PHV)などです。
出典:国土交通省「令和5年度税制改正の大綱」
出典:国土交通省「エコカー減税(自動車重量税)の概要」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー