医療費や国民年金の情報を自動入力可能に 確定申告のマイナポータル連携が2023年1月から拡充
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
マイナンバーによってひも付けた医療費や年金保険料などのデータを、確定申告書に自動入力できる「マイナポータル連携」の機能が、2023年1月から拡充されます。
これまでも生命保険や地震保険、住宅ローンなどの税控除で利用できましたが、来春からは国民年金保険料や公的年金も対象になります。
また、医療費の情報も取得可能な範囲が広がる予定です。
ニュースのポイント
- 2023年1月以降、国民年金保険料などの情報を確定申告に自動入力可能に
- 医療費の情報も1年間分をまとめて取得可能に
- 生命保険、地震保険なども自動入力に対応する会社が拡大
2023年から、マイナンバーを活用した確定申告の自動入力が拡大
確定申告は手書きの申告書に代えて、インターネット上で申告書を作成したり、申告手続きを電子的に行うことができます。
これらを利用する際に必要なデータを、マイナンバーを活用して取得し、申告書に自動入力できる情報の範囲が、来年1月から広がります。
新たに国民年金保険料や公的年金が自動入力可能に
自動入力は、マイナンバーにひも付いたデータを管理する「マイナポータル」のサイトと、国税庁の確定申告書作成サイトや電子申告システム「e-Tax」を連携することで可能になります。
確定申告書に記入が必要な医療費や生命保険料、地震保険料などの情報をマイナポータルを通して取得し、申告書の所定の項目に自動的に入力できます。
2023年1月からは自動入力可能なデータに国民年金保険料と公的年金等の源泉徴収票が加わります。また、医療費のデータも、昨年は一部期間分に限られていましたが、来年からは1年分の情報をまとめて取得できるようになります。
入力された数値を元に、税の控除額も自動計算できます。
マイナポータル連携に対応する保険会社も拡大
生命保険や地震保険の保険料を払った年に利用できる「生命保険料控除」と「地震保険料控除」は、以前から契約先の保険会社が対応していれば、マイナポータル連携により確定申告書にデータの自動入力ができました。
対応する会社は年々増えており、2023年の確定申告(令和4年分)では新たに約10社が加わる見込みです。
自動入力には事前設定が必要
自動入力で確定申告をするには、事前の準備が必要です。
マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダライタ)を用意し、「マイナポータル」の専用ページで事前設定手続きをします。
生命保険料控除や地震保険料控除を利用したい場合には、別途、契約先の保険会社の専用サイトにアクセスして証券番号などを入力し、マイナポータルで契約情報を取得できるようにする手続きも必要です。
事前の手続きをしておくと、確定申告書を作成する際に、連携した保険などの情報が申告書の控除欄に自動で入力されるようになります。
確定申告に必要な情報をマイナポータルに連携できる保険会社等は、下記から確認できます。
マイナポータル連携とは?
マイナンバーにひも付いた個人情報を管理するサイト「マイナポータル」を経由して、年末調整や確定申告に必要なデータを取得して、申告書に自動入力する機能のこと。マイナンバーカードとICカードの読み取り機能がついたスマートフォンなどを使ってアカウントを作り、保険会社や証券会社、ふるさと納税のポータルサイトなどと事前に連携手続きをしておくと、申告書をインターネット上で作成する際に、必要な情報が自動で入力されます。
連携は一度設定すれば、来年以降には再度手続きをしなくても新しい情報を取り込むことができます。
参考:国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」
参考:国税庁「マイナポータル連携で確定申告書に自動入力」
参考:国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー