2022年6月から犬・猫のマイクロチップが義務化
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
ペットの犬や猫の身元証明として活用できるマイクロチップが、2022年6月から義務化されます。
動物愛護管理法の改正に伴うもので、おもにペットショップやブリーダーが対象です。マイクロチップを装着した犬や猫にはデータベースへの登録も必要で、今年の秋にはその登録料も決定しました。
ペットのマイクロチップ義務化について、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 2022年6月から、犬・猫のマイクロチップ装着が義務化
- 対象になるのはおもにペットショップやブリーダー
- マイクロチップ装着や登録の費用には一部補助も
2022年6月から、犬・猫の販売業者にマイクロチップ装着が義務化
2021年9月に閣議決定された動物愛護管理法の改正により、犬や猫にマイクロチップを装着することが義務づけられました。
マイクロチップは生体に適合するガラスで覆われたICチップで、犬や猫の体内に装着し、身元の証明として使うことができます。
法改正が施行されるのは2022年6月で、ペットショップやブリーダー、犬・猫の飼い主には、マイクロチップの装着や情報登録が義務・努力義務になります。
義務化の対象はペットショップやブリーダー
義務の対象になるのは犬や猫の販売業者です。
ペットショップや繁殖業者(ブリーダー)は、取り扱う犬や猫にマイクロチップを装着し、チップの識別番号や所有者の連絡先などを所定のデータベースに登録することが義務づけられます。
一般の犬・猫所有者は基本的に努力義務
販売業者以外の犬や猫の所有者は、法改正後も努力義務とされます。
以前からご家庭で飼っている犬や猫へのマイクロチップ装着については、努力が求められることになりますが、義務というわけではありません。
法改正後に、ペットショップやブリーダーから犬・猫を購入・譲り受けた場合には、基本的にはマイクロチップを装着した犬・猫を所有することになります。
この場合は、マイクロチップに登録された所有者の情報を新しい飼い主に変更する義務が生じますが、実際には、ペットショップが変更手続きを代行することになるようです。
マイクロチップの装着と登録には費用がかかる
マイクロチップは、動物病院で埋め込みの施術をします。犬や猫への施術費用は数千円~1万円程度が中心で、各動物病院が設定しています。
マイクロチップ装着後には、飼い主の連絡先などの情報を専用のデータベースに登録します。登録料はオンライン申請の場合300円、紙申請の場合は1,000円です。
一部地域ではマイクロチップ装着費用の補助も
これらの費用について、一部の地域では補助を受けられることがあります。
災害や事故などで犬・猫と飼い主が離ればなれになったときに身元を確認し、無事に再会するための防災計画の一環として、各自治体がマイクロチップの埋め込みやデータ登録した飼い主に対して、負担した費用の一部を補助しています。
受付期間や補助件数に限りがありますが、1頭につき1,500円~2,000円程度の補助を受けられることが多いようです。
犬や猫が思わぬアクシデントから迷子になってしまった際に活用できるマイクロチップ。一般の家庭では来年以降も努力義務にとどまりますが、法改正により普及が広がっていくかもしれません。
ペットのマイクロチップとは?
マイクロチップは、犬や猫などのペットに埋め込むICチップです。チップに記録された識別番号と、あらかじめデータベースに登録した所有者の氏名や住所、電話番号などの情報を照合することで、犬や猫の身元証明に使うことができます。装着数は近年増加を続けており、これまで任意でデータベースに登録された動物の情報は、2010年度の約45万件から2021年11月には約270万件になっています。
※2021年12月24日、記事内一部を更新しました。
出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定について」
参考:環境省「マイクロチップをいれていますか?」
参考:動物ID情報データベースシステム
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー