就業不能保険や所得補償保険は、どちらも働けなくなったときの収入減に備える保険です。では、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?給付内容や受け取りの条件について、解説します。
就業不能保険・所得補償保険とは?
就業不能保険と所得補償保険は、家計を支える人が病気やけがによって働けなくなり、収入が減ったり、無くなってしまったりしたときに備える保険です。
病気やけがをしたときには治療のために医療費や入院費用がかかりますが、それとは別に、仕事を休むことによる収入減も、経済的なリスクです。このような金銭的ダメージに備えるのが、就業不能保険や所得補償保険です。
就業不能保険とは?
病気やけがで働けなくなったときに、月額10万円、15万円といった給付金を毎月受け取れる保険です。一般的には60日や180日間など、保険会社がさだめる期間をこえて働けない状態が続いたときに、給付金が支払われます。
基本的には長期間にわたって働けないときに、お給料の代わりのような形で月額給付金を毎月受け取りますが、保険のプランやオプションによっては、短期間の入院や精神疾患など所定の病気のときには、別途で一時金を受け取れるものもあります。
所得補償保険とは?
病気やけがが原因で、仕事ができなくなったときに、働いていたときの年収などをもとに定められる保険金上限額の範囲内で、減少してしまった収入相当額が保険として補償されます。
一般的には7日間など、保険会社がさだめる期間をこえて働けない状態が続いたときに、保険金が支払われます。
働けなくなった時(就業不能状態)とは?
就業不能保険も、所得補償保険も、給付を受けるにはそれぞれに保険会社が定める「就業不能状態」に、契約中に該当する必要があります。単純に風邪などの体調不良で仕事を休んだだけでは「働けなくなったとき」には該当しません。
細かな要件は保険会社や保険商品によって異なりますが、おもに以下のような状態が該当します。
※詳細は保険会社などにより異なります。また、オプションなど一部の保障内容により、給付要件が異なる場合もあります。
給付金はいつから受け取れる?
実際に給付金を受け取り始めるまでには、もう少し時間がかかることがあります。
働けない状態、つまり就業不能状態になったらすぐに保険金・給付金を受け取れるのではなく、保険会社所定の「支払対象外期間」や「免責期間」をこえてから受け取れるのが原則のためです。
就業不能状態に該当し、かつ、これらの対象外期間を経てもなお就業不能状態が続いた場合に限り、給付金を受け取れます。
給付金・保険料の受取期間
給付金はいつまで受け取れる?
基本的に免責期間をこえて就業不能状態が続いている限り、給付金を受け取ることができます。ただし、給付金を受け取れるのは保険期間中のみです。また、就業不能状態が解消され、復職した場合などは基本的に支払対象外となります。
ただし、一部保険会社では、支払条件を一度満たすと、保険期間終了まで自動的に給付が継続する商品を取り扱っているケースもあります。
給付金はいくら受け取れる?
就業不能保険・所得補償保険で受け取れる給付金の額は、加入する保険の種類や契約内容によって異なります。
いずれの保険も、年収・所得をもとに給付金額の上限を設定するケースが一般的です。給付金額を増やすと保障は手厚くなりますが、その分保険料も高くなります。
他の保険契約の状況などによって契約時に設定できる金額の範囲が制限されることもあるため、加入を検討する際はご自身の収入に応じてどの程度の給付額を設定できるかを確認しておきましょう。
就業不能保険と所得補償保険の違い
就業不能保険と所得補償保険は、どちらも「病気やけがで働けなくなったときの収入減少に備える」という点では共通していますが、保険の種類や保障のしくみに以下のような違いがあります。
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就業不能保険 |
所得補償保険 |
| 保険の種類
| 生命保険 |
損害保険 |
| 保険期間
| 60歳・65歳満期など |
1年〜2年程度 |
| 免責期間
| 60日・180日など |
7日程度 |
就業不能保険は免責期間が長いかわりに、保険期間中は就業不能状態が続く限り給付が受けられるため、長期の収入減少に備えたい方に向いています。一方、所得補償保険は免責期間が短く、働けなくなってから比較的早い段階で給付が始まるため、短期的な収入の落ち込みに素早く対応したい方に適しています。
いずれも保障(補償)の範囲は商品によって異なり、がんのみ、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)のみを対象とするものや、精神疾患まで保障するものもあります。
就業不能保険・所得補償保険と収入保障保険の違い
就業不能保険や所得補償保険と名前が似ている保険に「収入保障保険」があります。それぞれの違いは以下の通りです。
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就業不能保険・所得補償保険 |
収入保障保険 |
| 加入目的
| 病気やけがで働けなくなったときの収入減少に備える |
万が一のときに遺された家族の生活を支える |
| 給付条件
| 病気やけがで保険会社所定の就業不能状態に該当したとき |
病気やけがで死亡・高度障害状態に該当したとき |
| 給付金(保険金)の受取人
| 被保険者本人 |
保険金受取人(遺族など) |
| 給付形式
| 就業不能状態が続く間、毎月定額を受け取る |
保険期間満了まで毎月年金形式で受け取る |
就業不能保険・所得補償保険と収入保障保険は保障の目的がまったく異なります。加入を検討する際はどのリスクに備えたいのかを整理したうえで選ぶことが大切です。
就業不能保険・所得補償保険はどんな人に必要?
就業不能保険や所得補償保険の必要性は、職業や家族構成、家計の状況によって大きく異なります。
会社員には傷病手当金や障害年金といった公的制度がありますが、元々受け取っていた給与の全額をカバーできるわけではありません。そのため、配偶者が専業主婦(主夫)で自身が唯一の稼ぎ手である場合や、子どもの教育費・住宅ローンなど固定支出が大きい場合は、働けなくなることによる経済的なダメージが大きくなりやすく、就業不能保険の必要性は高いといえます。
また、個人事業主やフリーランスの方は、国民健康保険に傷病手当金にあたる制度がなく、働けなくなると収入が直ちに途絶えるおそれがあります。そのため、就業不能保険・所得補償保険の必要性は特に高いといえるでしょう。
働けなくなったときの収入減少に備えて、就業不能保険・所得補償保険を活用
就業不能保険・所得補償保険は、病気やけがで働けなくなり、所定の要件を満たすと給付を受け取れる保険です。
収入減少は、医療費の出費とは別に家計への負担になるものです。働けなくなったときの家計をどのように支えるか、貯蓄や公的な手当、勤務先の制度なども確認しながら、備えについて考えておけるといいですね。
就業不能保険・所得補償保険に関するよくある質問
就業不能保険と所得補償保険はどちらに入るべきですか?
長期間の収入減少に備えたい場合は、保険期間が60歳・65歳満了などに設定でき、就業不能状態が続く限り給付金を受け取れる就業不能保険が向いています。一方、短期的な収入減少に備えたい場合は、免責期間が比較的短い所得補償保険が適しています。
就業不能保険・所得補償保険と収入保障保険はどちらがおすすめですか?
備えられるリスクが異なるため、どちらか一方ではなく、目的に応じて検討する必要があります。就業不能保険・所得補償保険は病気やけがで「働けなくなったとき」の収入減少に備える保険で、給付金は本人が受け取ります。一方、収入保障保険は「万が一のとき」に遺された家族の生活を支える死亡保障の一種です。
就業不能保険と所得補償保険は併用できますか?
就業不能保険は生命保険、所得補償保険は損害保険と保険の種類が異なるため、両方に加入すること自体は可能です。例えば、免責期間が短い所得補償保険で働けなくなった直後の収入減少をカバーし、長期の保障は就業不能保険で備えるといった組み合わせ方もあります。
ただし、年収に応じて設定できる給付金額に上限があるため、併用しても合計額は制限される場合があります。保険料の負担も大きくなるため、公的制度や貯蓄とのバランスを考えたうえで検討しましょう。
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執筆者プロフィール
荒木 和音(あらき かずね)
金融分野専門ライター
ファイナンシャル・プランニング技能士2級
保険代理店にて個人・法人向けの営業およびリスクコンサルティングなどに計10年以上従事したのち、金融ライターとして独立。大手証券会社・保険会社・大手金融メディアでの記事執筆・監修などを手がける。
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