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更新:(公開:2016年5月19日)

【給与明細の見方】給与から引かれるお金とは?控除の内容をFPがわかりやすく解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

【給与明細の見方】給与から引かれるお金とは?控除の内容をFPがわかりやすく解説

給料を受け取ったときには、勤務先から給与明細を受け取ります。給与明細には会社から支給された給与額や交通費、手当のほか、天引きされる税金・社会保険料などの内訳が記載されています。

この記事では、給与から引かれる「控除」欄の見方をわかりやすく解説します。

給与から引かれる「控除」とは?

給与明細は基本的に「勤怠」「支給」「控除」の3つから構成されています。このうち「控除」欄には、給与など勤務先から支給されたお金から、引かれるお金である「控除」の内容や金額が記載されています。

控除とは、給与明細に限らず一般的に、お金を「差し引く」ことを意味します。

控除の項目は社会保険料と税金のおもに2つ

給与明細の「控除」欄に含まれる項目は、大きく分けて社会保険料と税金の2つです。

給料日には、勤務先から支給されたお金から社会保険料と税金が天引きされます。これらを控除した後の「差引支給額」が、従業員の預金口座に振り込まれたり、現金支給されたりするのが一般的です。

例外的に、社会保険料と税金のほかに、勤務先の団体保険の保険料や組合費、社宅費、社内預金や財形、退職金の上乗せとして確定拠出年金などの積み立て金が天引きされる場合もあります。

給与明細「控除」欄の詳細
給与明細「控除」欄の詳細
給与明細「控除」欄の詳細

引かれる社会保険料は4つ

控除欄で引かれる社会保険料には、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」という4つの保険料が含まれています(40歳未満の人は介護保険料の負担はありません)。

これらの各保険料には勤務先負担分と従業員負担分がありますが、給与明細ではそのうち従業員負担分の金額が天引きされています。給与明細に「社会保険料合計額」の欄がある場合には、天引きされた4つの保険料の合計額が記載されます。

健康保険料

健康保険は、従業員が病気やけがで医療機関を受診したときにかかる医療費の負担を軽くしたり、要件に該当したときに傷病手当金や出産育児一時金などの手当が支給される公的医療保険です。

会社員や公務員の場合は勤務先によって組合健康保険または協会けんぽに加入し、所定の保険料を納めます。保険料は、給与の平均月額である「標準報酬月額」に保険料率をかけて算出します。

中小企業などの従業員が加入する協会けんぽの場合は、都道府県ごとに定められた保険料率(令和5年度現在全国平均:約10%)が用いられています。

健康保険料は事業主と従業員が1/2ずつ折半で負担することになっています。このため、給与明細では保険料の1/2が天引きされます。

給与明細で天引きされる健康保険料の計算式
標準報酬月額×保険料率×1/2
(従業員負担分)

介護保険料

40歳から64歳の人は、介護保険料の負担があります。公的介護保険は寝たきりや認知症などで自力での生活が困難になったときに、介護サービスを受けることができる公的保険です。

保険料は標準報酬月額に保険料率をかけて計算し、健康保険料とともに徴収されます。料率は加入している健康保険が定めており、協会けんぽの場合は令和5年度現在約1.8%となっています。

介護保険料も事業主と従業員が1/2ずつ折半するため、給与明細では、このうち従業員負担分(1/2)が控除されています。

給与明細で天引きされる介護保険料の計算式
標準報酬月額×保険料率×1/2
(従業員負担分)

厚生年金保険料

会社員・公務員の人は、国民年金の上乗せ制度である厚生年金保険に加入します。保険料は標準報酬月額に保険料率をかけて算出します。

保険料率は国の年金制度に基づいて定められ、令和5年度現在は18.3%とされています。厚生年金保険料も事業主と従業員が1/2ずつ折半するため、給与明細では保険料のうち従業員負担分が控除されています。

なお厚生年金保険料には、基礎年金部分(国民年金部分)の保険料も含まれています。

給与明細で天引きされる厚生年金保険料の計算式
標準報酬月額×保険料率×1/2
(従業員負担分)

※厚生年金基金に加入している場合など、一部例外があります。

雇用保険料

雇用保険は、31日以上の雇用見込みがあり、1週間当たりの所定労働時間が20時間以上である従業員が必ず加入する公的保険です。失業した時に再就職活動中の生活資金を受け取る失業保険や、育児休業をするときの育休手当(育児休業給付金)などの保障が含まれています。

保険料は、賃金総額に国が定めた保険料率をかけて算出します。令和5年度現在は1.55%で、このうち事業主が0.95%、従業員が0.6%負担(一般事業所の場合)を負担します。給与明細では、従業員負担分が天引きされます。

給与明細で天引きされる雇用保険料の計算式
賃金総額×従業員負担分の保険料率

引かれる税金は2つ

給与明細では、所得税と住民税も天引きされています。

所得税

所得税は所得の額に応じて国に納める税金です。正式な税額は給与以外の所得も合わせて1年ごとに年末調整や確定申告によって確定しますが、会社員・公務員の場合は給与支給額をもとに概算の税額を算出し、毎月の給与天引きで源泉徴収されています。

所得税の税率は所得の額に応じて5%~45%です。給与明細では、勤務先から支給されたお金のうち「課税対象額」に対する概算税額が天引きされます。

年末調整では、天引きされた所得税の12ヶ月の合計額と、1年分の所得から計算した税額との差額を精算します。天引きだけで足りない分は年末に追加で天引き、引かれ過ぎた分があれば戻ってきます。

住民税

住民税は、毎年1月1日時点に住民票がある住所地の市区町村に納める税金です。

会社員・公務員の場合は基本的に給与天引きで納税します。前年1月1日から12月31日に所定の所得がある場合に課税されるため、前年の収入がなければ徴収されず、給与明細でも天引きされていないことが多いです。

住民税の税率は居住している市区町村が定めていて、ほとんどの地域では10%となっています(令和5年度現在)。

給与明細で控除される金額がわかると、手取り収入がわかる

給与明細の控除欄には、給与から引かれる社会保険や税金の内訳が細かく記載されています。天引きのしくみや明細の見方がわかると、手取りの収入額も読み取れるようになりますよ。

※2023年10月現在の情報をもとに執筆しています。社会保険や税の詳細は勤務先や加入先の保険者等でご確認ください。

出典:全国健康保険協会「令和5年度保険料額表」
出典:出典:厚生労働省「雇用保険料率について」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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