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更新:(公開:2020年1月31日)

【FPが解説】会社員・公務員でも確定申告が必要なケースをわかりやすく解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

【FPが解説】会社員・公務員でも確定申告が必要なケースをわかりやすく解説

会社員や公務員の人は、通常は年末調整で税の申告と納税が完結するため、一般的には確定申告をする機会はあまりないでしょう。

しかし、まれに会社員や公務員でも確定申告が必要になることがあります。

また、必要ではないものの、確定申告をした方がよいケースもあります。

どんなときに確定申告をすべきか、あるいは確定申告をした方がよいか?会社員や公務員の人の確定申告について知っておきましょう。

年末調整があれば確定申告はしなくてもいい?

一般的に、会社員や公務員の人は年末調整のみで、所得税の申告や納税が完了します。

毎月の給与やボーナスの支給時には所得税が源泉徴収されていますが、年末調整の際には1年分の所得税を計算し、毎月の給与やボーナスから天引きしていた税額との差分を精算します。

天引きしすぎた税があれば12月分や翌年1月分などの給与支給時に精算額を上乗せして支給し、すでに天引きした額よりも納税すべき税額が多い場合には次の給与支給時に精算額を追加で天引きします。

ですから、基本的には自分で確定申告をしなくても、年末調整で税の申告や納税は完結できます。

ただし、会社員や公務員の人でも、年末調整だけでは正しい所得税額を納められないことがあります。その場合には確定申告が必要です。

会社員・公務員で確定申告が必要な人

おもに以下の要件に該当すると、会社員・公務員でも確定申告が必要です。

年収が2,000万円を超える

税務上のルールによって、勤務先は給与収入が2000万円を超える従業員には年末調整をしないことになっています。

このため、年収2000万円を超えた年は自分で確定申告が必要です※1

ここでいう収入とは、勤務先から発行される源泉徴収票の「支払金額」という欄に記載される金額にあたります。

基本給のほか残業代や各種手当てなど、会社が従業員に対して支給するお金の年間総額です。

また、ここでいう年収に通勤手当は基本的に含みません。電車やバスを使って通勤している場合、月15万円までは所得税が課税されないこととされているためです。

マイカーや自転車を使って通勤している場合には、勤務先までの通勤距離に応じて非課税額の上限が定められています※2

勤務先が2か所以上ある

勤務先が2カ所以上あって、それぞれから給与を受け取っている場合(かつ年末調整をされなかった給与収入などが20万円を超える場合)には、確定申告が必要です※3

たとえば複数の会社で役員を兼務しているなど、2社以上から給与を受け取っている場合です。

本業とアルバイトなど、2か所以上から給与を受け取っていて、アルバイトからの収入が年間20万円を超え、かつ年末調整を受けていない場合にも、確定申告が必要です

※年末調整をしないパート先からの収入が20万円を超えていても、確定申告をしなくてよい例外もあります。自分で生命保険に契約して保険料を払っているなどで、所得税の「所得控除」を受ける場合です。
複数のパート先から受け取る給与収入の合計額から、所得控除(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外)の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、さらに給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下なら、確定申告しなくてもよいことになっています。

年末調整は、おもな収入源にあたる「主たる給与」を受ける勤務先1社でしか受けることができません。

しかし、毎回の給与日にはメインの収入源ではない「従たる給与」が支給される勤務先でも所得税が源泉徴収されています。

このため、すべての勤務先での1年間の給与額を合算したうえで、その年にかかる税額を計算、精算するために、確定申告をするのです。

なお税法上は、複数の勤務先のうち「主たる給与」にあたるのは、所得税の「給与所得者の扶養控除等申告書」という書類を提出した先です。

扶養家族の有無などを記載して勤務先に毎年提出する書類です。

ケースによっては、受取額が最も高い勤務先が「主たる給与」にはなっていないこともあります。

小遣い稼ぎ・副業による収入がある

本業のほかに副業、またはお小遣い稼ぎなどによる所得が20万円を超えるときも、確定申告が必要です。

日雇いの仕事やクラウドソーシングでのライティングやモニターなどの仕事、フリマアプリやネットオークション、民泊などで副収入を得たときには、それらの「所得」が年間合計20万円を超えると、確定申告が必要です。

ここでいう「所得」とは、上記のようなケースでは一般的に、収入から交通費や仕入れなどの必要経費を差し引いた金額を指します。

なお、フリマアプリやネットオークションでの収入のうち、自分の日常生活に使っていた洋服や靴、家電や家具などの家財を売ったものに関しては非課税です。確定申告も不要です。

副業による収入がいくらを超えると確定申告が必要かどうかの判断、必要経費に含まれるものや所得の計算方法は、副収入の種類によって異なります。

詳しくはお近くの税務署や税理士などの専門家に確認すると安心です。

投資による収入がある

株式投資などで利益が出たときにも、確定申告が必要なことがあります。

株式や投資信託などで値上がり益が出たときや配当・分配金を受け取ったときには、通常は所得税がかかりますが、それらを保有している証券会社などの口座で、源泉徴収するか、自分で申告するかをあらかじめ設定することになっています。

ここで源泉徴収をする設定にしてあると、利益を受け取る際に税(20.315%)が利益から天引きされるしくみですので、確定申告は不要です。

しかし源泉徴収をしない設定であれば、株式投資などによる所得が他の所得と合わせて20万円を超えると、確定申告が必要です。

ただし、NISAなどを利用して所得税が非課税になるときには、非課税の範囲内の利益については確定申告は不要です。

※上場株式等に係る譲渡損失と配当所得等との損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けようとする場合は、確定申告が必要です。

家賃収入がある

土地や建物・マンションなどを人に貸して賃貸収入があるとき(不動産所得)には、確定申告が必要な場合があります。

賃料などの収入から必要経費を差し引いた不動産所得が、ほかの所得と合わせて年間20万円を超える場合には、確定申告が必要になる可能性があります。

退職金が源泉徴収されていない

1年の間に勤務先を退職して退職金を受け取ったとき、一般的には源泉徴収によって所得税を納めますが、勤務先で源泉徴収の手続きがされていなければ、確定申告が必要です。

確定申告するとメリットがあるケースも

上記に当てはまらず、確定申告が必要ではないときには、年末調整だけで所得税の申告と納税は完結します。

一方で、確定申告をすることで税の負担が軽くなる、すでに納めた税が戻ってくるなど、確定申告をした方が有利になるケースがあります。

おもに次のような場合です。

勤務先で年末調整をしなかったとき

勤務先で年末調整を受けるときに、生命保険や地震保険に加入している、住宅ローンがある場合にはその「控除証明書」という書類を一緒に提出すると、「生命保険料控除」「地震保険料控除」「住宅ローン控除((特定増改築等)住宅借入金等特別控除)」という税の控除を受けられます。

控除を受けることで、納めるべき税額が軽減されることがあります。

もし期日までにこれらの提出が間に合わないと、勤務先で年末調整はしてもらえるものの、本来納めるべき税額よりも負担が大きくなることがあります。

その場合には、勤務先から発行された源泉徴収票と、提出できなかった控除証明書を使って自分で確定申告できます。

確定申告で控除を反映した税額を計算し直し、納め過ぎた税額があれば税務署から還付してもらえます。

一定の医療費を払ったとき

1年間に一定額以上の医療費を自己負担したときには、所得税の「医療費控除」を適用できます。

医療費控除は確定申告でしか適用できません。

そのため、年末調整で所得税を確定した人でも、確定申告をすることで給与やボーナスから源泉徴収された税の一部が戻ってくることがあります。

ふるさと納税などの寄附をしたとき

ふるさと納税をしたときや、特定の団体に寄付をしたときには、所得税の「寄附金控除」を適用できます※4

寄附金控除は基本的に確定申告でしか適用できません。

そのため、年末調整をした人でも、確定申告をすることで給与やボーナスから源泉徴収された税の一部が戻ってくることがあります。

ただし、寄附金のなかでもふるさと納税に限っては特例があります。

「ワンストップ特例制度」といって、ふるさと納税をした寄付先が5団体以内なら、所定の手続きをすると確定申告をせずに寄附金控除を受けることができます。

ワンストップ特例制度を受けるには、ふるさと納税をした先の自治体から送られてくる書類に、ワンストップ特例制度を受けたい旨を記入して返送します。

すると、翌年に課税される住民税で、所得税の寄附金控除も含めて精算されます。

住宅ローンがあるとき

自宅を新築・購入・増改築(リフォーム)して、住宅ローンを借り入れたときには、年末時点での借入残高の0.7%を最長13年間にわたって所得税額から差し引くことができます※5

「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」というものです。

一般的に「住宅ローン減税」と呼ばれるもので、適用するためには初年度に確定申告が必要です。

会社員・公務員で年末調整を受ける人は、翌年からは年末調整で控除が反映されます。

退職後、年末調整を受けていないとき

会社員・公務員で、退職をした年にもとの勤務先で年末調整を受けていないときには、確定申告をすることで税の一部が戻ってくることがあります。

在職中に受け取った給与やボーナスから天引きされた所得税は、収入が12か月あることを前提に計算されていて、年の途中で退職すると税の納め過ぎになる場合があるためです。

収入の状況に応じて、会社員・公務員も確定申告を

このように、会社員・公務員の人でも確定申告が必要になることや、必要ではなくでも確定申告すると税の負担が軽くなることがあります。

所得税を納税するのは原則として2月~3月の確定申告期間ですが、納め過ぎた税を戻してもらう還付申告は、対象年から5年間ならば申告期間にかかわらず受け付けてもらえます。

いつもは年末調整だけで済ませてしまっている人も、必要に応じて確定申告することで、税の負担を軽減できるかもしれませんね。

※本記事は一般的な内容を解説しています。申告・納税の要否や判断などについては、個別のケースで判断が異なる場合があります。詳しくは最寄りの税務署や税理士などの専門家にご確認ください。

※わかりやすい表現とするため、税法上の正式名称等を省略している箇所があります。

※この記事は2024年12月時点の税制、法令をもとに執筆しています。随時内容の更新をしておりますが、最新の情報ではないことがあります。

※1 出典:国税庁「No.2675 年末調整の過不足額の精算」

※2 出典:国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」

※3 出典:国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」

※4 出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」

※5 出典:国税庁「マイホームを持ったとき」

参考:国税庁「確定申告が必要な方」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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