気軽に出かけるのに便利なバイク。特に原付はクルマや中型・大型のバイクに比べて車両価格や税金が安く、リーズナブルに乗れるのが魅力です。
ただ、原付でも乗るうえでの責任やリスクは自動車や大型バイクと同じです。原付に乗る時に必要な自賠責保険と任意保険を、まとめて解説します。
原付でも加入義務がある自賠責保険
自賠責保険は、交通事故による被害者の救済のため、加害者が負う損害賠償を補てんすることを目的とした保険です。法律ですべての自動車に加入が義務付けられており、バイクや原付も加入しなければなりません。
補償の内容は、自分が起こした事故で人にけがをさせた、死亡させたときに保険金が支払われる「対人賠償」のみです。
また、保険金額に上限があります。被害者のけが(傷害)については治療費や休業の損害などに対して被害者1人につき120万円、後遺障害には逸失利益や慰謝料として、被害者が負った障害の等級に応じて75万円から4,000万円、死亡には、葬儀費用や逸失利益、本人や遺族への慰謝料として3,000万円が上限です。
自賠責保険の保険料
自賠責保険の保険料は、車種と保険期間によって決まっています。
一定の要件を満たす電動キックボードは特定小型原付自転車に、それ以外の原付(排気量~125cc)は一般原動機付自転車の区分で保険料が決められています。
原付バイクの自賠責保険料
保険期間 |
一般 原動機付自転車 |
特定小型 原動機付自転車 |
1年 |
6,910円 |
6,650円 |
2年 |
8,560円 |
8,040円 |
3年 |
10,170円 |
9,400円 |
4年 |
11,760円 |
10,730円 |
5年 |
13,310円 |
12,040円 |
※【一般原動機付自転車】2023年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用。【特定小型原動機付自転車】2024年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用。
自賠責保険の加入方法
バイクの自賠責保険は、保険会社や、自賠責保険を取り扱う保険代理店で加入できます。
クルマやバイクの販売店・修理工場が保険代理店として扱っており、バイクを購入するときに案内されることも多いです。
また原付バイクの自賠責保険は、郵便局、インターネットやコンビニでも加入の手続きができます。
加入するための必要書類
初めて原付の自賠責保険に加入する際には、ナンバープレートを交付されたときに、住んでいる自治体から交付される「標識交付証明書」が必要です。
証明書は自賠責保険の保険会社に提出する必要はありませんが、保険に加入申込するためにバイクの情報を入力しますので、その際に必要です。
自賠責保険の更新方法
自賠責保険の保険期間が切れた後も原付バイクを運転するなら、必ず保険の更新が必要です。自賠責保険を取り扱っている保険代理店・バイク販売店などで手続きをします。
更新時には、「標識交付証明書」と合わせて、加入している自賠責保険から発行される「自賠責保険証明書」も用意しましょう。
自賠責保険だけでは足りない?補償を上乗せする原付の任意保険
自賠責保険に加入していれば、万が一事故を起こして人にケガをさせた、死亡させたときの最低限の賠償に備えられます。
しかし実際に賠償責任を負ったときには、自賠責保険で支払われる以上の金額を負担しなければならないおそれがあります。
また、自賠責保険で補償されない自分のケガなどに備えるには、任意で保険に加入しておくことが大切です。
原付での事故のリスクに、任意の保険で備えるには、おもに2つの方法があります。
ひとつは、持っている原付の車両に対して原付保険をかける方法、もうひとつは、別に加入している自動車保険のオプションとして、原付を対象にした特約をつける方法です。
原付保険とは?
原付保険は、持っている原付に保険をかける任意保険です。「バイク保険」の商品名で販売している保険会社もあります。
補償内容は、人にケガをさせたときに補償される「対人賠償責任保険」、人のモノを壊したときに補償される「対物賠償責任保険」、事故で自分や搭乗者がケガをしたときに補償される「人身傷害保険・搭乗者傷害保険」などを組み合わせて契約します。
対人賠償責任保険は基本補償として必ず含まれるところが多く、対物賠償責任保険や人身傷害保険・搭乗者傷害保険は特約などで自由に付加できるところもあります。
なお、事故で車両が壊れたときに補償される車両保険は、原付向けには取り扱っているところはごく一部に限られます。
原付特約とは?
クルマの自動車保険に加入している家庭なら、自動車保険の特約で原付に乗るときのリスクに備える方法もあります。「ファミリーバイク特約」「原付特約」と呼ばれるオプションで、自動車保険に契約している本人や家族が、原付に乗っているときに起こした事故が対象になります。
原付特約では、自分や家族が持っている原付のほか、人から借りた原付を運転中の事故も補償対象です。
基本的に対人賠償保険、対物賠償保険、自損事故保険が含まれ、保険会社によって、ほかに運転中の自分のケガを補償する人身傷害保険を付加できるのが一般的です。
原付保険・原付特約の加入方法
原付保険や自動車保険の原付特約(ファミリーバイク特約)は、損害保険会社や保険代理店で加入することができます。対面窓口のほか、インターネットで加入手続きをできるところもあります。
クルマの自動車保険にオプションとして付加する原付特約は、すでに加入している自動車保険に、後から付加することもできます。インターネット上の手続きだけで中途付加できる保険会社もあります。
原付も任意保険で補償を上乗せすると安心
原付は手軽で便利な乗り物ですが、車と同様に自賠責保険の加入義務があります。
また、車と一緒に一般道を走る分、事故で人にケガをさせたり、自分がケガを負う危険もあります。
自賠責保険だけでなく、任意の原付保険や原付特約に加入しておくことで、万が一に十分に備えておくことができます。カバーしたい補償の範囲を確認して、原付の任意保険について検討してみましょう。
参考:自賠責保険・共済ポータルサイト「自賠責保険・共済に加入するには」
参考:自賠責保険・共済ポータルサイト「電動キックボードの自賠責保険・共済」
参考:国土交通省「特定小型原動機付自転車について」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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