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更新:(公開:2016年5月6日)

後期高齢者医療制度とは?制度の内容、保険料負担をわかりやすく解説

執筆者

荒木 和音
ファイナンシャルプランナー、ファイナンシャル・プランニング技能士2級 >プロフィールを見る

後期高齢者医療制度とは?制度の内容、保険料負担をわかりやすく解説

75歳以上の人は、公的な医療保険として後期高齢者医療制度に加入します。

後期高齢者医療制度の内容や自己負担割合、保険料について解説します。

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者が加入する公的な医療制度です。また、65歳以上75歳未満で一定の障害がある方も、広域連合の認定を受けて加入することができます。

高齢者では病気やけがなどで医療費がかかる傾向があり、国民医療費(国民全体でかかる医療費)に占める割合が高いため、現役世代とは別の制度で運営されています。

後期高齢者医療制度のしくみ

後期高齢者医療制度は各都道府県の広域連合という団体が運営しています。財源の5割は公費(税金)が充てられています。

また、現役世代が加入する健康保険や国民健康保険の保険料から拠出される後期高齢者支援金がおおむね4割、高齢者が納める保険料がおおむね1割を占めています。

後期高齢者医療制度の自己負担割合

自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割の3段階に分かれています。

課税所得が28万円以上で、年金収入+その他の合計所得金額が単身世帯で200万円以上(複数世帯では合計320万円以上)の場合は2割負担となります。

課税所得が145万円以上で年収が単身383万円以上(複数世帯で520万円以上)などの「現役並み所得者」は3割負担です。

それ以外の方は1割負担になります。

高額療養費制度で自己負担を抑えられる

自己負担1~3割で支払った医療費が高額になったときには、1ヶ月の負担が所定の上限額(自己負担限度額)までに抑えられる「高額療養費」というしくみもあります。

上限額を超えた医療費を自己負担した月には、超えた金額が払い戻されるため、実質的な負担額が抑えられます。

自己負担限度額は所得(年収)や、医療費が入院によるものか、外来によるかなどによって決まります。

年金収入などで一般的な所得水準(年収156万円~約370万円)の場合、自己負担限度額は1ヶ月・世帯あたり57,600円です。

うち、外来でかかった医療費については、個人ごとに18,000円が上限です。

これを超えた医療費を自己負担したときに、高額療養費として、制度からお金が戻ってきます。

70歳以上の高額療養費の自己負担限度額

※はみ出ている場合、横にスクロールできます。

所得区分 1ヶ月の自己負担限度額
(世帯ごと)
多数回該当の場合
年収約1,160万円~ 252,600円
+(医療費-842,000円)×1%
140,100円
年収約770万~
約1,160万円
167,400円
+(医療費-558,000円)×1%
93,000円
年収約370万~
約770万円
80,100円
+(医療費-267,000円)×1%
44,400円
年収156万~
約370万円
57,600円
うち外来(個人ごと):
18,000円(年144,000円)
44,400円
住民税非課税世帯 24,600円
うち外来(個人ごと):8,000円
住民税非課税世帯
(年金収入80万円
以下など)
15,000円
うち外来(個人ごと):8,000円

※高額療養費の自己負担限度額は、70歳以上の人と75歳以上の人(後期高齢者)で共通です。

2026年8月以降、高額療養費の自己負担限度額が段階的に引き上げへ

高額療養費制度は、高齢化の進展や高額医薬品の開発・普及による医療費の増大を背景に、制度を将来にわたって維持するため、また現役世代の保険料負担を軽減するために見直しが行われる方針が決まっています。

以下は、見直し後の上限額などをまとめた表です。

※はみ出ている場合、横にスクロールできます。

所得区分 現行 R8.8~ R9.8~
月額上限 外来特例
(70歳以上)
月額上限 年間上限 外来特例
(70歳以上)
月額上限 年間上限 外来特例
(70歳以上)
約1,650万円~
(標報:127万円~)
252,600 + 1%
<140,100>
270,300 + 1%
<140,100>
1,680,000
(月額平均140,000)
342,000 + 1%
<140,100>
1,680,000
(月額平均140,000)
約1,410~約1,650万円
(標報:103~121万円)
303,000 + 1%
<140,100>
約1,160~約1,410万円
(標報:83~98万円)
270,300 + 1%
<140,100>
約1,040~約1,160万円
(標報:71~79万円)
167,400 + 1%
<93,000>
179,100 + 1%
<93,000>
1,110,000
(月額平均92,500)
209,400 + 1%
<93,000>
1,110,000
(月額平均92,500)
約950~約1,040万円
(標報:62~68万円)
194,400 + 1%
<93,000>
約770~約950万円
(標報:53~59万円)
179,100 + 1%
<93,000>
約650~約770万円
(標報:44~50万円)
80,100 + 1%
<44,400>
85,800 + 1%
<44,400>
530,000
(月額平均約44,200)
110,400 + 1%
<44,400>
530,000
(月額平均約44,200)
約510~約650万円
(標報:36~41万円)
98,100 + 1%
<44,400>
約370~約510万円
(標報:28~34万円)
85,800 + 1%
<44,400>
約260~約370万円
(標報:20~26万円)
57,600
<44,400>
18,000
(年14.4万)
61,500
<44,400>
530,000
(月額平均約44,200)
(※1)
22,000
(年21.6万)
69,600
<44,400>
530,000
(月額平均約44,200)
28,000
(年21.6万)
約200~約260万円
(標報:16~19万円)
65,400
<44,400>
28,000
(年21.6万)
~約200万円
(標報:~15万円)
61,500
<34,500>
410,000
(月額平均約34,200)
22,000
(年21.6万)
非課税【70歳未満】 35,400
<24,600>
36,900
<24,600>
290,000
(月額平均約24,200)
36,900
<24,600>
290,000
(月額平均約24,200)
非課税【70歳以上】 24,600 8,000 25,700
<24,600>
290,000
(月額平均約24,200)
11,000
(年9.6万)
25,700
<24,600>
290,000
(月額平均約24,200)
13,000
(年9.6万)
一定所得以下【70歳以上】 15,000 8,000 15,700 180,000
(月額平均15,000)
8,000 15,700 180,000
(月額平均15,000)
8,000

(※1)「~約200万円(標報:~15万円)」区分に該当することが確認できた者は、年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払い。
(※2)外来特例の対象年齢については、「「強い経済」を実現する総合経済対策」(令和7年11月21日閣議決定)において、「医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能 負担の実現」について、「令和7年度中に具体的な骨子について合意し、令和8年度中に具体的な制度設計を行い、順次実施する」とされていることも踏まえ、高齢者の窓口負担の 見直しと併せて具体案を検討し、一定の結論を得る。

出典:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて

まず2026年8月から、すべての所得区分で月ごとの自己負担限度額が一律7%程度(住民税非課税世帯は4〜5%程度)引き上げられます。たとえば、一般的な所得水準(年収約370万円〜約770万円)の場合、現行の80,100円+医療費の1%から85,800円+医療費の1%が月額の上限です。

2027年8月からは、住民税非課税世帯を除く所得区分が現行の4区分から12区分に細分化され、所得に応じてよりきめ細かく自己負担限度額が設定されます。細分化後は所得が高い層ほど引き上げ幅が大きくなり、最大で38%限度額が高くなる見込みです。

また、70歳以上に適用される「外来の月額上限」も、現行の18,000円から22,000円(年216,000円限度)に引き上げられます。
※非課税世帯の場合は8,000円から11,000円(年96,000円限度)

一方「年間上限」が新設されるため、負担が軽減されるケースもあります。年間上限とは、月単位では自己負担限度額に届かなくても、1年間の自己負担額が年間上限に達した場合、それ以上の負担が不要になるしくみのことです。

たとえば、年収約370万円~約770万円の人の場合、年間上限は530,000円(月額平均約44,200円)に設定されます。

年間上限の導入により、次のような方は、これまでよりも負担が軽減される可能性があります。

  • 長期療養をしていても、これまで多数回該当の条件を満たさなかった方
  • 1回の治療費が極めて高額な治療を受けた方

■長期療養をしていても、これまで多数回該当の条件を満たさなかった方の医療費負担

長期療養をしていても、これまで多数回該当の条件を満たさなかった方の医療費負担

※多数回該当:年に4回以上高額療養費に該当する方の自己負担を更に軽減するしくみ
出典:厚生労働省「現在検討している医療保険制度改革についての考え方

■1回の治療費が極めて高額な治療を受けた方の医療費負担

1回の治療費が極めて高額な治療を受けた方の医療費負担

出典:厚生労働省「現在検討している医療保険制度改革についての考え方

後期高齢者医療制度の保険料

後期高齢者医療制度の保険料は、各都道府県(広域連合)によって決まります。

(1)被保険者全員が負担する均等割部分と、(2)所得に応じて負担する所得割部分の、大きく2つが含まれます。

2026年度の保険料額は全国平均で年額95,875円(均等割と所得割の合計額)です。保険料は、2年ごとに見直されます。

世帯の所得が一定以下の場合には、均等割部分の一部が軽減されます。また、所得割部分には保険料の限度額があり、高所得者であっても保険料が一定の上限を超えないことになっています。

なお、保険料の上限は2026年度に従来の80万円から85万円に引き上げられる見込みです。また、2026年度から「子ども・子育て支援金制度」が開始され、後期高齢者医療制度の保険料と合わせて支援金が徴収されます。

公的制度を活用して医療費の負担軽減を

75歳以上の高齢者の医療費は、後期高齢者医療制度によって自己負担が抑えられるしくみになっています。

また、高額療養費制度によって、入院費用や通院費用などが高額になったときに1ヶ月の医療費の負担を軽減できるようにもなっています。

高齢期には病気やけがなどで医療費の負担が増すことがありますが、こうした公的制度のしくみを知っておくと、受診時に医療費の心配を防げるかもしれません。

なお、後期高齢者医療制度は今後見直しされる可能性があります。2026年4月時点では、3割負担となる「現役並み所得」の基準の見直しや対象拡大、株式の配当や譲渡益などの金融所得を保険料や窓口負担割合に反映させる仕組みの導入などが国の審議会で検討されています。制度変更に備え、ご自身の所得区分や負担額について確認しておきましょう。

※2026年4月現在の情報をもとに執筆しています。情報は更新されている場合がありますので、最新の情報や詳細は加入先の保険制度窓口へご確認ください。

出典:政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

出典:厚生労働省「高齢者医療制度」

出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

出典:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 荒木 和音

    荒木 和音(あらき かずね)

    金融分野専門ライター
    ファイナンシャル・プランニング技能士2級
    保険代理店にて個人・法人向けの営業およびリスクコンサルティングなどに計10年以上従事したのち、金融ライターとして独立。大手証券会社・保険会社・大手金融メディアでの記事執筆・監修などを手がける。
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